IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
火影・海之・一夏は夜の散歩へ。そして箒達は千冬達の部屋で千冬の尋問?を受けていた。観念した様に全員が火影・海之・一夏への想いを口にする中、ラウラが千冬に海之の事をどう思っているか尋ねる。その場を旨く誤魔化した千冬だったが、その心中は穏やかでないままであった。
夜が明け、この日は臨海学校二日目。
この日と明日は本格的な訓練。専用機を持っている者達は千冬指導の特別訓練。それ以外の者は訓練機を使った訓練の予定だ。簪は一応専用機持ちではあるのだがまだ機体が完成していないので今回は特別訓練には参加しない。その代わりにある人物がいた。
千冬
「…さて。専用機持ちは集まったな」
箒
「……」
一夏
「…あの千冬姉。箒は専用機持ってないんじゃ…」
千冬
「織斑先生だ!…確かにな。だがこれで良いんだ、直に分かる」
一夏
「そうなのか?」
箒
「うむ。安心して良い」
海之
「残念だな簪。機体が間に合わなくて」
簪
「ううん、しょうがないよ。機体の方はほぼ出来てるんだけど…、肝心の荷電粒子砲がまだ設計段階だからね」
火影
「そうか…。その分三節根の訓練を頑張らねぇとな」
簪
「うん」
ラウラ
「…ところで教官。既に全員揃っていますが…、まだなにかあるのですか?」
千冬
「うむ…。実はな…」
とその時、
生徒1
「ねえ、あれ何かな?」
生徒2
「何か…こっちに飛んで来てない!?」
見ると上空から何かがこっちに向かって来る!
千冬
「…!全員伏せろ!」
ドオォォォォォォォォン!!……パラパラ
一夏
「いってて。ななな、なんだ一体!?」
鈴
「なんか…落ちてきたみたいだけど…!?」
セシリア
「…!な、なんですのあれは!?」
見ると砂浜になにか落ちている、…というか刺さっている。その姿は一見巨大なニンジンの上部分の様にも見えた…。
ラウラ
「なんだこれは…?」
簪
「大きいニンジン…?」
シャル
「ブースターがある…。ロケットの様にも見えるけど…」
ほとんどの者が驚く中、
火影・海之・千冬
「「「……なんか(なにか)悪い予感がする…」」」
とその時ニンジン?の上部がパカッと開き、何かが飛び出してきた。
?
「シュワッチ!!」
全員
「「「!?」」」
影ははるか上空まで飛び、そのまま落ちてきた。それは、
束
「ちーーーちゃーーーん!!」
一夏
「…!?あれって!」
箒
「…ハァ」
それは束だった。そして前と同じく千冬に向かって落ちてきている。そして千冬にぶつかる直前に、
千冬
「…サッ」
束
「ヘヴァ!!」
千冬が見事に見切り、束は漫画的に地面に大穴を開けて墜落した。しかし、
束
「…ぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
穴の底から再び飛び出してきた。そしてそのまま千冬に抱きついた。
束
「ちーちゃんひどいよ~!せっかく一ヶ月ぶりに会えたのに~!!」
千冬
「お前がふざけた事するからだ。それにたった一ヶ月だろうが」
束
「一ヶ月もだよ!ローマだって一日で成るってゆうでしょ~!」
一夏
「いやそれを言うなら一日にして成らずじゃ…」
鈴
「へぇ、あんたもそんなことわざ知ってるのね」
束
「あ~いっくん久々だね~!元気だった?」
一夏
「ええおかげさんで。相変わらずですね束さんも」
束
「いや~それほどでも♪…あと」
箒
「……どうも」
束は高速ダッシュで箒に飛びついた。
箒
「ぶほっ!」
束
「箒ちゃんよ!我が妹よ!会いたかったよ~!暫く見ない間にすっかり大きくなって~!特に女性の象徴が」
箒
「…殴りますよ?」
束
「気にしない気にしない♪」
箒
「こっちは気にするんです!」
一夏
「ははは。やっぱり相変わらずだな…」
セシリア
「あの一夏さん…。あの方は?それに束さんってもしかして…」
束
「あっそうだった!自己紹介がまだだったね!ここにおわすお方を何方と心得る!恐れ多くもみんなのアイドルにしてIS達のお母さん、篠ノ之束さんだよ~ブイブイ!」
生徒達
「えっーーーーーーーーーー!?」
シャル
「あの人が篠ノ之博士!?」
鈴
「かなりフレンドリーな人ね」
一夏
「違うぞ鈴。あの人は超限定的に人を選ぶから気をつけろよ…」
鈴
「そうなの?」
簪
「…あの人が篠ノ之博士…」
とそこへ少し遅れてロケットからクロエも来た。
クロエ
「束様、先程の自己紹介はすこし無茶があるのでは?」
束
「え~そう?はっ!そうか!助さん格さんが足りなかった!クーちゃん頭良い♪」
セシリア
「そういう問題でも無い様な気も致しますが…」
クロエ
「ハァ。あっ、そう言えば私も自己紹介がまだでしたね。皆さん初めまして。束様の助手を務めております、クロエ・クロニクルと申します。お見知りおきを…」
ラウラ
「!!」
簪
「どうしたのラウラ?」
ラウラ
「い、いや…なんでもない」
(あの顔…まさか、あの人は…)
クロエ
(…やはり彼女もはなにか感じている様ですね。無理もありませんね。…でももう昔の話ですから、私からは何も言わない事に致しましょう)
千冬
(あのクロエという少女。やはりボーデヴィッヒに似ている…。恐らく彼女もまた…)
束
「ひーくんみーくんも久々だね~!」
火影
「はは」
海之
「ご無沙汰しています」
一夏
「あれ?二人とも束さんと知り合いなのか?つーか二人も愛称で呼ばれてんの!?」
火影
「ああ、まあちょっとな」
束
「そだよ~!二人共束さんのお友達なんだ♪あと二人の推薦状を書いたのも束さんだよ~♪」
千冬
「束!」
生徒達
「えーーーーーーーーーー!!」
セシリア
「御二人の推薦状を書いたのが…篠ノ之博士!?」
一夏
「マジか!!」
箒
「姉さんが二人の推薦状を…」
鈴
「推薦状って、そんな話聞いてないわよ二人共!」
シャル
「本当なの火影!?」
ラウラ
「…流石は私の嫁と弟だ」
簪
「海之くんと火影くんってやっぱりすごいね…」
本音
「ほんとだね~!」
火影
「はは…」
海之
「ハァ…」
生徒達の多くはまだ興奮冷めやらない感じだ。
束
「…あれ?これってもしかして言っちゃいけなかった?」
クロエ
「そのようですね」
千冬
「騒ぎにしたく無かったから言わなかったんだ。全く余計なことをしおって…」
束
「あ、あはは…。まぁいいじゃん。もう終わった事だし♪」
一夏
「でも束さんがわざわざ二人に推薦状を書くなんて…。言っちゃ悪いが千冬姉と箒と俺以外にはほとんど関心ない束さんがそんな事するなんて、俄かに信じらんねぇ…」
シャル
「それどころかIS学園に今まで推薦状で入った生徒なんて聞いたこと無いよ!」
鈴
「でもどんな事してそんな物書いてもらえたのよ?というか二人はどうやって篠ノ之博士に知り合ったのよ?」
火影・海之・千冬
「「「!」」」
三人は嫌な予感がして束を止めようとしたが、
束
「ああそれはね~♪二人があの4ヶ月前の旅客機墜落事故を防いだからだよ~♪それでそのヒーローに会いたいと思って♪知ったのは会ってからだけどね♪ヒーローに推薦状なんて必要無いでしょー♪」
…遅かった。
生徒達(1-1以外の)
「……えーーーーーーーーーーーーーーー!!」
本日一番声が響いた。
シャル
「旅客機の事故って…あの旅客機墜落未遂事故の事!?確か赤と青の光に救われたっていう…。あの事故を防いだのが…火影と海之!?」
鈴
「それに赤と青の光って確かISだって聞いたわ!アリギエルとウェルギエルの事だったの!?」
簪
「あの旅客機を救ったのが…海之くんと火影くん。本当にヒーローだったんだ…」
ラウラ
「…やはり私などまだまだ足元にも及ばんな…。もっと鍛えなくては」
火影
「はは、みんなばれちまった……」
海之
「…ハァ…」
生徒達は真相を聞こうと火影と海之のまわりに押し寄せている。これから訓練というのに火影と海之はもう疲れた表情だ。
束
「…って、もしかして…これも言っちゃいけなかったやつ?」
クロエ
「…みたいですね」
千冬
「……」
一夏
「あの…千冬姉?」
束
「どしたの~ちーちゃ…!」
束は千冬の顔を見て酷く焦り始めた。
千冬
「束…、覚悟はできてるだろうな?」ゴキッ!ゴキッ!
束
「い、いやいやもう終わった事だし~。…そ、それにさ~いつかばれる事じゃ」
千冬
「問答無用!!」
束
「!!…箒ちゃんいっくんクーちゃん助けてー!」
箒
「自業自得です」
クロエ
「同じく」
一夏
「すんません束さん…そう言う事なんで」
束
「そんな~!」
千冬
「覚悟しろ!!」
束
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
それから約一時間授業が遅れたのであった。
次回は箒の機体。そして束に依頼した新たな装備が出ます。