IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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臨海学校に向かうバスの車内。その中で火影と海之は眠ってしまい、夢の中でそれぞれに前世で縁があるらしい者達と再会する。彼等は生まれ変わったダンテとバージルへの挨拶もそこそこにし、口をそろえてこう言った。

「何かが起ころうとしている」

しかしそれに対しての二人の返答は自信に満ちたいつもと変わらないものだった。

「戦い続ける。守るために」

それを聞いて安心した様に彼等は二人に武運を祈ると共に贈り物を与え、消えて行くのであった。


Mission55 海にて

火影と海之が夢を見ている間にバスは臨海学校中世話になる宿の直ぐ近くに来ていた。隣にいたシャルロットや本音の話によると二人はバスの行程の半分位に差し掛かった時に突然眠ってしまい、それからずっと起きなかったらしい。夢が気になった二人は何気に自分達のISを確信してみた所、互いに新たな武装が追加されていた。それはまさにあの夢が幻で無かったと共に、交わした話の内容も嘘でない事を物語っていた。そうこうしている間にやがてバスは到着した。

 

千冬

「いいか。ここがお前達がこれから三日間お世話になる花月荘だ。余計な事をして従業員の方々の仕事を増やす事をしない様にな!」

生徒達

「「「お世話になります!」」」

「「「宜しくお願いします!」」」

女将

「はい。宜しくお願いします。今年も皆さん元気が良いですね。しかも今年は男の子まで三人もいて賑やかですね」

一夏

「えーっと、織斑一夏です。宜しくお願いします」

火影

「火影・藤原・エヴァンスです。御世話になります」

海之

「海之・藤原・エヴァンスです。宜しくお願いします」

女将

「これはこれはご丁寧に。どうぞ宜しくお願いしますね」

真耶

「さて。それではみなさんとりあえず荷物を部屋まで運びましょうか。今日この後は夕方まで自由行動です。夜19時から夕食なので、その時間になったら皆さん大広間に集合してくださいね」

生徒達

「「「はーい!」」」

 

そう言うと生徒達はみんなそれぞれに部屋に移動を開始した。しかし、

 

一夏

「なあち、…織斑先生、俺と火影と海之の部屋は?」

火影

「そういえばしおりにも書いてなかったな」

千冬

「心配するな。付いてこい」

 

三人は千冬に付いて行った。着いた先は、

 

一夏

「?…ここって先生の隣の部屋?」

千冬

「そうだ。お前達三人は私と山田先生の部屋の隣に宿泊する」

海之

「…ああそう言う事ですか」

火影

「どういうことだ海之?」

海之

「俺達の部屋に女子が押し寄せない様に。また反対に俺達が女子の部屋に行かない様にだ」

千冬

「そういうことだ」

真耶

「ごめんなさいね。どちらかと言えば三人の安全のためなので。でも良いお部屋ですよ。小さいながら露天風呂もありますから」

海之

「構いませんよ」

火影

「同じく」

一夏

「へ~い。んじゃ荷物置いたら俺達も海行こうぜ!」

 

そう言うと三人は着替えて海へと向かった…。

 

 

…………

 

「あっ!織斑くんたちだ!」

「ねぇねぇ火影くんと海之くん見て!」

「すごいしっかりした筋肉してる!」

「直接肌が見れないのが残念!でもかっこいい!」

 

一夏はトランクスタイプ。火影と海之は全身を覆うタイプの水着でいわゆるアクアスーツというものだ。

 

一夏

「二人のそれって競泳で着る様な物みたいだな」

火影

「ああそうだ。泳ぎでも競ってたからな」

海之

「付き合わされる俺の身にもなってみろ…」

一夏

「あはは…」

「ひかりん~」

「一夏さん」

一夏・火影・海之

「「「ん?」」」

 

三人が声がした方を振り返った。すると本音、セシリアがこっちに走って来た。

 

本音

「やっほー!ねぇひかりんどうこの水着!可愛いでしょ~!」

 

本音が着ているのは火影や海之と同じく全身を覆うタイプの物だった。ただ…、キツネのようなデザインでしかも耳付きの帽子まで付いている。

 

一夏

「のほほんさん、それ売ってたの?」

本音

「そだよ~」

火影

「最近の水着って色々あんだな。でも本音によく似合ってると思うぜ。いや本音だからこそと言うべきか」

本音

「ありがとう~!」

セシリア

「一夏さん!私のは如何ですか?」

 

セシリアの水着は鮮やかな青色の物でセパレートのタイプである。

 

一夏

「……」

本音

「どうしたのおりむ~?」

海之

「大方目のやり場に困っているんだろう」

一夏

「は、はっきり言うな!……似合ってるぜセシリア」

セシリア

「ありがとうございます!」

本音

「ほらほら、恥ずかしがってないでかんちゃんも~」

「ほ、本音!」

海之

「…簪?」

 

見ると本音の後ろにピッタリ見えない様に隠れている簪がいた。

 

本音

「折角可愛いの買ったんだから~。張り切ってたじゃん、みう」

「わーっ!!…う~…」

 

やがて観念したように簪が現れた。簪の水着はピンクのワンピースだ。

 

「ど、どう…かな。変じゃないかな?」

海之

「……」

 

海之はこう言った事の知識は少なかったが、生前母からこう言えば女の子は喜ぶと教えられた言葉を言ってみた。

 

海之

「…可愛いと思うぞ」

「!!」

火影

「ああ僕もそう思うぜ簪」

「!」……ボンッ!

 

突然耳に聞こえる様な爆発音がしたと思いきや、簪はその場にへたってしまった。

 

一夏

「お、おい大丈夫か!?日射病か!?」

本音

「大丈夫大丈夫。きっと恥ずかしすぎて倒れちゃっただけだから。みうみう~、悪いんだけど運ぶの手伝って~。あっそれからひかりん~私達向こうでビーチバレーやるから後で来てね~」

海之

「仕方ないな」

 

そういうと海之と本音はのびた簪を連れて行ってしまった。

 

セシリア

「あの一夏さん。私ひとつお願いがあるのですが」

一夏

「なんだ?」

セシリア

「サンオイル塗って頂けませんこと?」

一夏

「……今なんと仰いましたでしょうかセシリアさん?」

セシリア

「?なぜそのようなお言葉に?まあいいですわ。お願いできませんか?」

一夏

「い、いやぁさすがにそれは」

火影

「良いんじゃねぇか?やってやれよ一夏」

 

火影が少し悪い顔でそう言った。

 

一夏

「な!?」

セシリア

「決まりですわね♪では行きましょう!あちらに場所をとってありますの♪」

一夏

「お、おいちょっと待って!おい火影ー!」

 

そう言うとセシリアは一夏の手を引いて行ってしまった。

 

火影

「頑張れ一夏」

 

とその時、

 

「ひーかーげー♪」ズシッ!

火影

「!?」

 

いきなり誰かに背中に飛びつかれた。その声からして、

 

火影

「…降りろ鈴」

「えへへ、わかっちゃった?…よっと」

火影

「お前な。もっと恥じらいを持てよ」

「いいじゃん減るもんじゃなし。…どうこの水着。似合ってる?」

 

鈴のは白いセパレートだ。

 

火影

「…ああ。可愛いよ鈴」

「!…ま、まあ当然よ!」

(やばい、めちゃ恥ずかしい…)

「あ、そうだ火影!せっかくだからあの浮きの所まで競争しない?」

火影

「…結構な距離あるぞ?お前大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫!負けた方はアイス奢りね!じゃスタートー!」

 

そう言って鈴は駆けだして先に行ってしまった。

 

火影

「ハァ…しかたない、付き合ってやるか…ん?」

 

良く見ると少し離れた所で鈴が前に進んでおらず、その場でもがいている様に見える。そしてやがて見えなくなった。

 

火影

「…あのバカ!」

 

そういうと火影も急いで泳ぎだし鈴の元へ駆けつける。思った通り鈴は水中で溺れていた。火影は鈴を回収してなんとか浜辺に戻ったが水を飲んでいるのか鈴は意識が無かった。

 

火影

「おい鈴!しっかりしろ!」

「…」

 

だが鈴は目覚めない。

 

火影

「おい!…っち、しょうがねぇ」

 

そう言うと火影は鈴に人工呼吸を行った。すると、

 

「…ゲホッ!ゲッホ、エホッエッホ!」

火影

「おい大丈夫か?」

「エッホ…。う、うん、なんとか…」

火影

「お前準備運動もせずいきなり入ったろ?」

「うん。脚がつっちゃって」

火影

「そんなこったろうと思った。まあでも無事で良かったよ」

「……」

「二人共」

火影・鈴

「「ん?」」

 

二人が見るとそこには白い水着の箒が来ていた。

 

「…どうした鈴?なにか疲れているようだが…大丈夫か?」

「ああ…うん。ちょっと溺れちゃってね。火影が助けてくれたの」

「そうか、無事で良かった」

火影

「全くだ。あと、良く似合ってるぜ箒」

「そ、そうか。ありがとう。ああ所で二人共、一夏を知らないか?」

火影

「ああ一夏ならさっきセシリアに連れられてビーチパラソルのとこ行ったぜ。サンオイル塗ってほしいんだとさ」

「なに!そ、そうか、わかった!礼を言う!」

 

そう言うと箒は走って行ってしまった。

 

「一夏も大変ね」

火影

「はは。ああそういや本音からビーチバレー誘われてんだった。鈴も行くか?少し休んでるか?」

「ううん大丈夫」

 

火影と鈴は揃って歩き出した。その時の鈴の心中は、

 

(…絶っ対に言えない!駆けつけてくれたギリギリまで意識あったなんて!人工呼吸される直前で目が覚めたなんて!……でも…やっぱり火影カッコいいな…)

 

 

…………

 

ビーチバレー場には先に海之と本音と簪が来ていた。

 

本音

「あ、ひかりん。ちょっと待ってね~。今から女子同士の対決だから~。鈴~、かんちゃんと一緒にどう~?」

「そうね。やってやろうじゃん!」

火影

「さっきあんな目にあったのにえらい元気だな」

「火影!海之!」

 

見るとそこにはシャルロットと…、もう一人異様な者がいた。

 

「……」

火影

「…シャル、なんだそのバスタオルのミイラは?」

シャル

「あはは、うんとね…」

「うう…」

海之

「…ラウラ?」

 

声色からしてそれはラウラだった。しかし何故ミイラなのか?

 

シャル

「ほら~、折角選んだんだから見てもらわないとダメでしょ?」

ラウラ

「うう…しかし…」

シャル

「早くしないと海之が他の子に先に取られちゃうよ~」

ラウラ

「!…ええい取れば良いのだろう取れば!!」バサッ!

 

そう言うと纏っているバスタオルを取る。すると黒い水着を着るラウラがいた。

 

海之

「……」

ラウラ

「わ、笑いたければ笑えば良い!どうせ私にはこんな物似合わん!」

シャル

「そんな事ないと思うけどな~。ねぇ海之?あっ火影、僕もどうかな?似合ってる?」

 

そういうシャルロットは腰にパレオを付けた黄色い水着だ。

 

海之

「…可愛いと思うぞラウラ」

火影

「シャルのも髪の色と合ってるな。良い感じだぜ」

ラウラ

「!!か、可愛い…。私が…?」

シャル

「えへへ♪」

本音

「ひかりん~、みうみう~。試合終わったよ~。折角だから二人でやってみたら~?」

火影

「そうだな。どうだ海之?」

海之

「…良いだろう。手加減なしだ」

シャル

「あっ、じゃあ火影。僕とやろ!」

 

そういうと三人はコートに出た。そしてそれと入れ替わりに一夏とセシリアがやって来た。

 

セシリア

「むぅ~。折角一夏さんにやって頂いてましたのに~」

一夏

(た、助かった…。あのままいけばヤバかった…。感謝するぜ箒…。でもどこ行ったんだろ?なんか電話するって言ってたけど)

「…あれ?どうしたラウラ?」

ラウラ

「可愛い…。私が…可愛い…」…ボンッ!

 

真っ赤になりながらラウラは倒れた。

 

一夏

「お、おいどうしたラウラ!日射病か!?」

 

 

…………

 

火影

「おらぁっ!」

海之

「むん!」

 

火影・シャルロットと海之・本音の試合は白熱していて観客もできていた。というのも、

 

一夏

「こんだけ打ちあっててまだ0対0かよ…」

セシリア

「見てるだけで息詰まりそうですわね…」

 

そう、まだお互い無得点。つまりずっとラリーが続いていたのだ。

 

「あっ、織斑先生、山田先生」

「織斑先生モデルみたい!」

 

そこへ黒い水着の千冬と緑の水着を付けた真耶が来た。

 

真耶

「すごいですね先輩。火影くんと海之くん。しかも全身タイプの水着であの動きなんて」

千冬

「ふむ。…どれ、一戦御所望願おう」

 

そう言うと千冬はコートに近づき、

 

千冬

「海之、火影。どちらか相手をして貰おうか?」

火影

「あ、先生」

海之

「…では自分が。宜しいですか?」

千冬

「構わん。手加減など無用だぞ」

海之

「こちらも不要です」

千冬

「言ったな。後悔するなよ」

 

本音はセシリアと交代し、海之・セシリアと千冬・真耶との試合になった。

 

千冬

「やっ!」

海之

「はっ!」

 

やはりこちらも互角だった。

 

シャル

「凄いね海之。織斑先生と互角なんて。あんなに打ち合った後なのに」

「ほんとだね。…かっこいい」

ラウラ

「流石は教官と嫁だ」

「海之といい火影といい、どんな体力よ全く」

本音

「でもなんか楽しそうだね~織斑先生」

一夏

「……」

火影

「どうした一夏?織斑先生取られて悔しいのか?」

一夏

「なっ!何言ってんだよ!?」

一夏以外の全員

「「「…わかりやすすぎる(ぎますわ)…」」」

 

こうして臨海学校一日目、自由行動は過ぎて行った…。


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