IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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火影と海之はとある日の放課後。セシリア、鈴、ラウラの三人にデビルブレイカ―を渡す。いずれも今まで類を見ない性能にその場にいた全員が驚愕と感謝の声を上げる中、千冬だけはやはり自分達と二人の違いにますます確信を持ったようであった。


第五章 Home
Mission66 織斑家での一日①


火影と海之がセシリア達にデビルブレイカ―を渡してから数日。IS学園は夏季休暇に入っていた。生徒達のほとんどは実家や自分達の国へと帰り、今残っているのは受験勉強のために寮に残る僅かな生徒か、或いはクラスメートの家に泊ったりする者である。それは火影と海之も例外ではなく、

 

一夏

「折角だから俺の家に泊ってけよ。部屋ならたくさん空いてるし、千冬姉も構わねぇっ言ってくれてるしさ」

 

火影と海之は一夏の誘いで一夏と千冬の家にスメリアに行くまで泊らせてもらっていた。二人の家は一軒家だが千冬の有名度も影響して二人で住むには十分な大きさの家だった。火影と海之はそこの来客用の寝室を使わせてもらっていた。その間ただ御世話になるだけでは悪いので家事を手伝ったり、たまには学園で訓練をしたりしていた。そして三日目、三人が学園から帰宅途中。

 

一夏

「くっそ~やっぱり勝てねぇ~。つーか二次移行して強くなった筈なのに未だに二人にはダメージさえ与えられねぇなんて…」

海之

「訓練しているのはお前だけではない」

火影

「それにお前の白式だが強くなったのは良いが更にエネルギー効率が悪くなってるぜ。荷電粒子砲を無暗に使いすぎだ。幾ら強い武装でも当たらなければ意味が無い」

一夏

「う~ん、確かにそうなんだよなぁ…。なんであんなに燃費悪いんだろ?」

 

一夏の白式は元々エネルギーの消費が悪い機体だったが、進化するとそれが改善どころか益々悪くなってしまっていた。荷電粒子砲を数発撃つとあっという間に無くなってしまうのである。

 

海之

「何にせよこれからは射撃も訓練せねばならんな。…一夏、アラストルを暫く貸してもらえるか?新たな機能をUPしておこうと思う」

一夏

「お、マジで!」

火影

「…ん?…あれシャルじゃねぇのか?」

一夏

「えっ?」

 

見ると一夏の家の前にシャルロットがいた。そのシャルは何故かずっともじもじしていた。

 

シャル

(…どうしよう…、火影達が泊っているって聞いたから来ちゃったけど…、いきなりじゃ迷惑かな…?でも電話するのもなんか恥ずかしかったしなぁ…)

 

どうやら火影を訪ねて来たようである。

 

火影

「シャル?」

シャル

「うわ!!」

 

少々オーバーな位シャルは驚いた。

 

シャル

「ひ、火影!?それに一夏や海之も!なんでここに!?」

火影

「なんでって、学園で訓練して今帰って来たんだよ。それよりどうした?」

シャル

「あ、あ、あ、あの…、ぼ、僕IS学園のシャルロット・デュノアと申しますがここは織斑一夏くんのお宅で間違いございませんか!?」

一夏

「……ほんとどうしたお前?…まぁいいや。とにかく早く上がろうぜ。暑いしさ」

シャル

「う、うん…」

 

 

…………

 

一夏

「ほい麦茶」

シャル

「あ、ありがとう…。一夏の家って綺麗だね。しっかり整理整頓されてるし」

海之

「俺達も最初に来た時は驚いた」

一夏

「まぁな。千冬姉がこういう事めっぽう苦手だからなぁ」

シャル

「そうなんだ…。ちょっと意外かも」

 

といいながらシャルロットはさりげなく三人を見る。三人とも自分達のISと同じ色の服を着ている。つまり一夏は白、海之は青、そして火影は赤だ。

 

シャル

(…やっぱり火影は赤色が似合うなぁ…)

火影

「シャル。今日の服も似合ってんな」

シャル

「!! あ、ありがとう!!」

 

いきなりの不意打ち発言に激しく動揺してつい大声で返事するシャル。

 

シャル

(び、びっくりした…、でも似合ってる…か…、えへへ♪)

 

とその時、

ピンポーン!

 

一夏

「ん?誰だろ?はーい」

 

そう言って一夏は玄関に向かった。…暫くすると一夏につられて箒とセシリアが来た。

 

箒・セシリア

「「おじゃまします」」

「ああシャルもいたか」

セシリア

「こんにちは。火影さん、海之さん」

シャル

「箒、セシリア」

火影・海之

「「ああ」」

セシリア

「一夏さん。これ御土産ですわ」

一夏

「お、サンキュー!」

 

更に、

ピンポーン!

 

一夏

「?今日はお客さんが多い日だな?はーい」

 

そういうと再び一夏は玄関に行った。

 

火影

「この流れはおそらく…」

海之

「ああ、多分な」

シャル

「どうしたの二人とも?」

 

すると玄関から来たのは、

 

「こんにちは~火影~♪…ってシャル?」

シャル

「あ、あはは…」

火影

「おう鈴」

ラウラ

「失礼する。おはよう海之、火影」

「お邪魔します…。こんにちは海之くん、火影くん」

海之

「ああおはよう」

火影

「おはよう二人とも」

「随分大人数になったな。後は…本音位か」

「あ、本音は今日は家の用事で来れないって言ってた」

セシリア

「そうですのね」

(シャル~、抜け駆けは駄目っていったでしょ)

シャル

(ち、違うよ!そんなのじゃないって!)

(ほんとに~?…まぁ今回は信じてあげるわ)

「あっ、ほら一夏。これ差し入れ」

一夏

「サンキュー…って、これってさっきセシリアがくれたのと同じ店か?」

セシリア

「…ほんとですわね。最近できたばかりのケーキ店ですわ。折角ですから皆さんで頂きません事?」

一夏

「いいね。さっきまで訓練してきたから丁度腹減ってたし」

海之

「では俺は紅茶を入れよう。キッチン借りるぞ一夏」

 

そう言うと海之は立ち上がってキッチンへ入っていった。

 

「あっ、海之くん手伝うよ」

ラウラ

「海之、私も手伝うぞ」

 

簪とラウラも海之の後を追いかけた。

 

「…海之も隅におけんな」

セシリア

「本当ですわね」

一夏

「? なんの話だ?」

火影

「ああ。だがあいつは決して鈍くは無い。あの二人の事もしっかり考えてるし、守るべきものとして認識してるさ」

 

火影は海之が、かつてのバージルである彼は以前とは大きく変わったと思っている。多分自分以上に。

 

「…あ、あのさ火影。ひとつ聞いて良い?」

火影

「ん?」

シャル

「じゃ、じゃあさ、火影にとって僕や鈴は…、どうなのかな…?」

火影

「どうもこうも当たり前だろ?鈴もシャルも、僕にとって大切な存在だ。…一夏、トイレ借りるぜ」

 

そういうと火影はトイレに行ってしまった。

 

鈴・シャル

「「……」」

セシリア

「なんというか…やっぱり凄い方ですわね」

「うむ。…良かったな二人とも。まぁ好意という意味では少し物足りないかもしれんが」

「…ううん。あいつらしいもん」

シャル

「うん。僕も同じ…」

一夏

「? なぁ何の話だって?」

「…こいつにも見習ってほしいものだ」

セシリア

「同感ですわ…」

一夏

「?」

 

 

…………

 

火影達はセシリアや鈴が持ってきてくれたケーキと海之が入れた紅茶でティータイム。因みに苺が好きな火影はここでもショートケーキ。海之は抹茶のケーキを選んでいた。とそこへ、

 

ガチャッ

玄関の扉が開いた音がして入って来たのは千冬だった。

 

一夏

「おかえり千冬姉」

千冬

「ああ。…これは随分大人数だな」

全員

「「「お邪魔しています。先生」」」

一夏

「千冬姉。セシリア達が持ってきてくれたケーキがまだあるけど食べる?」

千冬

「いやいい。お茶だけ貰えるか?」

一夏

「へ~い」

 

そう言うと一夏はお茶を取りにキッチンに行き、千冬はリビングのソファに腰掛けた。

 

(…千冬さん…)

ラウラ

(ふむ。休暇の時の教官はこんな感じなのか)

シャル

(いつもと全然違う…)

 

そう。千冬は日頃の仕事着とはまるで違うラフな格好だったのだ。その違いに少女達はみんな驚いている様であった。

 

一夏

「はい」

千冬

「すまんな。…どうだ海之、火影。二人ともゆっくりできているか?」

海之

「はい。問題ありません」

火影

「ありがとうございます」

千冬

「それなら良い。…そうだ海之、お前が昨日作ってくれた酒のあて。旨かったぞ」

海之

「喜んでいただけて何よりです」

一夏

「千冬姉気にいってたもんな~」

セシリア

「そういえば男性御三方はみんなお料理できるんでしたわね」

一夏

「ああ、二人の手順凄いぜ。全然無駄が無いんだ。おまけに料理もめちゃ旨かったしな」

シャル

「確かに前に食べた火影のパニーニも凄く美味しかったね」

「海之の玉子焼きだってそうよ」

海之

「大したことは無い。ギャリソンには遠く及ばない」

「ギャリソンさんって?」

火影

「ああ、俺達の家の執事長だ。今度スメリアに行った時紹介するよ」

 

~~~~~~

とその時千冬の携帯が鳴った。

 

千冬

「…はい。ああ真耶か……ふむ、わかった」ピッ「一夏、すまんがまた出る。帰りは遅くなるからな。お前達もゆっくりしていけ。ただし…泊りは無しだ」

全員

「「「は、はい!」」」

 

少女達は妙に緊張して返事をした。と出て行く前に千冬は海之に話しかける。

 

千冬

「…海之。スメリアに行くのは四日後だったな?」

海之

「はい」

千冬

「その…、お前さえ良ければだが、それまで私の酒のあてを、作ってもらって良いか?」

海之

「? はい、構いません」

千冬

「そ、そうか。ありがとう。…ではな」

 

そういうと千冬は出て行った。

 

ラウラ

「教官…」

「織斑先生…やっぱり…」

シャル

「これは…、ラウラと簪に強力なライバル出現の予感…」

セシリア

「ええ、本当に強敵ですわ…」

「…まさかあの千冬さんが…」

「大雪が降らなきゃいいけど…」

男性陣

「「「?」」」

 

気付いていないのは男性陣だけの様である。

 

一夏

「そういえば飯で思い出したけど夕飯どうする?折角だからみんな食べてくか?」

「一夏達さえよければそうさせてもらおうか」

 

他のみんなも同意見だった。

 

一夏

「りょーかい」

火影

「んじゃ今日は誰が作る?」

海之

「先生のあてを作らねばならんから俺が」

一夏

「ああ海之。山田先生の呼び出しで夜遅いという事は飲んでくるから今日は多分いいぜ」

海之

「…ふむ、そうか」

「じゃあ家に招待してもらうお礼も兼ねて今回は私が作ってあげるわ」

「ふむ。一理あるな。では私も作ろう」

シャル

「僕も久しぶりにやってみようかな。以前は良く作ってたから」

ラウラ

「無論、私も加勢する」

「じゃあ私はみんなを手伝うよ」

セシリア

「もちろん私も」

 

とその時、

 

一夏

「セシリア!俺と一緒に作ろう!」

セシリア

「へ?ほ、本当ですか!?」

 

一夏がセシリアと一緒にやると言いだした。さぞ箒が反対すると思いきや、

 

「そ、そうだな!一夏、手伝ってやれ!」

 

以外にも箒も賛成した。

 

セシリア

「ありがとうございます!」

(…一夏さんと一緒に。…最高ですわ!)

一夏・箒

((…ほっ…))

火影

(どうした二人とも?)

一夏

(…聞かないでくれ…)

(あの悲劇を繰り返すわけにはいかん…)

火影

(?)

 

その後全員でゲームをしたりしながら夕方まで時間を過ごした。




次回後半に続きます。

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