IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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かつてとある世界で伝説のデビルハンターとして生きた魔人ダンテ。そして兄弟でありながら宿敵でもあったダンテの双子の兄バージル。
新たな世界に転生し16歳となったふたりはこの数カ月の間に多くの事を経験した。
IS学園入学、新たな仲間達との出会い、前世の仲間達との再会、そして…見覚えがある異形な者達との対峙。ふたりは言い知れない予感を感じていた。世界はどうなるのか。ダンテとバージルの新たな姿、火影と海之の次なるパーティーが開幕。

※UAが55000に到達しました。ありがとうございます!


第六章 A turbulent new semester
Mission77 新章幕開け


一ヶ月以上に渡った夏季休暇が遂に終わり、IS学園は新学期に突入した。休暇の間母国や地元に戻っていた生徒達はすっかりリラックスできたようでみんな生き生きとした表情だ。それは彼らも例外ではない。

 

IS学園 1-1

 

セシリア

「おはようございます、みなさん」

一夏

「ようセシリア、久々だな」

火影

「おはよう。こっちには何時戻ったんだ?」

セシリア

「一昨日ですわ。母と父の弔いをし直しておりましたの。二人の真実が分かる前は色々とできなかった事がありましたから改めて。もちろんISもローハイドも訓練はしっかり行っておりましたわよ」

火影

「ああ気配でわかるよ」

セシリア

(…ねぇ箒さん?私がいない間、一夏さんと何もありませんでしたわよね?)

(! む、無論だ!)

セシリア

(ならいいですわ)

「ああそういえば箒さん、今年は神楽舞をされたんですよね。拝見できなくて残念でしたわ」

「いや気にするな。見られるのも恥ずかしいしな」

 

すると次にシャルロットとラウラが入って来た。

 

シャル

「おはよう♪」

ラウラ

「おはようみんな。久々だな」

海之

「シャル、ラウラ。おはよう」

火影

「ようラウラ。休めたか?」

ラウラ

「ああ問題ない。部下も皆元気そうだった。私に嫁や弟ができたと言ったら皆凄く驚いていたぞ」

一夏

「そ、そりゃそうだろうな…」

海之

「パンチラインの調子はどうだ?」

ラウラ

「無論何も問題ない。嫁からの大事なプレゼントだからな。壊したり等しないさ」

シャル

「…ラウラ、本当に誤解を招くから気を付けた方が良いよ」

 

とその時鈴が入って来た。

 

「おっはよー♪」

「鈴か、新学期早々元気だな」

一夏

「いつ戻ったんだ鈴?」

「おとついよ」

セシリア

「あれ?鈴さんは母国に戻らない予定だったのでは?」

「最初はね。でもやっぱり向こうの家族に会いたくなっちゃって」

火影

「親戚の人は元気だったか?」

「ええ元気だったわ。叔母さん達にみんなの事話したら今度連れてきなさいってしつこく言われたわよ」

火影

「そいつぁ良かったな」

「うん。火影のおかげ…って何でもないわ!」

「後は本音か、簪は4組だが」

火影

「一緒に来ると言ってたぜ」

シャル

(…ねぇ鈴。僕が帰ってる間火影と何もなかった?なんかさっき火影の名前呼んだ気がしたけど)

(き、気のせいよ。…シャルこそ私と入れ替わりで帰って来たんでしょう?どうだったのよ?)

シャル

(ぼ、僕も何もないよ~)

(ふ~ん…まぁいいわ)

「あ、そうだ聞いてよ!火影、海之。ガーベラの加速に結構付いてこられる様になったわ♪魔具だっけ?あれってやっぱり凄いわね~」

火影

「凄いのは造った束さんだ。俺達は設計図を渡しただけだし」

一夏

「謙遜すんなって。俺のアラストルもパワーアップしてくれたじゃねぇか」

セシリア

「アラストルを?」

「ああ。海之がアラストルにケルベロスの様な雷弾を撃つ機能を加えたんだ。荷電粒子砲はこいつの射撃の腕ではまだ荷が重いからな」

一夏

「…言い訳できねぇ」

セシリア

「大丈夫ですわ一夏さん。射撃は私が訓練して差し上げますから」

 

するとそこに本音と簪が入って来た。

 

本音

「おはよ~みんな~!」

「おはようございます」

シャル

「本音、簪もおはよう。久しぶりだね」

火影

「元気だったか二人共?」

本音

「うん、元気だよ♪」

一夏

「はは、元気じゃないのほほんさんは想像できねぇな」

ラウラ

「うむ、それは確かに」

海之

「久々だな簪」

「うん。海之くんもみんなも元気そうで安心した」

「よくは知らんのだが…家の問題とやらは大丈夫だったか?」

「うん。そっちは特に…。ただ…ちょっとね」

「?」

火影

「簪、ケルベロスの訓練の方は順調か?」

「あっうん。棒とフレイルは結構大丈夫だけどやっぱり三節棍がまだまだって感じ」

セシリア

「それでもふたつは使いこなせていますのね。流石日本の代表候補生の簪さんですわ」

一夏

「…えっ?簪って日本の代表候補生だったのか?」

「今さら!?」

「う、うん、専用機が完成してなかったから今まで出ることはできなかったけど…」

一夏

「そうなのか…大変だな」

「……」

海之

(…簪)

シャル

「そういえば簪。今日朝職員室行った?」

「職員室?行ってないけど?」

シャル

「そう…。さっきラウラと一緒に行ったんだけど簪に良く似た人がいたから。でもちょっと雰囲気が違ったんだよね」

本音

「かんちゃんに良く似た人?ああそれなら」

 

キーンコーンカーンコーン

 

SHRのチャイムが鳴り、鈴と簪は自分の部屋に戻って行った。そして入れ替わりに千冬と真耶が入って来た。

 

真耶

「みなさんおはようございます。お元気でしたか?」

千冬

「おはよう。皆夏季休暇は有意義に過ごせたか?さて、今日から新学期だが早速今月の末には学園祭がある。更にまだ先だがキャノンボール・ファーストや専用機持ち専用のタッグマッチ戦。イベントは多数だが当然、それに向けての訓練やその分授業は更に過密なものになる。一学期の様な気持ちのままだとあっという間に置いて行かれるだろうからそのつもりでいる事だ!」

一夏

(うへぇ…)

 

ビュン!…カーンッ!

 

一夏

「あだ!」

 

千冬のチョークが一夏のおでこに直撃した。

 

シャル

「あ、あの距離から当てるなんて…」

ラウラ

「さすが教官」

千冬

「…さて、本日一限目は体育館にて全校集会がある、早速移動するぞ。織斑、号令!」

一夏

「は、はい!」

 

 

…………

 

IS学園 体育館

 

一限目を使っての全校集会及び始業式。座る所は自由らしく火影達はいつものメンバーで固まった。先ほど学園長による挨拶と話が終わったところであった。

 

一夏

「や、やっと終わった…。校長先生の話が長いのはどこも共通だな。中学もそうだったし」

シャル

「…そうかな?僕の前の学校の校長先生は結構あっさりしてたけど」

セシリア

「私もですわ。こちらに来てから知りましたわ」

一夏

「マジか…じゃあ日本だけなのか?」

 

とその時、進行役の生徒が次のカリキュラムを言う。

 

「それでは最後に、生徒会長からお話がありますので上がって頂きます。それでは生徒会長、どうぞ」

 

一夏

「…げえまだ続くのか…って!」

 

すると上がって来たのはひとりの少女。水色の肩までの髪の毛に赤い目…その見た目は簪に良く似ていた。

 

「…あれは簪?」

火影

「…いや簪はここにいるぞ。それに少し感じが違う」

ラウラ

「シャル、もしかしてあの娘ではないのか?私達が見かけたのは」

シャル

「うん…そうかも」

海之

「そうか簪、あれがお前の」

「…うん」

 

海之は以前簪から姉がいるという話を聞いていたのを思い出し、前の少女がその人物と思った。

 

簪に似た少女

「みんなおはよう!そして今日初めて会う子は初めまして!一学期は色々あってご挨拶がおくれて申し訳なかったね!IS学園の生徒会長、更識楯無です。宜しくね♪」

 

楯無と名乗った少女はそう言うといきなり扇子を開いた。そこには「宜しく!」と書かれていた。

 

本音

「かっちゃんここでも相変わらずだね~」

火影

「知り合いか本音?…それに更識ってことは」

海之

「ああ。あれが簪の姉だ」

「簪にお姉さんなんていたんだ」

一夏

「知ってたのかよ海之?しかし簪に良く似てんなぁ」

セシリア

「確かにそうですわね」

「だが姉妹とはいえ簪とは随分性格が違う気がするな」

本音

「あはは、まぁね~」

「……」

 

火影達が言っている間に少女の話は始まった。

 

楯無

「では改めて、一学期はみんなに挨拶できる時がなくてごめんなさい。その分二学期はみんなと色々やりたいし交流していきたいと思っているからね♪それでは早速だけど今月末にはみんなお待ちかねの学園祭があります!そこで生徒会からの提案なのですが、あっ提案と言うよりもう半分決定事項なのでみんな協力してね~♪」

 

ザワザワザワザワ

 

いきなりの発表に少々ざわつく生徒達。

 

シャル

「…ほんと簪とは違うね…」

ラウラ

「うむ。果断即決にして豪胆無比だ」

「なんかわかるわ~」

「…もうお姉ちゃんったら…」

 

多くの者が困惑する中、楯無は言葉を続ける。

 

楯無

「もう知ってると思うけど今年はみんなお望みの男子、それも三人もいるわ!しかも揃ってイケメン!今年の一年生は運が良いわねぇ♪とまぁそんな訳で今学園祭限定の企画を開催します!その名も…「各部対抗織斑一夏争奪戦」!はい拍手~!」

 

パチパチッ

そう言うと楯無は一人拍手する。他の生徒達は暫く黙っていたがやがて、

 

生徒

「「「えーーーーーーーーーーーーーー!」」」

一夏

「は~~~~~~~~~~~~~~~~っ!?」

 

当の一夏は一番の仰天の声を上げた。楯無は話を続ける。

 

楯無

「はいはい静かにね~。ルールは簡単♪各部はそれぞれ催し物を行ってもらいます。生徒みんなには一枚ずつ投票用紙を持ってもらって一番良かったと思う部ひとつに投票してもらいます。その結果、一番評価が良かった部に織斑くんを強制入部させましょう!」

生徒

「「「おーーーーーーーーーーーーーっ!」」」

一夏

「ちょっと待て―ーーーーーーーーーーー!!」

 

思わぬ企画に驚きと喜びを含んだ歓声が生徒達から上がった。対して一夏の方は冗談じゃないという様子だ。すると一番前の生徒が楯無に問う。

 

生徒1

「あの~生徒会長、エヴァンスくん達はどうするんですか~?」

生徒2

「二人の名前が無かったですけど~?」

生徒3

「私は火影くんか海之くんが良いでーす!」

「? そういえばそうね?」

「うむ。確かに一夏しか呼ばれていないな。何故だ?ふたりは何か部に入っているのか?」

火影

「いや入ってない。てかそんな暇無かったしな」

海之

「うむ」

一夏

「じゃ、じゃあ尚更何で!?」

 

一夏達はもちろん火影や海之も疑問に思っていた。すると生徒の問いに楯無が答える。

 

楯無

「うん、良い質問だね♪それは簡単だよ!エヴァンスの…ああもうこの呼び方ややこしいから名前で呼ぶね。火影くんと海之くんは…たった今から生徒会に入ってもらう事にしました~!はい拍手~!」

 

パチパチッ

 

火影・海之

「「…!」」

生徒達

「「「えーーーーーーーーーーーーーっ!」」」

「お、お姉ちゃん何を!?」

ラウラ

「き、聞いてないぞふたり共!」

セシリア

「い、いえラウラさん。あの方のお話からして多分おふたりも知らなかったのではないでしょうか?」

シャル

「僕もそう思う…。「たった今決めた」って言ってたからね」

「火影、事前に話は無かったの?」

火影

「…ああ全く」

海之

「…ハァ」

「なんと強引な。…まぁお前達はどの部に入ってもおそらく主力級の活躍を見せるだろうから妥当かもしれんな」

一夏

「じゃあやっぱ俺だけなのかよぉ~…って、のほほんさんは火影達の事あんま驚いてないのな」

本音

「そ、そぉ~?」

 

するといる場所に気付いていたのか楯無は火影と海之を指さして言う。

 

楯無

「学園に入って以来怒涛の活躍を見せる双子のイケメン兄弟!ふたりとも文武両道!その上半年前、旅客機を命懸けで救う行動を見せる勇気!そんな君達が生徒会に入ればこのIS学園はより良くなること間違いなし!期待してるよ二人とも♪早速今日の放課後、ふたり共生徒会室に来てね~!…それでは私のお話はこれで終わります。今日も一日頑張りましょう~」

 

楯無はまた扇子を広げ、そこには「意気軒昂」と書かれていた。その後、全校集会は終了した。

 

 

…………

 

同日 放課後

 

火影と海之、そして同行を願い出た簪の三人は生徒会室に向かっていた。

 

「ふたり共…本当にごめんね。お姉ちゃんが勝手な事言って迷惑かけて」

火影

「気にすんな簪、お前は悪くねぇよ」

海之

「ああ」

「うん…。でもなんであんな事言いだしたんだろ」

火影

「さぁな…もしかしたら俺達を調べたいのかもしれねぇな」

海之

「或いは監視下に置きたいのかもしれん」

「…えっ、ど、どういう事!?」

 

簪は二人の言いだした事に驚いた。

 

火影

「あの後考えたんだけどな。よく考えりゃ今まで良く無事だったなって思ったのさ。俺達は身元こそはっきりしてっけど…大部分ははっきり言って異常だからな。俺達のISといい戦い方といい。そんな俺達を100%信用できるかっていったら全員がはっきりできるって答えられるものじゃねぇかもしれねぇ。だからこれを機に俺達を監視下に置いて安全性を確かめたいのかもしれんってな」

海之

「その結果信用されなければ…退学という事も考えられる。或いはISの強制回収等な」

「! そ、そんな!?」

 

簪は酷く驚いている。しかしその次に力強く言った。

 

「私は、私は海之くんと火影くんを信じる!例えお姉ちゃんが何か言っても私はお姉ちゃん以上にふたりを信じる!もしふたりを悪く言う人がいたら絶対に許さない!…ううん私だけじゃない、きっとみんなも同じだよ!一夏くんも箒もセシリアも鈴もシャルもラウラも本音も、みんなふたりを信じてるよ!絶対!」

火影・海之

「「……」」

 

火影と海之はかなり驚いていた。簪がこんな声ではっきりと言うとは。

 

「…あっ!ご、ごめんなさい。私…」

海之

「…いや。ありがとう簪」

火影

「ありがとな。まぁあくまでも最悪の結果の場合だ。安心しろ」

「う、うん…」

 

火影と海之は安心させるように簪に語りかけ、生徒会室に向かった。




おまけ

同日の昼休みにて


「ねぇそういえば火影。あんた一人称今まで「僕」だったのに今日は「俺」って呼んでるの?」
火影
「ああ。思ったんだが俺の普段の喋りと「僕」ってのがどうも合わない気がしてな。だから「俺」にしたんだ。変か?」
(俺自身合わない気がしてきたしな…)
本音
「ううん、そんなことないよ~。自然~」
シャル
「確かに僕もそう思うな。カッコいい」
火影
「どうも」

こうして火影は「僕」から「俺」になった。

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