IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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これは火影達がスメリアから帰って来た数日後のお話です。


Extramission04 お化け屋敷パニック

スメリアから帰国して数日が経った。

セシリア、ラウラ、シャルロットは今現在それぞれの国に帰国中。一夏、箒、簪、本音はぞれぞれの家へ。火影、海之、鈴は寮に残っている。そんなある日の昼頃、外出していた火影と海之が帰って来た。

 

火影

「あの辺りの海域や島は一通り調べたが…やっぱ何も無かったな」

海之

「…うむ」

 

二人は先月の臨海学校の際、あの黒いIS群と戦ったのだがその反応が出現したというポイントを調べてみたいと思い、千冬にお願いしてそのポイントを教えてもらって早朝から調査に行っていたのだ。しかしその地点を中心に周辺の海域や島等一通り調べてみたのだが何も新たな発見はなかった。ならばせめてパーツだけでもと思ったがこちらもまるで回収された様にひとつも見つけられなかった。

 

火影

「ちっ、以前の俺らなら目で探さなくても魔を感じる事ができたんだがな。…ってああこっちにはそもそも魔力は無かったか」

海之

「ああ。奴らも似ているとはいえ所詮只の機械だからな。魔力は無い。仮にあったとしても今の俺達には無理だ。無念だがな」

火影

「やっぱ次の動きを待つしかねぇか…」

 

その後二人は千冬に結果を報告して別れた。海之はこの後一夏の家に行って課題を手伝う予定である。一方の火影はまだ予定が決まってなかった。

 

火影

「やれやれ…部屋に戻ったらシャワー浴び…ん?」

 

火影は自分と本音の前に誰かがいるのが見えた。…鈴だ。入ろうか入らないかで悩んでいる様である。火影は構わず近づく。

 

火影

「どうした鈴?」

「ひゃあ!…ひ、火影!あんたなんでここにいるの!?」

火影

「ああ、海之と出かけてて今帰って来たんだよ。お前こそどうした?」

「う、うん。実はこんなもの貰ったんだけど…良かったら一緒に行かない?と思って…。へ、変な勘違いしないでよ!使わなきゃ勿体無いし…」

 

鈴が見せたそれは遊園地のペアチケットだった。

 

火影

「どうしたんだコレ?」

「ショッピングモールの福引きで当たったのよ。それで…どうかな?」

火影

「ああ別に付き合ってやっても良いぜ。今日はこの後何も予定ねぇし」

「ほ、ほんと?…良かった…」

火影

「良かった?」

「な、なんでもない!じゃあ私は着替えてホールで待ってるから!」

 

そう言って鈴は自分の部屋に戻って行った。

 

火影

「…んじゃさっさとシャワー浴びて準備するか」

 

そう言うと火影も準備を始めた…。

 

 

…………

 

それから数刻後。火影と鈴は電車で遊園地に向かった。その遊園地は島唯一の遊園地であり、本島からも多くの人が来る人気のスポットだった。夏季休暇という事もあって人はやはり多い。

 

火影

「やっぱすごい人だな」

「そうね。家族連れもたくさんいるわ。子供連れの親とか迷子にならないかって大変そうね」

 

とその時火影が手を差し出す。

スッ

 

「…えっ?」

火影

「掴まれ。逸れんなよ」

「…あ、ありがとう」

 

そして二人は遊園地に入っていった…。

 

 

…………

 

「次!あれ行くわよあれ!」

火影

「へいへい」

 

二人は遊園地のアトラクション、特に絶叫系をひたすら味わっていた。ジェットコースターやフリーフォールは勿論、スペースショット、ドロップタワー、ウォータースライダー等々。鈴はこう言ったものは大好物なようで全く大丈夫な様だ。火影は言わずもがな何の問題も無さそうである。そして次に鈴が指さしたのは、

 

火影

「…これか?」

 

それはゴーストハウス、いわゆるお化け屋敷だった。しかし何故か二人以上必須となっている。

 

火影

「お前大丈夫か?ここって確か…」

「大丈夫大丈夫!私こんなの全然平気なんだから♪あんたこそ大丈夫でしょうね?」

火影

「…後悔すんなよ?」

 

鈴は余裕の表情で火影の手を取って入っていった…。

 

 

…………

 

「グアァァァァァァァァ!!」

「ギャアァァァァァァァ!!」

「グオォォォォォォォォ!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

火影

「……」

 

二人は入ってからもう15分位進んでいたが鈴は途中からずっと火影にしがみついていた。さっき火影が言いかけたが実はこのお化け屋敷、「お化け屋敷好きでも入りたくない怖いお化け屋敷」として今話題となっている場所であった。火影はそれを事前に知っていたのだが鈴は知らなかったらしく悲鳴が止まらなかった。いつもの鈴なら火影にしがみついているので嬉しがるところだが今はそんな余裕はなさそうだった。

 

火影

「おい大丈夫か鈴?」

「だ、大丈夫…よ」

(…まさかここまで怖いなんて思わなかったわよ~…)

「あ、あんたよく平気ね…?怖くないの?」

火影

「全然」

 

前世で本物の悪霊や悪魔を山ほど相手してきた火影にとってはこんなもの子供の遊びの様なものだ。

 

「ど、どんな神経してんのよあんた。私でさえちょっとビビる位なのに…」

火影

「まぁ慣れってやつだ。………ん?なんだこの扉」

 

歩いて行くと目の前と横に扉があった。どうやら前の扉が出口な様だが扉は開かなかった。

 

「何で開かないのよ!」

火影

「落ち着け鈴。もうひとつの扉も調べてみようぜ」

 

次に二人は横の扉を調べた。こちらはスイッチで開く自動扉でスイッチを押すと直ぐ開いたがスイッチから手を離すと閉まってしまう造りだった。扉の先は薄暗く奥に続く部屋になっている様である。

 

火影

「ん?これは指示書きか?…ええと「誰かがここに残ってスイッチを押して扉を開け、別の誰かが中の部屋から出口を開けるための鍵を見つけなさい」か…、ああだから二人以上だった訳か」

「じゃ、じゃあ別れないといけないって事!?ど、どうしよう…」

火影

「…しゃあねぇな。僕が行って来るから鈴はここに残っててくれ。鍵見つけたらノックして知らせるからよ」

「わ、わかったわ…早く鍵を見つけてきてよ!」

 

そして鈴は扉を開けるために残り、火影は部屋に入って行こうとしたが、

 

火影

「…なぁ、なんで扉を開けっぱなしにするんだよ?」

「い、いいでしょ別に!」

 

そして火影は鍵を探すために部屋に入って行った…。

 

「早く帰って来てよ~…」

 

30秒も経ってないのだが只待つ鈴にとっては長い時間の様だ。…と、

 

ガタッ!

待っている者を驚かす仕掛けなのか何か音がした。

 

「きゃあ!なに!なに!?」

 

…だが特に何も無い様だ。そして約数秒後、

ガタガタッ

また先程と同じ様な音がした。

 

「きゃあぁぁ!…もう何なのよ~!火影~早くしてよ~!」

 

すると約30秒位経った頃だろうか、部屋の奥から大声で火影の声がした。

 

火影

「お~い鈴、見つけたぜ~」

「よ、良かった…。は、早く出ましょこんなとこ!」

 

鈴は部屋の奥にいるだろう火影に呼び掛けた。…するとその時、

 

「グオォォォォォォ!」

「オォォォォォォォ!」

 

最後の仕掛けか、ゾンビの群れが鈴に近づいてきた。

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

突然の事態にスイッチに手を置いたまま腰が抜けてその場に座り込んでしまう鈴。火影が急いで戻ってくるとゾンビは去って行った。火影の姿を見た途端、鈴はしがみついた。

 

「うぅ~、ヒック…」

 

どうやら泣いてしまっている様だ。

 

火影

「そんなに怖かったか。…おい大丈夫か鈴?立てるか?」

「……無理ぃ、立てないぃ…」

 

鈴は完全に腰を抜かしてしまったらしく立てないでいた。

 

火影

「じゃあ立てるまで待ってやるよ」

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…早く出たいよぉ…」

火影

「…ハァ、よっ」

「…きゃっ…!!」

 

鈴は自分の顔が火影の胸部分にあり、背中と脚に手を回されて持ち上げられる。いわゆるお姫様だっこをされた事を理解した。驚きの余り涙も引っ込んでしまう鈴。

 

「なななな、何を!?」

火影

「動けねぇんだろ。いいから掴まってろ」

「……」

(お、重くないかな?…い、いやそうじゃなくて!臨海学校の時といい、なんでこいつはこんな事簡単にできるのよ!?されているこっちの身にもなってみなさいよ!……け、決して嫌じゃないけど…)

 

火影はそのまま出口への扉を開けて外に出た。途中「お熱いね」「若いわねぇ」等の声が聞こえて鈴は真っ赤になったが火影は気にせず近くのベンチに移った。そして数分位経って、

 

火影

「大丈夫か?」

「…うん、もう大丈夫。…なんかごめんね、手間かけさせて」

火影

「そんな事は良いけど…まさか自分から誘っといてあんな怖がるなんて思わなかったよ」

「うっ…しょ、しょうがないじゃない!あんなに怖いものなんて思わなかったんだから!」

火影

「はは。…さてどうする?もう夕方だがそろそろ上がるか?」

「…じゃああとひとつだけ乗っていい?」

 

 

…………

 

「…綺麗~」

 

鈴が乗りたいと言っていたのは観覧車だった。そこからは学園を含めた街を一望でき夕陽も重なって美しい景色を見ることができた。

 

「ありがとうね火影。今日は楽しかったわ」

火影

「別に良いって。こっちも予定無かったし。あと鈴が幽霊が苦手ってのもわかったし」

「もう!誰にも言わないでよ!」

火影

「…そう言えば鈴、お前スメリアでも言ってたが中国に帰らないのか?みんな帰ってんのに。向こうにも家族がいるんだろ?」

「…うん。…ねぇ火影。少し話聞いてもらって良い?」

火影

「? ああ」

「…実はね。私が幼かった時、私の両親は中華料理店を開いてたの。結構繁盛したのよ。一夏も時々食べに来てて。一夏や千冬さんと知り合ったのもその時かな。…でもある時ね、私のお母さんとお父さんが離婚しちゃって…それでお店も閉めてしまってそのせいで私も中国に帰らざるを得なくなっちゃって…」

火影

「……」

「だから中国に家族はいないの。親戚の人達はいるよ。良い人だし。会いたいとは思うんだけど…でも、ね…」

火影

「…それで両親は?」

「…わからない。叔母さんとかは連絡取り合ってるって言ってたから元気でいるとは思うんだけど…」

火影

「ならそれで良い」

「えっ?」

火影

「無事でいるならそれで良い。会いたいと思えばまた会いに行ける。死んじまったらもう二度と会えないんだからな…」

「!…ごめん火影」

火影

「気にすんな。まぁ会いたくなったら会えば良い。あと親戚の人にも会いたくなった時に帰れば良いさ」

「うん…ありがとう火影」

 

そして自分達のゴンドラは地上に戻り、空は夕刻に差し掛かっていた。

 

火影

「…さて、そろそろ腹減ったな。なんか食って帰るか?」

「じゃあ久しぶりに火影の料理が食べたい♪」

火影

「久しぶりって…臨海学校の時にデザート作ってやったけど」

「あれはデザートよ!今度は料理!」

火影

「へいへい。…笑ったな」

「えっ?」

火影

「いつものお転婆で男勝りのお前らしく戻ったって事だ。そういう鈴の方が僕は好きだぜ?」

「だ、誰がお転婆で男勝りよ!……えっ、最後なんて…!?」

火影

「さぁな」

「ちょ、ちょっと!待ちなさいよ~!」

 

また赤くなりながら火影の後を追いかける鈴であった。




夏休みはもう1、2話続く予定です。
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