IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
束からの思わぬプレゼントにみなが驚きと感謝を述べる中、真耶が慌てて駆け込んでくるのであった。
臨海学校二日目。時間はうっすら夕方に差し掛かろうとしていた。
この日行われる予定だった訓練は全て中止となり、専用機持ちで無い者は部屋で待機を命じられた。因みにクロエは彼女達が勝手な行動を取らない様、千冬と束から監視を命じられている。火影や海之、一夏達専用機持ちは全員花月荘のある部屋にいた。尚そこには専用機持ちになったばかりの箒も参加していた。
千冬
「よし、専用機持ちは全員集まったな。それでは現状を説明する」
全員
「「「……」」」
千冬
「今から約二時間前。ハワイ沖で稼働訓練中だった米軍とイスラエル軍による共同開発のISが突然暴走、高速で監視空域を離脱し消息を絶った。そして約一時間前、そのISを再び確認。計算によると今から約一時間後、ここに最接近するという事が確認された」
ラウラ
「そのISとは?」
千冬
「米軍とイスラエル軍による共同開発にして第3世代型軍用IS、シルバリオ・ゴスペルだ」
シャル
「軍用IS…」
鈴
「ラウラのISとかと同じってわけね」
一夏
「でもち、織斑先生、それと俺達とどういう関係が…?」
すると一夏の質問に海之が答えた。
海之
「…織斑先生。最接近する時を見計らい、一番近くの俺達にそのISを止めろというのですね?」
セシリア
「なっ!?」
火影
「…なるほどな」
千冬
「…その通りだ海之。現時点で最もその可能性が高い我々にそのISを止めろという学園上層部と政府からの命令が先ほど届いた…」
箒
「!」
火影
「…理解できませんね。専用機持ちとはいえ、ただの子供である僕達にその様な命令が何故来るのか。相手は軍のISでしょう?」
鈴
「そ、そうですよ!なんで軍が動かないんですか!?アメリカやイスラエルが一番動かないとダメじゃないですか!?」
千冬
「…私もそれについて先ほど問い合わせたが、「一番近いから」の一点張りだったよ。しかし学園長はこの様な命令をなんの考えも無しにする方では無い。大方他方からの圧力だろうな…。おまけに我々教員は海上封鎖に専念し、実際事に当たるのはお前達だとさ…。全く腹がたつ話だ」
真耶
「皆さんごめんなさい…」
海之
「気にしないでください。先生方が悪い訳ではないでしょう?」
一夏
「そうだよ千冬姉。山田先生も頭上げてください」
千冬
「…そう言ってもらえると助かる。口惜しいが命令である以上従わねばならない。ではこれより作戦会議を始める。意見がある者は挙手しろ」
セシリア
「はい。目標の全情報開示を提案致します」
千冬
「よかろう。ただこれは軍事及び国家機密で一切他言無用だ。独房に行きたくなければな」
セシリア
「承知しました」
すると目の前の画面にあるISが映し出された。
一夏
「これがシルバリオ・ゴスペル…。軍のISか」
鈴
「……広域殲滅を目的とした射撃型…か。一番近いのはセシリアのブルーティアーズかな」
シャル
「でも機体スペックは僕達の機体より高いね。さすが軍の新型と言ったところか…」
ラウラ
「偵察はできないのですか?」
千冬
「無理だな。こいつの最高速度は時速2000km以上だ。追いつける偵察機は限られる。それに最接近のタイミングを逃せば恐らく次は無い。機会は一回きりだろう」
箒
「一回だけ…」
海之
「…先生。先ほど火影が申し上げましたが我々は子供です。もし仮に失敗する様な事があった場合、責任の追及などはされませんか?」
千冬
「ああそれについては心配するな。例え今回の作戦が失敗してもお前達に一切の責任は追及しないという約束を学園長が取りつけてくれた。向こう側も流石にそこまでの事はしなかったようだ」
海之
「…わかりました」
シャル
「でも止めると言ってもどうしよう…。現時点で一番の策は…やっぱり火影と海之かなぁ」
千冬
「ふむ…」
みんなの視線が二人に集まる。確かに火影と海之なら可能かもしれない。あとは、
千冬
「或いは…織斑の白式か」
一夏
「えっ、俺?」
鈴
「あんたの零落白夜で一気に相手のSEを0にするのよ」
火影
「なるほどな。その手もあるか…」
海之
「だが一つ問題がある。零落白夜は自らのSEを使って行う。更に一撃で事を収めるとなると全エネルギーをそれに回す位で無ければならん。移動に使うエネルギーさえも惜しい。誰かが一夏を現場まで運ばなければならんだろう」
ラウラ
「確かに」
火影
「まあ運ぶのは僕や海之でもできるけどな。…どうだ一夏。お前がやるか?」
一夏
「…俺が…」
海之
「もし自信が無いなら俺達が」
その時、
箒
「一夏!」
全員
「「「!」」」
叫んだのは箒だった。
箒
「しっかりしろ一夏!そんな弱気でどうする!お前はつい先ほど言ったではないか!いつまでも火影や海之に頼ってはいけないと!あの時の言葉を忘れたのか!?」
一夏
「…箒」
箒
「火影や海之の言う通りだ。私達も強くならねばならん!だったらこれ位の試練、乗り越えられなくてなんとする!?」
一夏
「……」
火影
「篠ノ之…お前…」
箒
「それに現場への移動は心配ない!私の紅椿で運んでやる!安心しろ!」
千冬
「待て篠ノ之。お前は紅椿を先ほど得たばかりではないか。いきなり前線に出るつもりか?」
セシリア
「そうですわ箒さん。私のブルーティアーズの高速パッケージなら」
箒
「必要無い!」
セシリア
「!」
箒
「あっ…ご、ごめん…セシリア。酷い事を言ってしまった…。謝る…。ただ…今回は私にやらせてくれないか?私も戦いたいんだ…。皆の様に一夏と一緒に…」
鈴
「あんた…」
シャル
「箒…」
火影・海之
「「……」」
少しの沈黙の後、
千冬
「……おい束、どうせ聞いてるんだろう?」
ガラッ!
押し入れの戸が開いた。
束
「やっぱりばれてたか♪」
全員
(((何時からそこに?)))
千冬
「話は聞いていたと思うが、紅椿なら本当に可能か?」
束
「問題無いよ!ちょこっと調整すれば」
すると一夏が口を開いた。
一夏
「……わかったよ箒」
箒
「一夏!」
一夏
「お前の言う通り、確かに火影達に頼りっぱなしじゃ駄目だって言ったばかりだもんな!やってやろうぜ!」
箒
「うむ!任せろ!」
千冬
「…決まったようだな。では今から30分後、織斑・篠ノ之の両名によるシルバリオ・ゴスペル制圧作戦を決行する!各員は準備に入れ!」
束
「よし!そうと決まれば急ぐよ箒ちゃん!」
箒
「はい!」
そういうと火影、海之、一夏、千冬、真耶以外の者は出て行った。
海之
「……一夏」
一夏
「わかってるよ海之。箒の事だろ?」
海之
「…気づいていたか」
火影
「紅椿を手に入れた事もあるんだろうが…あいつ焦っているな。早く強くならなければいけないと、そう思っている様に見える」
海之
「ああ。そして浮かれている。お前と一緒に戦えるという事にな」
千冬
「……」
真耶
「篠ノ之さん…」
一夏
「心配してくれてありがとうなみんな。…でも俺さ、あいつの言葉で目が覚めたんだ。それにあんな生き生きとしたあいつ見るのは久々だしな。…必ず成功させてみせるぜ」
火影
「……ふっ。まあ頑張れ。前に僕に傷を付けた位の奇跡を起こして見せろ」
一夏
「おう!」
…………
それから約30分後。出撃準備が整った。
セシリア
「一夏さん、御武運を」
鈴
「頑張んなさいよ!」
シャル
「気を付けて!」
ラウラ
「油断するな」
千冬
「いいか二人共。くれぐれも無茶はするな。もし作戦継続が困難だと判断した場合直ぐに戻れ。これは最重要命令だ」
一夏・箒
「「はい!」」
千冬
「よし…行け!」
ドンッ!ドンッ!
かくして白式と紅椿は発進した。
火影
「…二人共、無事でな…」
海之
「……」
千冬
「海之、火影」
千冬が二人に話かける。
火影
「どうしました先生?」
千冬
「…お前達に話がある。来てくれ」
海之
「? はい」
そういうと残った全員は再び千冬に連れられ、仮指令室に入った。そこには束もいた。
ラウラ
「どうしました教官?」
千冬
「…今から話す事は先ほどの件と同じく一切口外禁止だ。いいな?」
全員
「「「はい」」」
千冬
「……実は、先ほどの会議ではISは突然暴走して空域から飛び去ったと言ったが……、実はそうではない」
シャル
「暴走じゃない?」
セシリア
「どういう事ですか?」
千冬
「……これを見てくれ」
そういうと千冬はスクリーンに映像を写した。
鈴
「…!火影、あれって!」
セシリア
「あの時の!」
火影
「……」
そこに写っていたのは以前のクラス対抗戦で出現した謎の黒い騎士の様なIS。しかも以前より遥かに数が多い。それがどこかの軍に襲いかかる様子だった。軍の方は急な襲撃で対応できなかったのか一方的に痛めつけられていた。
千冬
「……これは今から約3時間前にあったハワイ沖での映像だ」
ラウラ
「!教官、それはまさか」
千冬
「ああ。黒いISと戦っているのは米軍とイスラエル軍だ」
セシリア
「…!皆さんあれを!」
映像には敵と戦うシルバリオ・ゴスペルの姿もあったが、やがて煙を上げて敗北した。そこで映像は途切れた。
シャル
「シルバリオ・ゴスペルが…」
鈴
「数が多いと言っても軍の最新型があんな簡単に…」
海之
「…そういう事か」
ラウラ
「どうした海之?」
海之はある結論に達した様だ。
海之
「…シルバリオ・ゴスペルは暴走したのではなく、…奴らに鹵獲されたのですね?」
セシリア・鈴・シャル・ラウラ
「「「「!!」」」」
束
「みーくんさっすが~♪」
千冬
「…その通りだ。映像には残っていないがゴスペルはこの後あの黒いISに鹵獲、回収され、戦闘空域から去った…。両軍のメンツに関わると言ってその時の映像は公開されないままだがな」
束
「でもこの束さんの頭脳ではそんなの無意味だよ♪ほんの少し脅しをかけたらあのISを奪われた事をあっさりと自白したんだ♪」
シャル
「脅しって…、いや、なんでも無いです」
千冬
「…話を戻そう。そしてこの映像から約一時間後。今まで消息を絶っていたゴスペルが再び出現した。それこそ暴走状態でな。因みに生体反応があることから中に操縦者はいる筈だが応答がない。恐らく気絶しているのだろう」
鈴
「で、でもさ!捕まっていた物がいきなり出てきたなんて危ないんじゃない?もし細工なんかされてたら」
束
「う~ん、それについては多分大丈夫だよ。出動前にあのISのシステムにハッキングしてみたけど計算されたスペックと何も変わって無かったから。多分捕まる前と同じ筈だよ」
セシリア
「そ、そうですの…。それならとりあえず良かったですわ…」
束
「ただ問題は別にあるんだよね~」
セシリア
「えっ?」
すると千冬から驚く事が明かされた。
千冬
「実は…ゴスペルを鹵獲した物と同じ例の黒いIS群が先ほど突如出現し、こちらに向かって来ているという事が分かった。接触は…今から20分後だ」
火影・海之
「「…!」」
鈴
「なっ!?」
ラウラ
「教官、その数は!?」
千冬
「…大まかに分かるだけでも…約100機」
シャル
「ひゃ、100機!?」
セシリア
「そ、そんなの私達だけではどうしようもありませんわ!今すぐ避難しないと!」
鈴
「でも一夏と箒が!」
束
「う~ん今から生徒達全員連れて逃げても間に合わないね。直ぐに追いつかれるよ」
千冬
「また、二人にはゴスペルの制圧に専念してもらう為にこの事は伝えていない。真実を知れば集中できなくなるかもしれんからな。だが…私達がここを離れれば奴らが二人の方へ向かうかもしれない」
鈴
「そんな…」
シャル
「いったいどうすれば…」
とその時、
火影・海之
「「先生」」
束
「お!ひーくんみーくん!」
千冬
「……二人共、……やってくれるか?」
海之
「はい」
火影
「もちろん」
海之と火影は笑ってそう言った。
鈴
「!まさか、あんた達だけでやるつもり!?」
セシリア
「そんな!あまりにも多勢に無勢ですわ!」
シャル
「そうだよ火影!相手は100機だよ!?いくら二人が強いって言ったって!」
ラウラ
「わ、私も行くぞ海之!戦力は多い方が!」
海之
「駄目だ。お前達はやつらと戦うだけの力をまだ身につけていない」
火影
「お前達はここを守れ。そして僕達の戦いを見学してろ」
鈴
「でも!」
火影
「大丈夫だよ鈴。大船に乗った気でいな。お前達の誰も死なせねぇよ」
シャル
「火影…」
泣きそうな表情の鈴とシャルロットに火影は何時ものように余裕に満ちた表情で話しかけた。
海之
「織斑先生、簪をここに呼んでください。あいつもいずれ戦う時が来ます。学ばなければなりません」
千冬
「…そうだな。わかった」
束
「束さんは全く心配してないからね二人共♪」
火影
「ありがとうございます。…んじゃ僕達は行きますね。できるだけ奴らを離したいですから。行こうぜ海之」
海之
「ああ」
そういうと火影は先に出た。海之も行こうとした時、
千冬
「…海之」
海之
「? はい」
千冬
「……気をつけて」
海之
「はい、ありがとうございます」
そういうと海之も向かった。
千冬
「海之、火影、…お前達も私の生徒なのにな…。頼ってばかりの自分が情けない…」
ラウラ
「教官…海之…」
束
「大丈夫だよちーちゃん…」
セシリア
「皆さん。御武運を…」
鈴・シャル
「「火影…」」
二つの戦いが始まろうとしていた。
※次回、久々に二人の蹂躙です。そして装備公開です。