IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
…一方火影と海之は簪のISを完成させるべく、彼女らと作業を行っていた。
IS学園 整備室
一夏や箒達がアリーナで楯無の訓練を受けていたのとほぼ同時刻。火影と海之、簪、本音は整備室にいた。理由は言うまでも無く簪のISである。本音始め整備科の生徒も加わり、力を合わせて作成は順調に進んでいたが、武装のひとつである荷電粒子砲が設計途中であったために、完成目前で再び滞っていた。しかし夏季休暇前に一夏の白式よりそのデータを借りた事で設計が再び進み、そして今日、遂に完成の日を迎えたのである。
簪
「遂にできた…私の…専用機」
簪やみんなの目の前にそれは佇んでいた。全体的に簪の髪の色と同じ水色のボディ。背部には白式から流用した荷電粒子砲とミサイルポッド「山嵐」が備え付けられた巨大なブースターが付いた機体。
整備科の生徒
「簪ちゃん!」
「遂にできたね!」
「お疲れ様~!」
海之
「おめでとう簪」
火影
「おめでとさん」
本音
「おめでとうかんちゃん!」
簪
「ありがとうみんな…。ありがとう海之くん、火影くん、本音…。本当に…みんなのお陰だよ。みんながいなきゃ…きっと今も何もできていなかったと思う」
感情が高ぶっているのか簪は少し涙を浮かべている。
本音
「はいはい泣かないの。それに私達はかんちゃんの言う通りに手伝っただけだから、一番頑張ったのはかんちゃんだよ」
海之
「その通りだ」
火影
「そういうこった。それでこの機体の名前はなんていうんだ?」
簪
「うん。名前は…「打鉄弐式」っていうの」
火影
「打鉄弐式…。成程な、確かに所々打鉄に似てるぜ」
生徒1
「でも当然性能は比較にならないよ~!武装も最新の荷電粒子砲システム「春雷」。そしてまだ完全ではないけどマルチロックオン式ミサイルポッドの「山嵐」。そしてなんといっても簪ちゃんの想い人のみゆ」
簪
「わー!!」
生徒の一人が何か言いかけたが簪が必死で止めた。
生徒2
「はいはい遊ばないの。あと海之くん達がくれたマルチウェポンのケルベロスだね。あれって凄いよね~!簪ちゃんから聞いたけどあれって海之くん達とあの篠ノ之束博士の共同制作なんでしょ?流石よね~!」
海之
「? 簪、お前の機体には確かまだ薙刀があったのでは?」
簪
「うん。でも薙刀は止めてケルベロス一本でやる事にしたの。棒なら薙刀と使い方は良く似ているから大丈夫だと思うし。それに大事にしたいから」
海之
「お前がそうしたいならそれで良い」
生徒1
「何しろ愛しの人からのプレゼ」
簪
「わー!!……もう遊んでない!?みんな!」
~~~~~~~~~~
みんなで笑い合った。
本音
「じゃあかんちゃん!早速最適化やろうよ!」
簪
「あっ、うん!」
そして全員で整備室を出てアリーナに向かった…。
…………
簪達は楯無達がいるアリーナとは別のアリーナに来ていた。
海之
「それでは簪。今からお前の専用機の最適化を行う。その方法だが…火影を相手に実戦形式で行う」
簪
「火影くんとの実戦!?」
本音
「ちょ、ちょっとそれ無茶すぎじゃないみうみう~?」
火影
「ああでも心配すんな。しっかり手加減するし、実戦つってもほんとに勝負するんじゃなくて俺達の言う通りに動いてくれりゃ良い。どういう風に動くかは適宜指示するから」
海之
「簪、お前は代表候補とはいえまだ実戦経験が不足している。だからこの形が一番良いと思ってな」
簪
「…わかった。頑張るよ」
本音
「かんちゃん大丈夫?」
簪
「うん。私は大丈夫だよ本音」
(…これ位できるようにならないとお姉ちゃんに、海之くんに近づけない!)
火影
「よし、んじゃ早速始めるか」カッ!
火影はアリギエルを纏う。整備科の生徒から「カッコいい!」「見たこと無い!」等の声が上がる。
海之
「簪。お前の打鉄弐式は防御より機動性を重視しているとある。今から火影の軌跡を追う様に動いてみろ。離されない様しっかり付いて行くんだ」
簪
「う、うん!」
火影
「んじゃ行くぜ」
ドンッ!
火影は急速に上昇した。
生徒1
「は、速い…」
生徒2
「もうあんな所まで…」
本音
「かんちゃん頑張って!」
簪
「行くよ…打鉄弐式!」
ドンッ!
ISを纏った簪も火影を追いかけて飛翔した。
簪
(くっ!これが弐式のスピード!最適化もまだなのに…。訓練機とは全然違う!)
そして簪も遅れて到着。
火影
「中々のスピードだな簪」
簪
「ありがとう火影くん。でも火影くんも今の全然本気じゃないんでしょ?」
火影
「まぁな。今ので約3割位ってところか。だからって気を落とす必要はねぇぜ?まだ最適化も終わってねぇんだしさ」
簪
「い、今ので3割…」
火影
「んじゃ続き行くぜ!」
…………
それから暫く簪は火影を必死で追った。急上昇急降下、急旋回、急加速、小刻みに動いたりフェイントを含んだ運動、更に瞬時加速もその過程で学んだ。そして気が付けば最適化も終了していた。
簪
「はぁ、はぁ…」
本音
「お、お疲れ様かんちゃん」
海之
「よく頑張ったな簪」
火影
「ほら水。正直途中でバテるかなと思ったんだけどな。良くやったと思うぜ」
簪
「ありがとう海之くん、火影くん」
生徒1
「簪ちゃんもだけど…火影くんあんなに動いて疲れてないの?」
火影
「俺はもう慣れてるからな。…さて簪、移動に関してはこれ位だ。この後は戦闘に関する訓練の予定だがどうする?疲れてるなら今度で良いぞ?」
簪
「ううん大丈夫。お願い火影くん」
海之
「無理する必要はないぞ簪。お前は今日弐式を持ったばかりだ」
簪
「ありがとう海之くん。でもやらせてほしいの。始める前に言ってたでしょ?私はみんなより経験不足だって。私自身もそうだなって思う。だったらみんなより人一倍頑張らないといけないって思った。だから…やらせてほしい」
本音
「かんちゃん…凄いね」
海之
「…ふっ。案外簪が実は一番活発かもしれんな。…わかった」
火影
「とことん付き合ってやるぜ」
生徒1
「壊れてもまた直してあげるからね♪」
簪
「…みんなありがとう」
…………
それから約20分後、アリーナ中央には再びISを纏った火影と簪がいた。
海之
「簪。今から行うのは弐式の武装のチェックだ。火影がこれから行う攻撃を武装を使ってかわしつつ火影を攻撃しろ」
火影
「もちろん威力は極力抑えるから安心しな。ただしそっちは抑えなくて良いぜ。遠慮なく殺すつもりでかかってこい」
簪
「うん!」
本音
「かんちゃん頑張ってね!」
ドンッ!ドンッ!
二人は再び上空に飛び上がった。
火影
「行くぜ!」
ズダダダダダダダダッ!
火影はエボニー&アイボリーを撃った。簪はそれを避けながら対抗策を考える。
簪
(くっ…銃弾を避ける方法は……そうだ、あれなら!)
そういうと簪はケルベロスを三節棍で起動し、その両端の棒を持って前に構える。
バチバチバチバチ…!
三節棍のケルベロスが発す電流のシールドが飛んでくる銃弾を弾いた。
簪
「やった!よし、このまま!」
キュイイン…ドギューーーンッ!
簪はそのまま荷電粒子砲「春雷」を放った。しかし火影も難なくそれを回避する。
火影
「ほう、それじゃ次だ」
そう言うと火影は手にイフリートを展開し、手にSEをチャージする。
火影
「はぁぁぁぁぁぁ…はっ!」
ドンッ!
イフリートから火球メテオが飛び、簪に向かって飛んでいく。
簪
「炎には……これ!」
ビュオォォォォォォ!
簪は手に持つケルベロスを氷のフレイルに変換し、それを振り回す。すると、
キィィィィィィィィン!
ドオォォォォン!…シュワァァァ…
簪を守る様に展開した氷のバリアがメテオの炎を掻き消し、雲散霧消させた。
簪
「今度はこちらから!」
ボオォォォォォォォッ!
簪はケルベロスを棒に変化させ、火影に向かって突進した。
ガキンッ!
火影はそれをリべリオンで受け止める。
火影
「やるじゃねえか簪。もっとどんどん打ってこい!」
簪
「はあぁぁぁ!」
ガキンッ!キンッ!ガキンッ!ガキンッ!
簪は続けて攻めるが火影はリべリオンで受け止め続ける。
生徒
「…火影くん凄い。全部受け止めてる」
「簪ちゃんもあれでまだ訓練の段階だなんて信じられない…」
海之
「簪、ケルベロスの特性を上手く使えているようだな」
本音
「家でずっと頑張ってたんだよー。早くみうみうやひかりんの力になりたいんだって」
海之
「……」
火影と簪はそれぞれ距離を取る。
火影
「ふぃ~、大丈夫か簪?」
簪
「はぁ、はぁ…う、うん」
火影
「上等だ。…思えばその状態のそいつとこうやって戦うのは初めてだったな」
火影は簪が持つケルベロスを見て言った。
簪
「えっ?」
火影
「いや、何でもねぇ。さてそれじゃ最後にこいつ行くか」
ジャキッ!
火影は次にカリーナ・アン・ランチャーを展開した。
火影
「簪、今から追尾型のミサイルを数発射出する。それを弐式の山嵐でロックオンして撃ち落とせ」
簪
「で、でも山嵐のマルチロックオンシステムは…」
火影
「それなら心配ない。さっきお前が休憩している間に海之が改良を施しておいた」
簪
「えっ!み、海之くんが?」
火影
「時間が足りなかったのでまだ完全ではないがな。それでも約半分は可能な筈だ。だから自信を持ってやってみろ」
簪
「…うん、わかった!」
火影
「あああと信管は抜いてるから安心しな。んじゃ行くぜ!」
ドドドドドドンッ!
ランチャーから複数のミサイルが射出される。簪はロックオンのために距離を取るが、
簪
「くっ…なんて高性能な追尾能力!」
いくら回避行動をとってもミサイルは追尾してくる。そこで簪は止まらずに動きながらロックオンし、一度に全て撃ち落とそうと考えた。
簪
「何とかしてミサイルを纏めて一度にロックオンしないと!でもどうすれば……そうだ!」
ドンッ!
すると簪は突然瞬時加速で急上昇した。ミサイルも追いかける。しかし、
簪
「…よし!ミサイルが私を一直線になって追ってくる。これなら!」
これは簪の作戦。目標が遥か高度に上昇するとミサイルもそれを追う形で追いかけてくる。但しその場合ミサイル同士の幅が狭まり、一度に纏めてロックオンしやすくなるのだ。
簪
「…よし、全弾ロックオン!…いっけえ!」
ドドドドドドドドドッ!
ポッドから複数のミサイルが発射される。そして、
ドオォォォォォォン!!
山嵐のミサイルが追尾してきたミサイルを全て撃ち落とした。
簪
「や、やった……はぁ…はぁ……」
全てを終えた簪は急に身体中の力が抜けた様な間隔に陥った…。
…………
簪
「……んっ…」
?
「…ちゃん!」
簪
「う~ん…あ、あれ…?…私」
本音
「かんちゃん!」
簪
「…本音?」
本音
「よかったよ~!」
海之
「気が付いたか」
火影
「大丈夫か?」
簪
「海之くん…火影くん。私……ここは?」
火影
「お前と海之の部屋だ。まぁ覚えてないのも無理ねぇか。お前山嵐撃った後に急に意識を失っちまったんだよ。多分緊張による疲労がピークだったのと全部終わった事で一気に力抜けたんだろうな」
本音
「心配したんだよ!ずーっと上からかんちゃん落ちてくるんだもん!そこをひかりんがキャッチしたの」
簪
「そうなんだ…ありがとう火影くん。…他のみんなは?」
海之
「みんなは弐式の整備をしている。…すまなかった簪、お前には無茶をさせてしまった。やはりあの時無理にでも止めていれば…」
簪
「ううん海之くん、謝る必要なんてないよ。私が望んでやったことだから。それに…私本当に感謝してるの。だから悪かったなんて…全然思わないで」
海之
「……」
本音
「でわでわかんちゃんも無事復活したし、あとはみうみうに任せようよひかりん♪」
火影
「…ああそうだな。じゃあな簪、ゆっくり休めよ。海之、あと頼むぜ」
本音
「じゃあまったね~かんちゃん♪」
そう言うと火影と本音は出て行った。
パタンッ
簪
「……」
(二人ったら…、丸わかりだよ…)
二人の考えに気付いたのか簪は少し顔が赤い。
海之
「何か飲むか?」
簪
「えっ?…う~ん、今はいいや。もう少し…寝ようかな。……ねぇ海之くん、ひとつだけ、お願い聞いてもらって良い?」
海之
「なんだ?」
簪
「…あの……手、握ってもらって良い?私が寝付くまででいいから」
海之
「? ああ」
そう言うと海之は簪のベッドの傍に椅子を持ってきて座り、簪の手を両手で握った。
海之
「これで良いのか?」
簪
「ありがとう海之くん。ごめんね、子供みたいで」
海之
「気にしなくて良い。…そういえば…昔俺が寝付けない時も母がこうしてくれたな」
簪
「そうなんだ」
海之
「ああ。もっとも俺に母と同じ事はできんがな」
簪
「ううん…そんなことない。…すごく…落ち着くよ」
海之
「そうか」
簪
「……ねぇ、海之くん」
海之
「なんだ?」
簪
「あの…私ね、……………ううん…なんでもない」
(やっぱりまだ勇気出ない…。でも…焦らなくても…良いよね)
海之
「…さぁもう休め。眠るまで傍にいてやる。……良く頑張ったな」
簪
「…うん、ありがとう…」
それから数分もせず簪は眠りについた。海之は彼女の眠りが深くなる迄手を握り続けた。
おまけ
本音
「ねぇひかりん~」
火影
「ん?」
本音
「さっき良くわかったね。かんちゃんとみうみうをふたりにしたいって事」
火影
「簪の奴が海之に惚れているのは知ってるからな。あいつ今日頑張ったし、たまには良いさ」
本音
「やっぱりひかりん優しいね~。ねぇひかりん、今日は私ひかりんの料理が食べたいんだけどダメ~?」
火影
「昨日デザート作ってやったじゃねぇか」
本音
「あれはデザートだよ~。今度は料理♪」
火影
「…本音が鈴に似てきたのか、鈴が本音に似てきたのか、わからなくなってきたな…」