IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
この日は火影と海之の父アルティスが興した会社、ESCを訪問する事に。世界的大企業だけあって一行が緊張する中、社長室を訪れると誰もいない。…と思いきや外のヘリポートに一人の女性がパラシュート降下してきた。その女性は火影と海之だけでなく、一夏達を圧倒する元気の良さで自分こそがESCの社長であり、二人の叔母であると打ち明けるのであった。
レオナ
「私はレオナ・エヴァンス。火影と海之の叔母でここの社長を務めている者だ。宜しくな!」
一夏達
「「「えーーーーーーーーーーーーー!!」」」
衝撃の事実に皆大声を上げる。
シャル
「こ、この人がESCの社長…」
セシリア
「予想外ですわ…いや予想以上と申しましょうか…」
一夏
「…気のせいかな…千冬姉や束さんとはまた別の凄さを感じる」
箒
「安心しろ一夏。私もそうだ…」
鈴
「ある意味あの二人以上かもしれないわ…」
ラウラ
「嫁や弟があそこまで小さくなるとは…」
本音
「ラウラン~、今は嫁や弟って呼ぶの止めた方が良いと思うよ~」
レオナ
「ハッハッハ!!褒め言葉として受け取っておこう!」
一夏
「…違う気がする」
火影
「はは…。まぁレオナさんは一見こんな人だけど経営者としての実力は本物だ。若干22という若さで幹部になり、30で社長になったんだ」
鈴
「30歳でESCの社長!?」
レオナ
「大袈裟だねひー坊。私なんて兄さんの足元にも及ばないさ」
海之
「そんな事はありません。父も貴女に会社を継いでいただいて誰よりも喜んでいる筈です」
レオナ
「…嬉しい事言ってくれるじゃないのさ。じゃあますます元気で頑張らないとね!」
火影
「いや…今でも十分すぎる気が」
一夏達
(うんうん…)
みんな心の中でそう思った。
レオナ
「…で、君達がひー坊とみー坊の日本の同級生かい?」
一夏
「あっ、はい。俺は…」
みなそれぞれ自己紹介を始めた。そして最後にシャルが自己紹介をする。
シャル
「は、初めまして。シャルロット・デュノアです…」
レオナ
「君がひー坊が言っていたデュノア社社長の娘さんなんだね」
シャル
「は、はい…。エヴァンスさんには父の会社を助けて頂いて本当に感謝してます」
レオナ
「気にすんな。困った人を放っておくのは嫌だからな。それに珍しく甥っ子からのお願いだったんだ。聞いてやりたくなるってもんさ。あと私の事はレオナで良いよ」
シャル
「あ、ありがとうございます…」
先ほどとは雰囲気が違うレオナにシャルも一夏達も少し気が楽になった。そして全員応接ルームに移動し、茶を出されてようやく一息つくことができた。
レオナ
「ああそうだ二人共。社員達にも会いに行ってやったらどうだ?きっと喜ぶぞ」
ESCの社員の中には二人の父アルティスの頃からの付き合いの者もいて二人の事を知っている者も多い。
海之
「しかしまだ勤務中では…」
レオナ
「固い事いうな。それに今は休暇中の者もいて仕事のペースもゆっくりだ。この子達の事は私に任せてお前らは気にせず行ってこい」
火影
「…分かりました。レオナさん、お願いします」
レオナ
「ああ任せておけ」
海之
「…ふぅ」
火影
「じゃあみんな後でな」
そう言うと火影と海之は部屋を出て行った。
バタンッ
そして扉が閉まった瞬間レオナが笑って女子達に訪ねる。
レオナ
「……で、君達の誰が二人の女なんだい?」
全員
「「「!!!」」」
予想外のいきなりの質問にみんな(一夏以外)酷く慌てた。
鈴
「い、い、いきなり何を仰るんですか!?」
レオナ
「ハッハッハ!いやすまん。私はあの二人がおしめをしていた頃から知ってるが二人がこれ程多くの女の子を連れてくるなんて今までなかったからな!ちょっと気になったのだ」
セシリア
「そ、それにしてもあまりに唐突では…」
箒
「まるであの時のデジャヴの様だ…」
レオナ
「う~ん……さっきひー坊を愛称で呼んだ君!君はひー坊に惚れていると思うがどうだ?もしかしてもう付き合っているのかい?」
本音
「ふぇっ!?え、えっと、えっと…」
突然の指摘に本音は言葉に詰まる。と、
鈴・シャル
「「付き合ってません!!」」
その言葉を聞いて本音ではなく鈴とシャルロットが大きく反応する。
レオナ
「……ハッハッハ!そうかそうか。しかし惚れている事はさっきの様子でわかるとして、この子じゃなく君達が反応するってことは…君達もあいつに惚れているってことだね?」
鈴・シャル
「「…あっ!!」」
そう言われた二人は真っ赤になって黙ってしまう。どうやら上手く乗せられてしまったようだ。
レオナ
「純情だね~。次にみー坊だが……君!」
そう言うとレオナはラウラを指さす。
ラウラ
「!な、なんで!?」
レオナ
「さっき話していた時に君だけ細かく動いてあいつの傍にずっと付いていたからね。気付く奴は簡単に気づくと思うよ」
ラウラ
「そ、そうなのか…!?」
自分でも気付いていなかった無意識の動きを指摘されて恥ずかしくなったのかラウラさえも赤くなって黙ってしまう。レオナは次に箒とセシリアを見比べる。
レオナ
「……君達はあの二人では無い様だね。さては」
箒・セシリア
「「言わなくて良いです!!」」
箒とセシリアは全力で止めた。
レオナ
「ハッハッハ!わかったわかった。…でもそんなにはっきり言うと認める様なもんだよ。良いねぇ若いって」
女子達は思った。
「「「「「千冬さん(教官)や束さん(姉さん)より凄い人だ…」」」」」
その一方一夏は、
一夏
「…なぁ、さっきからどうした?みんな大声ばっか挙げて」
レオナ
「……頑張んなよ二人共」
箒・セシリア
「「…はい」」
ここでも一夏の攻略の難しさを感じる二人であった。
レオナ
「いやからかってすまなかったね。あいつらが日本でどんな子達と一緒に学んでいるのか知りたかったんだ。でも良い子達ばかりで安心したよ」
鈴
「こ、こっちはかなりドキドキしましたけど」
レオナ
「ごめんごめん。でも本当に嬉しいんだよ?さっきも言った様に私は赤ちゃんの頃から二人を知ってるが…、こんなに多くの友達を連れてきた事は今まで無かったからさ」
セシリア
「そうなんですか?私達は昨日街でお二人の御友人の方々とお会いしましたけれど…」
レオナ
「ああ確かに友達はいるよ。でもそれは兄さ、…二人の両親の付き合いの延長で知り合った人が大半なのさ。どちらかと言えば同年代の友達は少ないかもしれないね」
…確かに昨日出会った人達も全てではないが火影達より年上の人が多かったとみんなは思った。
レオナ
「それにあいつらってさ、本当に16の子供か?って思う時があるんだよね。私より長く生きてるんじゃないかって感じる時があるよ。君達もそんな事は無いかい?」
一夏
「…そういえば…」
箒
「…確かにそうかもしれんな…」
セシリア
「…はい。お二人共とても一つしか違わないなんて、と思う時がありますわ」
シャル
「うん。僕も二人が時々凄く大人っぽく感じる時があるよ」
鈴
「そうね。それにいつも冷静で二人が慌てているところなんて見た事無い気がするわ。まぁストロベリーサンデーが好きなんてところは子供っぽいけど」
ラウラ
「うむ。確かにあの冷静さと判断力は年相応のものとは思えん」
本音
「まぁそこがカッコいいところだけどね~♪」
鈴
「…ま、まぁね」
シャル
「う、うん…」
ラウラ
「…ああ」
みんなそれぞれ二人に対してそれなりに思う事があるようだ。
レオナ
「…君達も感じたんだね。…実は…これはあの二人には言ってないんだけどね。私がESCの社長になった時、私は二人を引き取ろうと思ったんだよ」
一夏
「レオナさんが?」
レオナ
「ああ。私が社長に就いた時二人は9歳だった。まだまだ子供だったし保護者になる人が必要だろうってね。収入面も問題なかったし密かに相談していたギャリソンらも賛成してくれていたし。……でも、できなかったんだ」
本音
「どうしてですか?」
レオナ
「……わからん」
箒
「えっ?」
レオナ
「多分私が二人に打ち明ければできたとは思う。でも…なんというか、ある日私みたいな奴には無理かもって感じたんだ。あいつらは…こう、なんだろう、特別というか。…おかしな話だろう?いい歳した大人がたかが小学生位の子供相手に恐縮するなんて」
一夏達
「「「………」」」
みんなは黙って聞いていた。若干30という若さで世界的大企業の社長にまでなったレオナ。しかしそのレオナさえも火影と海之は自分とは違う特別な存在であるという。
レオナ
「だから私はギャリソンやみんなと一緒に二人を見守る事にしたんだ。誤った方向に行きそうになったらその時は出て行って助けてやろうってね。そしたら私達の心配なんてどこへやら、二人共勇気に溢れていて頭も悪くなくて腕っぷしも良い。そして誰かのためにという気持ちが人一倍強いあんないい子に育ったよ。私がもう15年若ければ惚れてしまう位ね」
シャル・鈴・本音・ラウラ
「「「「…えっ!?」」」」
再び二人に好意を持つ四人は声を出した。
レオナ
「…ぷっ、あははは!冗談だ。本当に純情だな君達は」
シャル・鈴・本音・ラウラ
「「「「うぅ…」」」」
再び四人は赤くなって黙ってしまった。
レオナ
「…話を戻すよ。…でもだからこそ時々心配になるんだよ。あいつらは余りにも周りの事ばかり考えて自分の事を疎かにする。無茶ばかりしがちなんだよ。その上決して弱音を吐かない。私でさえ聞いた事がないからね。…だから君達にお願いしたいんだ。もし…あいつらが悩み苦しんだら、その時は力になってやってほしい。これはおそらく君達しかできない。…頼む」
一夏達
「「「………」」」
一夏達はレオナの本心を黙って聞いていた。そしてやはり彼女も二人の事を心から愛しているという事をみんな感じ取った。
一夏
「…俺はレオナさんが言った事、何となくわかります。火影と海之が俺達とはどこか違うっていう事。歳もそうですが、男性のIS操縦者ってだけじゃ説明できない…。多分、あいつらには俺達が知らない何かがある。それもかなり大きな」
箒
「一夏…」
同じ男子として普段から過ごす事が多い一夏も二人に対して何かを感じ取っている様だった。
一夏
「…でも一つだけはっきり分かる事があります。あいつらは良い奴です。例えあいつらの秘密がわかってもそれは変わりません。何があってもこれからも俺の友達です。俺が何度も助けられたように俺もあいつらを助けます。約束します」
本音
「うん!ひかりんもみうみうも私達の友達だよ!」
箒
「うむ。助けられてばかりじゃ真の友とは言えません。私も二人を助けます」
セシリア
「そうですわね。火影さんも海之さんも、私の守りたい大切なお友達ですわ」
鈴
「当たり前です!むこうが来るなって言っても離れたりしてやりません!」
シャル
「僕も同じです!火影達だけに背負わせたりしません!」
ラウラ
「当然です。家族も友達も助け合うものです」
レオナ
「…ありがとう、みんな」
全員が同じ思いだった。火影と海之を信じていた。…その時丁度火影と海之が帰って来た。
ガチャッ
海之
「戻りました」
火影
「すいません、…あの、どうしました?」
一夏
「な、なんでもねぇよ~」
レオナ
「ああなんでもない。ただお前達への告白はいつするのか彼女らに聞いていただけだ♪」
シャル
「!!レ、レオナさん!?」
鈴
「なんでもない!冗談だから気にしないで!!」
本音
「わ、忘れてね~!?」
ラウラ
「私は既に嫁宣言しているが…」
海之
「余計な事を言うな」
火影
「レオナさんも遊ばないでくださいよ…」
レオナ
「ハッハッハ!…さてと、まだまだ楽しませてもらいたいところだがこの後退屈な会議の時間だ。悪いな」
海之
「いえ。時間を取って頂いて感謝しています」
火影
「あとほんとに元気で」
レオナ
「またいつでも来いよ二人共。まぁでもあと丸四日いるんだろ?帰る迄に家行くからな。ギャリソンとも久々に酒飲みたいしな」
シャル
「ギャリソンさんってお酒飲むんだ」
火影
「ああしかも二人共かなりの酒豪だ。酔ってるとこ見たこと無い」
レオナ
「兄さんは全然だったけどな。さ、私は忙しい。この後はゆっくり社内見物だったりなんなりするといい」
一夏達
「「「ありがとうございました」」」
火影
「じゃあレオナさん。失礼します」
海之
「お手数おかけしました」
バタンッ
そう言うとみんなは出て行った。
レオナ
「…ひー坊、みー坊。良い友達を持ったな。…みんな、二人の事頼むな」
レオナはそう呟いて会議に発った。
次回更新また少し遅れます。すいません。