IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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一夏達が楯無の訓練を受けている時、火影と海之は本音と共に簪の専用機、「打鉄弐式」の完成の場に居合わせていた。一度は断念しかけていた夢が叶い、簪は喜びを隠せず涙ぐむ。
そして全員で最適化のためにアリーナへ。海之は経験を積む事と武装の確認も兼ねて簪に火影との実戦形式を用意。本音や周りが心配する中、簪はお願いすると申し出、用意された課題を全てクリアする。疲労でクタクタとなった簪は海之に手を握ってもらい、眠りにつくのであった。


Mission83 謎の女

簪の専用機が完成してから数日が経った。簪はあの後結局翌日の朝まで眠ってしまい、目が覚めた時は登校時間になっていた。長く眠っていたのが幸いしてか疲れは取れた様で、看病していた海之と共に問題なく登校した。

寧ろ大変だったのはその後だった。一緒に登校してきたふたりに教室で本音が、

 

「かんちゃ~ん、治ったんだね~!みうみうの熱~い看病のおかげだね~!」

 

と、茶化す様な事を大声で言ったお陰で軽い騒ぎになったのだ(特にラウラが)。海之と簪が昨日あった事を説明し、場は収束したのだがその代わりラウラは海之に次の休日にデートの約束を取り付けた。そして同じ日に火影と一夏はメイド喫茶で使う服を作るための資材を購入しに街に行くと言うと本音、箒、セシリアも一緒に行くことになった。因みにシャルロットは用事があって行けないと残念そうだった。そして今日は約束の休日である。

 

 

ショッピングモール 入口広場

 

火影と海之、一夏、そして箒とセシリアは広場に来ていた。あとは本音とラウラである。…と、

 

ラウラ

「すまない。遅くなった」

 

向こうから私服のラウラが走って来た。

 

一夏

「ああラウラ、おはよう」

箒

「今日は随分感じが違うな」

ラウラ

「う、うむ。これはスメリアで海之が買ってくれた服だ」

セシリア

「まぁそうでしたの。よくお似合いですわラウラさん」

ラウラ

「そ、そうか?…どうだ海之」

海之

「良く似合っている。自信を持てラウラ」

ラウラ

「! そ、そうか…」

(良かった…3時間迷ったかいがあった)

火影

「…あれ?」

ラウラ

「? どうした火影」

火影

「いや…ラウラ今日は眼帯外してんだな」

ラウラ

「えっ?……!?」

 

火影に言われてラウラは初めて気付いた様だ。

 

ラウラ

(し、しまった!着替えに夢中になって外していたのを忘れていた!)

一夏

「ほんとだ。へぇ~ラウラの左眼ってそんな色だったんだな」

ラウラ

「うぅ…」

 

実はラウラのこの左眼には秘密があった。彼女の左眼は越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)といい、一種の生体部品である。使用するとISへの適合能力、そして空間処理能力や動体視力を高める効果があり、それの証がこの金色の瞳である。かつて力に縛られた彼女からすればコレも力として利用してきた。しかし人間としてひとりの少女として生きる事を決めた今のラウラにとってこれは昔の自分を思い起こすものである。故に彼女は…これを嫌っていた。

 

ラウラ

「……」

セシリア

「どうしましたのラウラさん?」

箒

「具合でも悪いのかラウラ?」

ラウラ

「い、いや。なんでもない」

(…いかん、今日は折角の嫁とのデートなんだ。夫として心配させてはならん!)

 

眼の事を忘れて気を持ち直そうとするラウラ。するとその時海之が、

 

海之

「ラウラ」

ラウラ

「えっ?」

海之

「その眼…綺麗な色だな。お前に良く似合っているぞ」

ラウラ

「…えっ!?」

火影

「ああ。俺もそう思うぜラウラ」

 

海之と火影がそう言うと一夏達も揃って同意した。

 

ラウラ

「ほ、ほんとう…か?」

海之

「ああ」

ラウラ

「そ、そうか…。そんな風に言われたこと無いから…驚いた。…嬉しい」

(…そうだ…私はもうあの時の私ではない。海之や火影が、みんながいる。この眼も…みんなが綺麗と言ってくれるなら…いつか好きになれそうな気がする)

 

ラウラは心の中でそう思った。そして、

 

ラウラ

「…よし!それでは早速行くぞ海之!」

海之

「? みんなで行くのではないのか?」

ラウラ

「何を言う!今日は私とお前、夫婦のデートだろうが!もっと私の嫁という自覚を持て!」

海之

「…ハァ」

火影

「へへっ、海之を頼むぜラウラ」

ラウラ

「うむ、嫁をエスコートするのは夫の役目だ。さぁ行くぞ!」

 

ラウラは微笑んでそう言うと海之の手を取って行ってしまった…。

 

一夏

「…変な奴だなぁ。元気無いと思ったら急にめちゃ元気になった」

箒

「…むっ、あれは本音と虚さんではないか?」

 

箒が指さした先には本音と虚がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。

 

本音

「ごめ~ん遅くなっちゃった~」

虚

「申し訳ありません皆さん」

セシリア

「大丈夫ですわ。虚さんも来られたんですのね」

本音

「お姉ちゃんにも手伝ってもらお~って思って」

火影

「虚さんに?」

本音

「うん。お姉ちゃんはかっちゃんのお友達であると同時にかっちゃん家に仕えてるんだよ。だからメイドとか裁縫も得意なんだよ~。因みに私も」

虚

「メイドと裁縫が得意なのは関係ありませんが…」

 

とその時、

 

?

「…あれ?一夏じゃねぇか?」

一夏

「えっ?」

 

そこにいたのは、

 

弾

「こんな所で何してんだ?」

蘭

「こ、こんにちは…一夏さん、みなさん」

火影

「確か一夏の幼馴染の…弾と蘭だっけか」

箒

「久々だな弾、それに蘭も」

セシリア

「御無沙汰しておりますわ。みんなで食事に行った時以来ですわね」

一夏

「ああ俺はこの前飯食いに行ったけどな。お前らこそ何してんだよ?」

弾

「ああ。この前今度お前らの学校である学園祭のチケットくれただろ?蘭が行きたいって言ってな。そのための服を買いたいんだとさ。俺は付き添い」

蘭

「お、お兄!余計な事言わないで!」

弾

「…なんかまたキレイどころが増えている気がするけど」

一夏

「ああそういや虚さんはお初だったな。虚さん、こっちは五反田弾、そしてこっちが妹の蘭。俺の中学の幼馴染です」

虚

「そうですか。…布仏虚です。本音の姉です。宜しくお願いします」

蘭

「は、はい…宜しく」

弾

「……」

蘭

「? どうしたのお兄?」

弾

「い、いやなんでもねぇ!」

虚

「……」

火影

「二人も服関係か…。なんならみんなで行くか?俺らも文化祭で使う服を作るための資材を買いに行くんだ」

一夏

「そうだな、そうするか。ふたりはどうする?」

弾

「えっ?あ、ああ俺は良いぜ!蘭はどうする…て聞くまでもねぇな。お前はどうせいち」

 

ドンッ!

突然蘭が弾の背中にキックした。

 

弾

「あだ!」

蘭

「こんの馬鹿お兄!…あ!ご、ごめんなさいみんな、はしたない真似を…。あの…私も一緒に行って良いですか?」

一夏

「はは、ああ良いぜ。みんなも良いよな?」

箒

「ああ」

セシリア

「もちろんですわ」

本音

「どぞ~」

虚

「はい。…あの、大丈夫ですか?弾さん」

弾

「は、はい!大丈夫です!まったく問題ありません!」

一夏

「んじゃ行こうぜ」

 

そして一行は歩き始めた。…その途中、

 

蘭

(あ、あの…虚さん)

虚

(はい、何ですか?)

蘭

(虚さんは……もしかして一夏さんを?)

虚

(えっ?ふふっ、ご安心ください。私は一夏さんにも火影さんにもそんな気持ちは持っておりませんよ。蘭さんは一夏さんでしょう?ライバル多いですから頑張ってくださいね)

蘭

(は、はい…)

 

そういう虚だったがその目はひとりの男子に良く向けられていた…。

 

 

…………

 

それから数刻後。

 

一夏

「ふぅ~、こんなもんか」

火影

「ああ。ありがとうございます虚さん。お陰で助かりました」

虚

「いえいえ。私も久しぶりにこの様な買い物ができて嬉しかったですわ」

弾

「ああ虚さん。荷物俺が持ちますよ」

虚

「えっ…あ、ありがとうございます弾さん」

本音

「この後はどうする~?」

一夏

「確か蘭は服を探し来たんだっけ?そっちを見に行くか」

蘭

「あ、ありがとう一夏さん」

箒・セシリア

((むむむ…))

虚

「では私は先に戻っていますわ。お嬢さまの稽古に付き合う予定ですので」

セシリア

「大変ですわね虚さん」

弾

「ああじゃあ虚さん。俺がお送りしますよ」

虚

「えっ、ですが弾さんは蘭さんの」

弾

「良いんですって。蘭も俺なんかより一夏達が良いよな?」

蘭

「…お兄!」

 

蘭は反抗するが嫌そうではない。

 

弾

「という訳ですので」

虚

「…ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます。それでは皆さん、また学園でお会いしましょう」

 

そう言うと虚と弾は帰って行った…。

 

箒

「…では私達も行くか」

一夏

「お~……悪い、先に行っててくれ!ちょっとトイレ行って来るわ!」

 

そういうと一夏はトイレに走って行った。

 

本音

「おりむー我慢してたのかな~?」

箒

「やれやれ。…では先に行くか」

セシリア

「そうですわね」

 

そして一夏以外のみんなも女性服の店に向かった…。

 

 

…………

 

それから約10分後、トイレから長引いたらしい一夏が出てきた。

 

一夏

「は~すっきりした~。…さて、女性物の服の売り場はこっちだったな」

 

そして一夏はみんなの後を追いかけようとした。その時、

 

?

「あの~、あなたもしかして…」

一夏

「えっ?」

 

一夏は後ろから誰かに呼び止められた気がしたので振り向くと、

 

?

「あなた…もしかして織斑一夏さんじゃありませんか?あの世界初の男子IS操縦者の」

 

そこには一人の女性がいた。オレンジ色のロングヘアーの女性だ。

 

一夏

「…はい、そうですが…。あの、どちら様ですか?」

?

「ああこれは失礼致しました。私、こういう者です」

 

そういうと女性は一夏に名刺を差し出す。

 

一夏

「IS装備開発企業「みつるぎ」、渉外担当、巻紙礼子…」

礼子

「はい。私共はそちらに書かせて頂いております通りISの装備を開発している者です」

一夏

「そうなんですか。それでそのみつるぎの巻紙さんが何故俺を?」

礼子

「はい。実は私は今月にIS学園で行われます文化祭の方に伺わせて頂くつもりなんです。それで下調べも兼ねてこちらの島に来たのですがあの織斑一夏さんがおられましたからついお声をかけてしまいました。申し訳ありません」

一夏

「い、いえそれは全然気にされる事はないですが。あと俺ってそんなに有名なんですか?」

礼子

「もちろんですわ。IS業界で一夏さんの事を知らない者等おりません」

一夏

「そ、それは光栄ですね」

礼子

「あの…良かったら少しお話聞かせていただけませんか?少しでも良いのですが」

一夏

「え?…あ、ああ、はい分かりました。本当に少しなら…」

礼子

「ありがとうございます。では」

 

とその時、向こうから火影が二人に近づいてきた。

 

火影

「おーい、一夏ー」

一夏

「あっ、火影。どうしたんだよ?」

火影

「どうしたじゃねぇよ。遅いから見に来たんだよ。みんな心配してるぞ」

一夏

「ああ悪い。…というわけですみません巻紙さん。お話は文化祭の時でも構いませんか?」

礼子

「え、ええ。もちろんですわ。こちらこそ忙しい時に申し訳ありませんでした」

火影

「? 一夏、こちらの方は?」

一夏

「ああ。この人は巻紙礼子さん。「みつるぎ」っつーISの装備を造る会社の人だってさ」

火影

「…みつるぎ…?」

一夏

「巻紙さん。彼は同級生の火影です。彼もIS操縦者ですよ」

礼子

「!…まぁ、ではこの方があの…。「みつるぎ」の巻紙礼子です。初めまして」

火影

「…火影です。こちらこそ初めまして」

礼子

「貴方の事もよく存じておりますわ。以前のタッグ試合の時も実は拝見しましたの。なんでもスメリア出身の双子の御兄弟とか」

火影

「…えぇまぁ」

礼子

「私どもはIS専用の装備を開発しておりますの」

火影

「そうでしたか。…だからですか?胸のホルスターに拳銃を隠しているのは」

礼子

「…!」

一夏

「…えっ?」

礼子

「…よくわかりましたね。ええ、一応護身のために。何分社内の機密情報を持ち合わせている身ですから…」

一夏

「ああそうなんですか。大変ですね」

火影

「……」

礼子

「…あっ、申し訳ありません。御友人を待たせては申し訳ありませんわね。では私はこれで。また文化祭の時に伺わせて頂きますわ」

一夏

「ええどうぞ」

礼子

「では…」

 

そう言うと礼子は立ち去ろうとした。

 

火影

「あの…」

礼子

「…はい」

 

礼子は振り返らずに背を向けたまま止まった。

 

火影

「…その脚首に隠している仕込みナイフ、もっと上手く隠さないとばれますよ」

礼子

「!…どうも」

 

礼子はそのまま立ち去った…。

 

火影

「……」

一夏

「よく分かったな火影。あの人が拳銃やナイフ持ってるなんて。俺全然気付かなかったぜ」

火影

「…まぁな。それより早くみんなのとこ戻ろうぜ。遅れると飯おごらせるとか言ってたぞ」

一夏

「な!お前それなんでもっと早く言わねぇんだよ!急ぐぜ!」

 

火影と一夏は走って向かった…。

 

 

…………

 

それから数分後、礼子はモール内の休憩所にいた。

 

礼子

「…銃だけじゃなくナイフの事まで…あの火影という男…一体…?」

 

グシャッ!

礼子は手に持った缶コーヒーの空き缶を握りつぶした。その表情はなぜか怒りと悔しさに満ちていた…。




※次回更新までまた間が空きます。
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