IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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スメリアも滞在は四日目に突入していた。
この日はみんなでプールに行こうと予定を組んだところ突然客が訪れる。それはなんと行けないと言っていた簪であった。思わぬ来訪だったが全員は喜び、みんなでプールに遊びに行く事に。
楽しい時間はあっという間に過ぎた中、突然火影がある場所に行きたいと言い、全員でとある場所に向かう。それは火影と海之の両親の墓だった。


Mission73 兎 エヴァンス邸へ

スメリア滞在五日目。この日は前日のプールで遊び過ぎた事もあり、みんな疲れている様なので家でゆっくりする事に。簪の部屋は一夏が一人で部屋を使っていたので同じ部屋にという話も出たが簪の事情を知っている海之が他の男子と同じ部屋にまだ慣れていないと上手くフォローし、結果ラウラが一夏と相部屋となって簪はシャルと相部屋になった。(もちろん箒とセシリアは一夏と相部屋になりたそうにしてた)そんな日の翌日昼過ぎ、彼等は広間に集まってある事をしていた。

「違うぞ一夏。この問題を解くカギは別にある」

一夏

「ああくっそ~違ったか…」

セシリア

「頑張ってください一夏さん。あと少しで解けますわ」

「…ねぇシャル。これの訳はこれで合ってる?」

シャル

「えっと…。うん大丈夫だよ」

ラウラ

「……よし!なんとか解けたぞ!」

本音

「やったねラウラン~」

「といっても10分位かかったけどね。ラウラって大抵の教科できるのに哲学や倫理は苦手なのね」

 

そう、彼等は今課題の真っ最中であった。幾ら旅行とは言っても有効な時間を使って課題はしなければならない。しかしそこに火影と海之の姿は無かった。

 

一夏

「しっかしあの二人何時の間に課題進めてたんだよ~。海之なんてもう八割も終わらせてたなんて…」

本音

「ひかりんも七割近く終わらせたって言ってた~」

セシリア

「何でも私達の旅行があるので普段以上にペースを早めたという事ですわ」

一夏

「そんなに終わらせてたなら少し位手伝ってくれても良いのによぉ~」

「文句ばかり言わないの。明日のために頑張んなさい」

シャル

「そうだよ一夏。海之が言ってたけど明日はこの国一番の花火大会なんだから」

「それにしてもあの二人は気が利くな。私達のために浴衣を手配しに行ってくれるとは」

 

火影と海之はギャリソンを伴って二日目に海之とラウラが行ったシンディアのブティックに彼女らの浴衣を手配しに行っているのである。

 

「いいのかな、みんなと違って昨日来たばかりなのに私まで用意してもらって…」

「気にしない気にしない。用意するって言うんだから甘えておきなさいな」

ラウラ

「浴衣か…。着た事ないのだが私に似合うだろうか…」

シャル

「大丈夫。もっと自信を持ってラウラ」

 

ガチャンッ

その時玄関の扉が開く音がした…。

 

海之

「ただいま」

ギャリソン

「皆さま、留守にし申し訳ありませんでした」

「あっ、お帰りなさい二人共、ギャリソンさん」

火影

「悪いな遅くなって。はいこれアルさんとデウスの店のケーキ」

ギャリソン

「では私はお茶の準備を致しましょう」

海之

「すまない」

 

そう言ってギャリソンは厨房に向かった。

 

本音

「ねぇひかりん~、私達の浴衣は~?」

火影

「ああシンディアさんに頼んできた。随分張り切ってたぜ」

シャル

「ありがとね火影。浴衣僕も初めてなんだ。楽しみだな~」

「私も久しぶりだ」

 

とその時、

 

…ドンッ!!…

 

ラウラ

「!なんだ!」

 

突然外から何か大きな音がした。するとギャリソンが来る。

 

ギャリソン

「海之様、火影様。何かが御庭に落下してきた様でございます!」

海之

「なんだと?馬鹿な、セキュリティは探知できなかったのか?」

ギャリソン

「はい、熱源はおろか何も感知できませんでした。まるで隕石でも落ちてきたかのように。直ぐに部下を向かわせますので皆様は」

火影

「いやギャリソン。ここは僕と海之が行く。ギャリソンは念のために待機していてくれ」

ギャリソン

「しかし危険でございます!」

海之

「大丈夫だ。もしもの時はISを使う。みんなはここで待って」

一夏

「ストップ!それは無いぜ二人とも。俺も行くぜ!」

ラウラ

「私も行くぞ海之」

シャル

「火影達だけ行かせるわけにいかないよ!」

 

全員同じ気持ちだった。

 

火影

「…わかった、んじゃ行くぞ。本音は危ねぇからここにいろ」

本音

「うん…気をつけてねひかりん、みんな」

海之

「ギャリソン、一応警備レベルを上げておいてくれ」

ギャリソン

「皆様…どうかお気をつけて…」

 

 

…………

 

そして火影達はそのポイントに到着した。良く見ると確かにある物が落ちてきていた。それを見て火影達は、

 

全員

「「「………」」」

 

全員黙っていた。ただしその理由は落ちてきたそれが何か分からなかったからではない。はっきりわかったからである。何故ならそれは、

 

一夏

「…なぁ箒…これって」

「……」

「目がおかしくなければ…あれよね?」

セシリア

「ええ…あれですわ…」

「…うん、あれだと思う…。このニンジン…」

 

そう、目の前にあるのは巨大なニンジン。正確に言えばニンジン型のロケット。全員がそれに心当たりがあった。すると、

 

パカッ

突然ロケットの側部が開いた。そしてそこから、

 

「ほーーきちゃーーん!!」

「えっ!?」

 

突然勢い良く走り出てきたそれは箒に抱きついた。

 

「うわっ!」

「箒ちゃーん!我が愛しの妹よ!お久しぶりー!」

一夏

「はは。やっぱり…」

火影

「…もう驚く気にもならん」

海之

「…ハァ」

 

それはやはり箒の姉、束だった。

 

「ね、姉さん離してください!恥ずかしいんですから!」

「え~なんで~?折角の仲良し姉妹の感動的再会なのに~!」

「どこが感動的ですか!火影達やみんなに迷惑かけて!」

「あっそうだった。ごめんねひーくんみーくん。てへ♪」

 

…反省はしていない様である。すると遅れてクロエも来た。

 

クロエ

「ご無沙汰しております火影様、海之様、それに皆さん。あと御迷惑をおかけし大変申し訳ありません」

火影

「クロエ。いやお前が謝る事ねぇが、ただ少し焦ったぞ。何が落ちてきたんだと思ったからな」

海之

「だがロケットなら何故セキュリティが反応しなかった…?」

セシリア

「そうですわね。ギャリソンさんのお話では熱源も生命反応も出なかった様ですし…」

クロエ

「それでしたらご説明できます。…確かに普通のロケットなら直ぐに探知されてしまいます。ですが私達のロケットは少々特別でして生命反応が探知されない、あとステルス機能をもつ特別なコーティングを施しています。更に」

「まってまってクーちゃん!束さんにも説明させて!でもそれだけじゃアルティスさん家のセキュリティには簡単に引っかかると思ってさ。なにせあの人のシステムだもんね。だからちょっとした裏ワザを使ったんだよ♪」

ラウラ

「裏ワザ?」

 

すると何やらロケットを見ていた海之が言った。

 

海之

「…束さん。ロケットの地面へのこの突入角度からして…システムの範囲外、ここの真上からエンジンも電気系統も切って自由落下しましたね?」

束・クロエ以外全員

「「「!!」」」

クロエ

「その通りです海之様」

「ピンポーン♪いや~相変らず冴えてるねみーくん!」

一夏

「な、なんだってー!?」

「なんてバカな事!」

シャル

「…やっぱりレオナさんより凄い」

「全くだわ…」

海之

「…まぁひとまず安全である事はわかった。一旦家に戻ろう。みんな心配している筈だ」

 

束とクロエを引き連れて一行は家に戻る事になった。思わぬ来客に家の者達は驚いた様だったが火影達が事情を説明してなんとか場は収拾した。尚、彼女らのロケットは全員で家の直ぐ近くまで運ばれた。

 

 

…………

 

エヴァンス邸 広間

 

束とクロエは客人として迎えられた。

 

「う~んここのお店のケーキ美味しいね~!」

クロエ

「はい。あとこの紅茶もとても良い香りです」

火影

「…で束さん、クロエ。二人共どうしてここへ?」

「ああそうだった!…前に二人共お家に招待してくれるって言ったでしょ?だから来たんだよ~!場所ならリサーチして知ってたしみんながいるのは衛星で見て分かったし、今がジャストタイミング~って思ってね♪ちーちゃんもいれば更に良かったんだけどね。今から日本に飛んでって連れてこよっかな~?」

「お願いだから止めてください!」

海之

「約束…ああ俺達が魔具の設計図をお渡しした時の…」

ラウラ

「?魔具とはなんだ?海之」

海之

「ああ。お前達のデビルブレイカ―や一夏のアラストルの事だ。総称して魔具と呼ぶ。魔法の道具、とでも覚えておけ」

「魔法の道具…魔具…」

 

本来はそうではなく魔力を持った武具という意味なのだが海之は誤魔化した。

 

「あっ!魔具で思い出した!もうひとつあったんだった!ちょっと待ってて~!」

 

そう言うと束は全速力で外へ走って行った。

 

本音

「束さん相変わらずだね~」

「我が姉ながら…本当に申し訳ない」

「クロエだっけ、あんたも大変でしょ?束さんの助手って」

クロエ

「…まぁそれなりに。でもああでなければ束様では無い様な気もしますし」

火影

「はは、まぁ確かに。ああそうだギャリソン、束さんとクロエの部屋の準備を宜しく頼む」

ギャリソン

「ご心配ありません。既にできております、火影様」

セシリア

「流石ギャリソンさん。お仕事が早いですわ」

シャル

「そういえば…火影達と束さん達がいつ知り合ったのは前に聞いたけどクロエさんは束さんとはどうやって知り合ったの?」

クロエ

「…私は…ある場所で生き倒れていた所を束様が見つけてくださったんです。それから束様の助手を務めております」

シャル

「!……ごめんなさい」

クロエ

「気になさらないで下さい。もう過去の事です」

ラウラ

「……」

火影

「クロエも僕や海之と同じく拾われたのか…。まぁそういう事なら同じ拾われっ子同士、これからより仲良くしようぜ」

海之

「フォローになってないぞ。…まぁ言いたいことはわかる。クロエ、お前も俺達をもっと頼って良いからな」

一夏

「もちろん俺達もだぜ!クロエ」

 

全員が三人の言葉に頷いた。

 

クロエ

「…ありがとうございます火影様、海之様。それに皆さん」

 

クロエは笑って返事をした。…そして束が外から戻って来た。何やら手に大きなアタッシュケースを持っている。

 

「よいしょっと!」

ラウラ

「大きいケースだな」

セシリア

「そうですわね。私達のデビルブレイカ―が入っていたケースかそれ以上ですわ」

海之

「…束さん、まさかこれは」

「そ♪やっとできたんだよ~ワンちゃん!」

一夏

「わ、ワンちゃん?」

クロエ

「そんな名前ではありません。「ケルベロス」といいます」

ラウラ

「それって…」

「この前臨海学校で火影が言ってた…」

火影

「でも束さん。予定では末頃になるって…」

「タイミングを合わせるために急ピッチで進めちゃった♪」

海之

「流石です、ありがとうございます束さん。待たせたな簪。お前に約束していたものだ」

「…これが私の…」

セシリア

「ケルベロス…。ギリシャ神話に出てくる3つ首の犬の怪物ですわね」

「その通り♪3つの力と形態を持つ武器なんだ!箒ちゃんの紅椿の展開装甲みたいだけど全然違うものだよ」

「3つの力…なんだか聞いただけで凄そうね」

海之

「簪。あとはお前の専用機の完成を待つだけだな」

本音

「かんちゃんおめでとう~!」

シャル

「良かったね簪!」

「うん…ありがとうみんな。そして篠ノ之博士」

「んじゃさっそく試してみようか♪」

「…えっ?今から?」

「モチ!」

「で、でも私まだ」

火影

「心配すんなって。海之と僕がサポートするから」

「…うん、わかった」

「んじゃ早速レッツゴー!…あ、いっくん運ぶの手伝って~♪」

一夏

「へ?は、はい」

 

そして全員屋敷の外へ移動した。




次回 キングケルベロス登場です。

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