IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
この日は前日見ることができなかったスメリアの街をそれぞれのグループに分かれて探索する事になった。探索する中で火影や海之、その両親の知り合いという人々に出会う一夏達。彼等の歓迎を受けながら一夏達は二人の故郷であるスメリアを改めて良い国だなと感じていた。
多くの出会いがあったスメリア二日目が過ぎ、滞在は三日目となった。
この日は火影と海之の父アルティスが興した会社、エヴァンス・セキュリティ・コーポレーション。通称ESCの本社を訪れる予定である。全員前日の夕食時にその予定は聞き、みなそれなりに緊張していたがESCの社長と会う事を只一人知っているシャルロットの緊張は一際だった。
シャル
「……」
一夏
「シャル、そんなに緊張すんなって」
セシリア
「緊張するなという方が無理ですわ…。でもシャルロットさんは特にですわね」
本音
「一言も喋って無いよ~?」
箒
「ESCか…。その本社となれば確かに緊張するな。制服を持ってくればよかったか」
海之
「気にしなくて良い。ESCの社員は普段私服での出勤だ。それに今は夏季休暇中の社員もいるから何時もより人は少ない」
鈴
「世界的企業にしては結構ラフな会社なのね」
ラウラ
「なるほど。これがクールビズというものか」
火影
「いやそれは夏だけだって。んじゃ行くか。シャル、乗れ」
シャル
「あ!うん!」
そう言うと火影とシャルロットはバイクで。海之達は車で向かう事になった。
…………
そして家を出発してから約20分後。一行はESCの本社前に到着した。
シャル
「これがESCの本社…」
本音
「大きいね~!」
セシリア
「ええ流石ですわ。おまけに周りに多くの施設もありますし、まるでここ自体が一つの街みたいですわ…」
箒
「本当だな」
ESC(エヴァンス・セキュリティ・コーポレーション)
火影と海之の父であるアルティス・エヴァンスが興した会社。主な業務はプログラムやソフトの開発である。ESCが生み出した多種多様なそれらは世界中で使われており、特にセキュリティに関する物はスメリアの島全体で、そして世界の最重要施設で使われている(IS学園には現時点でまだ使われていない)。
私有地の中には本社の建物以外に社員のための社宅、小さ目ではあるが競技場、ショッピングセンター、病院、コインランドリーや簡単な娯楽施設もあり、一見ひとつの街の様だ。
鈴
「ねぇ火影。ここってどれ位の広さがあるのよ?」
火影
「ん~考えた事ねぇが…少なくともIS学園よりは大きいのは違いないな」
一夏
「……うっそだろおぉぉぉ!」
ここでも一夏の声が響いた。
海之
「…では入ろうか」
ラウラ
「うむ」
そして一行はESCに入った。
ガーッ
ピッ!キュイィィィィィィィン!
すると突然自分達の周りで機械音がしだし、更にレーザーが当てられる。
一夏
「えっ!な、なんだ!?」
火影
「ああ言い忘れてた。これは入社の際に行うチェックシステムだ。不審物を持って入られない様にな」
海之
「刃物類、化学物質、爆発物、更に危険人物特定等何重ものチェックを行う。また中でも造られないようあちこちに秘密のシステムがある。因みにどのようなシステムかは俺達はおろか社員も知らない。知っているのは社長始め僅かな者だけだ」
セシリア
「社員の方々も知らないって…大丈夫ですの?」
火影
「大丈夫大丈夫。怪しい事さえしなけりゃなんにもねぇから堂々としときゃ問題ねぇって」
箒
「そ、そういうものか」
一行はチェックを無事クリアし、社内に入った。外からは分からなかったが建物は中央部分が屋上にあたる部分までほぼ吹き抜けとなっており、上まで見渡せた。夏季休暇中以外の社員達は上の階にいるのかメインフロアに社員は受付嬢以外に見られなかった。
本音
「きもちいいね~!」
海之
「地上60階建。屋上は空中庭園になっている」
一夏
「空中庭園!後で行ってみようぜ」
鈴
「そうね。みんなで行きましょ」
海之
「わかった。ではその前に…シャルやお前達に会いたいという人の所へ連れて行こう…」
シャル
「…う~ん緊張するなぁ~」
ラウラ
「どうしたシャル?…それに火影も」
火影
「ああ…大丈夫だ…ちょっとな。んじゃ行くか…」
火影・海之・シャル以外
「「「??」」」
そして全員はメインフロアを横切ってとある部屋の前にたどり着く。その部屋には…「President's office」と書かれていた。
一夏
「…なぁ火影、海之。シャルや俺達に会いたい人って…」
火影
「…まぁそう言う事だ…」
シャル
「あはは…僕も同じ気持ちだよ…」
箒
「…やはり制服を持ってくればよかった」
セシリア
「ご、御無礼が無い様にしませんと!」
鈴
「へ、変なところないわよね!?」
本音
「う~んだいじょぶだと思うよ~?」
ラウラ
「こんな状況でも変わらぬお前が羨ましいぞ…」
海之
「…ふぅ」
コンコンッ
全員
「「「失礼します!」」」
ガチャッ
そう言って扉を開ける。しかし、
海之
「…?」
火影
「あれ?」
一行は疑問に思った。
入った社長室はやはりそれなりに大きな部屋。手前側に応接スペース。そして奥に社長が使うと思われる大きいデスク。更にその奥には外に続いているのか大きい窓とガラス製の扉がある。外には芝生のヘリポートもあり、おそらく出張や外出から帰った時にすぐ部屋に行ける様にしているのであろう。しかし鍵は開いているのに肝心の社長らしき人物はいなかった。
セシリア
「…誰もいませんわね」
一夏
「もしかして留守か?」
箒
「しかし扉は開いていたぞ」
火影
「変だな。時間通りの筈だが…」
一行が悩んでいた。…その時、
ゴオォォォォォォォォォォ
外の方から大きくはないが何か音が聞こえる。
鈴
「な、なに!?」
ラウラ
「…空気の流れ?しかし飛行機やヘリ程では無い様だが」
みんなが考えていたその時、
ゴォォォォォォォ…ボフッ
奥のヘリポートに何やら着陸してきた。
全員
「「「えっ!?」」」
全員驚いた。どうやらパラシュートの様である。そして降りてきた人物はヘルメットを外しながらゆっくりとこちらに向かって来て外に続く扉を開けて入ってきた。肩までの短い髪で金髪の女性である。
ガチャッ
女性
「いや~すまん!予定より29秒程遅れてしまった!約束の時間までまだ15分程あったんでな!ただ待って時間つぶすのもつまらんし、折角だからひとっ飛びしてきたのだ!」
一夏達
「「「……」」」
一夏達は何も言えない様子だった。そんな中火影と海之は、
火影
「はは…相変わらずですね…。レオナさん」
海之
「…お久しぶりです」
レオナと呼ばれた女性
「ほんっと久々だなひー坊もみー坊も!といっても数ヶ月だけどな。しかし驚いたぞ!お前達がISを動かせるのは知ってたがいきなりIS学園に行くなんて聞いた時はな!まぁ篠ノ之束博士の推薦と聞いちゃこっちも協力せざるをえんかったが大変だったんだぞ!あの短期間で仕事やりながら二人と二人のISに関するもの全部終わらせないといけなかったんだからな!お礼に今度家に招待しろ!ギャリソンの飯食わせろ!」
二人の肩をバンバン叩きながらレオナという女性は大声で言う。
火影
「いててて…。す、すいませんでした。わかりました、こっちに帰っている間にいつでもどうぞ。ギャリソンにも伝えておきます」
レオナ
「そうか!ハッハッハ!いや楽しみにしておくよ!あと酒も忘れるなよ!」
海之
「…ええ」
一夏達
「「「……」」」
一夏達は何も言えなくなっていた。この女性に関してもだがどんな時でも余裕な表情を崩さない火影と海之がここまで委縮するとは…。そんな中ただ一人それを感じていない者がいた。
本音
「ねぇひかりん~?この人は~?」
火影
「!本音!」
レオナ
「…ひかりん?ハッハッハ!そうかお前そんな風に呼ばれているのかー!いやこいつは傑作だ!お前がそんなあだ名を許すとはな!…っとああすまん、自己紹介が遅れたな。私はレオナ・エヴァンス。ひー坊とみー坊の父親、といっても育ての親か。アルティス・エヴァンスの妹で一応ここの社長を務めている者だ。宜しくな!」
一夏達
「「「……えーーーーーーーーーーーーー!!」」」
レオナのイメージとして、一番近いキャラクターとしては作品は違いますがコードギアスのノネット・エニアグラムです。原作をあまり見ていないのでこちらも主にオリジナル小説やゲーム知識です。