IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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ショッピングモールの出来事から数日後。火影、海之、一夏達は訓練を重ねていた。相変わらずの火影と海之の強さに悔しがる一夏達だったが、自分達も確実に成長していると二人から褒められて皆素直に喜ぶ。
そして話は二人のIS、アリギエルとウェルギエルの性能の話に。一部を除いてバリアも絶対防御も無いというその内容にみんな酷く驚く。しかし火影と海之は痛みを忘れさせない様にしてくれたとそんな性能に逆に感謝し、その上でこれからも守るために戦い続けると宣言するのであった。


第七章 Assault and omen
Mission85 IS学園学園祭一日目①


IS学園 某日

 

この日学園はえらく盛り上がっていた。というのも…

 

「ねえ~どこが良かった~?」

「私はあの部の出し物が良かったな~」

「あんたそれ自分の部の出し物じゃないの。はっ!もしかして織斑くんの入部を狙ったわね~」

「え~いいじゃん、自分の部に投票したらダメなんて言われてないし~♪」

「ねぇそういえば1-1のメイド喫茶行ってみた~?何でも織斑くんやエヴァンスくん達が執事してくれるらしいよ!」

「マジで!?絶対行かないと!」

 

所々で上記の様な会話が聞こえていた。

そう、この日はIS学園の生徒達が待ちに待った学園祭の日。二日間にかけて実施され、一日目は生徒が招待した外の客も交えての通常イベントが。二日目は学園挙げての生徒会考案のイベントが行われると言う。なんでもこんな事は今年が初めてだとか。

そんな一日目、各クラスや部が様々な催し物を行っている中、前述の通り今年は異常に盛り上がっていた。というのも今年は例年とは違い、一夏や火影や海之達男子がいるのである。しかも彼らのクラスではその男子達が執事役で持て成してくれると聞き、女子達は皆眼の色を変えている。其の噂を聞きつけて招待客の中にもそれを目当てにしている者もいた。その上一夏に至っては一番人気だった部に強制入部という生徒会長楯無のオリジナル企画に盛り上がった女子達がなんとか自分の所属する部に一夏を入れたいと必死だった。

 

 

…………

 

1-2(中華喫茶)前の廊下

 

「ねぇ、あのデザート美味しかったよねー!」

「なんでも織斑くんの手作りらしいよー!」

「海之くんの執事姿カッコ良かったよね~!あれだけでごはん3杯いけるわ!」

「いやいやどんな性癖よあんた…」

 

多くの生徒が一組から出てくる中、鈴がいる二組の出し物は中華スイーツを楽しめる中華喫茶だ。鈴もチャイナドレスを着てスタッフをしていたがすぐ隣で大繁盛している一組と違い、こちらはあまり人は来ていない様子だった。

 

「…やっぱり直ぐ隣であんな企画されたらみんなそっち行くわよねぇ~。流れてうちのクラスにも来てくれると思ったんだけどな~」

 

どちらかというと暇な様子の鈴はそう言った。その心中は、

 

(…火影も執事してるんだっけ…。凄く見たいけど私が休憩中にいるとは限らないしなぁ…。あいつ休憩中に来てくれないかしら…)

 

とその時、

 

火影

「よぉ鈴」

「…えっ!?」

 

見ると入口に燕尾服を着た火影がいた。

 

「火影!?な、なんでここにいるの!?」

火影

「ああ、生徒会の役割で今まで校内を巡回してたんだよ。それで着替えてきてこれから喫茶の仕事だ」

「そ、そうなんだ…」

(…やばい、めっちゃ似合ってる。想像以上だわ。てかこれから仕事って言ってたわね。という事は暫くはいるって事よね♪)

火影

「…どうした鈴。やっぱ似合わねぇかコレ?」

「…えっ?う、ううんそんな事無いと思うわ。あんたにしては良く似合ってるわよ」

(…もう!なんで私っていつも素直に言えないのよ!前にあんなに反省したのに~!)

火影

「ありがとよ。鈴もそのドレス良く似合ってるぜ」

「あ、ありがとう…」

火影

「…おっと邪魔したな。じゃあ俺行くから頑張れよ」

「うん、あんたもね。後で行くから」

 

そして火影は一組に入って行った。

 

「…さっ、頑張ろっと♪あっ、いらっしゃいませー!」

 

さっきまでの事はどこへやら、鈴はすっかりやる気を取り戻した。

 

 

…………

 

1-1(メイド喫茶)

 

火影達のメイド喫茶は大繁盛していた。火影が入ってくると女子達の「キャー!」「かっこいい!」という声が聞こえてきたがそれを無視し、今メイド役をしているシャルロットとラウラとセシリアに話しかける。

 

火影

「三人とも、待たせたな」

シャル

「あっ、ひか…」

ラウラ

「おお火影。…良く似合っているぞ。まあ海之程ではないがな」

セシリア

「本当に良くお似合いですわ!銀髪と赤い目が映えますわね」

火影

「ありがとよ。三人もよく似合ってるぜ。わざわざ作ったかいがあったな。…にしても凄い人気だな。どうだ状況は?」

ラウラ

「ああ、今のところ海之の指示で上手く回しているから問題ない。今はあいつが執事として対応している。一夏は厨房、箒は手伝いだ」

セシリア

「一夏さんと海之さんの料理も凄い人気ですわ!さっきまでは一夏さんが執事をされていたんですのよ。良くお似合いでしたわぁ!」

火影

「へぇそいつは楽しみだ。……どうしたシャル?」

ラウラ

「シャル?」

シャル

「…はっ!ご、御免なさい!」

(火影…カッコいい…。確か一緒に写真撮るサービスがあったよね!?後でお願いしようっと!)

 

すると厨房に行っていた海之が戻って来た。

 

海之

「お前か」

火影

「ああ。…お前そんな格好でその髪型してると益々親父に似てるな」

海之

「…ほっとけ」

シャル

「火影達のお父さんもこんな感じだったの?」

火影

「ああ気にすんな。そう思っただけだ」

 

すると厨房から一夏も出てきた。

 

一夏

「おお火影、良い所に来た!生徒会の仕事終わったんなら手伝ってくれ!さっきから注文が多くて大変なんだ!」

火影

「ああわかったよ」

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

男子陣が三人揃った所で益々室内の黄色い声が高くなった。

 

 

…………

 

火影が合流して数刻後、火影とシャルロットが厨房に、一夏は小休憩、箒はメイドに戻った。

 

シャル

「前に一夏の家に行った時に言ってたけど…火影本当に無駄がないね。いろんな注文があるのにそれぞれ時間差があまりなく出来あがってるよ」

火影

「繰り返しやってれば慣れるさ。できあがる時間を計算しつつ全部一緒に出せる様にするだけだ」

シャル

「それが難しいんだよぉ」

火影

「はは、ならまた今度ふたりで一緒にやるか?」

シャル

「えっ、ほ、本当!?」

眼鏡の少女

「はいは~いちょっと良い~?」

火影・シャル

「「えっ?」」

 

厨房に入って来たのは、

 

火影

「あなたは確か…黛先輩」

薫子

「そう!お久しぶりだね火影くん」

シャル

「知り合い?火影」

火影

「ああ、前にクラス代表の祝いで写真撮ってくれたんだ。でもなんでここに?」

薫子

「写真部の活動であちこち写真撮って回ってるのよ。でも流石は学園唯一の男子陣が集まっているだけあってここは大人気ねぇ!写真のとりがいがあるわ~」

火影

「ありがとうございます…というべきなのか?ここは」

薫子

「…という訳で早速ここで撮ろうか!表でならこの後幾らでも撮れるし、キッチンで一緒に料理する夫婦ってのも中々レアだしね♪」

シャル

「ふ、夫婦!?」

火影

「…ハァ。黛先輩はいったん決めると引きませんからね。いいかシャル?」

シャル

「う、うん大丈夫だよ!何にも問題ないよ!!」

薫子

「んじゃお願いね♪じゃふたり共腕組んで笑って~、ハイ!……いいねぇ♪これはレアだわ~!あっ、写真は後で送るから楽しみにしててね!」

火影

「ありがとうございます。でもあまり広めない様にしていただけると助かりますけどね。…おっと、調理中だったな」

シャル

「……」

(…夫婦、…僕と火影が…夫婦。…腕まで組んじゃった…。どうしよう…、もう今日火影の顔見れないかも…)

 

シャルロットは暫く顔の熱さが収まりそうになかった…。

 

 

…………

 

その頃、火影・シャルロットと交代した一夏は小休憩が終わって執事に、箒は小休憩に入っていた。

 

一夏

「やっぱ俺この格好似合わねえと思うんだよなぁ。作ってくれた火影達には悪いけど」

「そんな事ないと思うぞ。他のみんなも言ってたし、それにお前の希望を全部聞いて作ったものだから借り物とかよりよっぽど良い」

一夏

「ああそれはまぁな。箒のそれも良く似合ってるぜ。まぁこの前の巫女の姿の方がもっと似合ってたけどな」

「う、気にしている所を…。ま、まぁ確かに着なれていないからなこんな服は。…ところで一夏」

一夏

「ん、なんだ?」

「こ、この前私が巫女をしていた時…お前は私を、き、綺麗と言ったな?」

一夏

「? ああ言ったぜ。綺麗だった」

「! そ、それは…その…わ、私が女として魅力的だった…という事か?」

一夏

「……えっ?」

 

バンッ!

 

「だ、だからだな!私があの時女として魅力的に見えたのかと聞いているのだ!」

 

箒は周りの事もすっかり忘れて机を叩いて一夏に迫った。

 

「……」

一夏

「…あー、まぁ見えたかな。うん」

「! そ、そうか!」

生徒

「織斑くーん、指定入ったよ~!」

一夏

「あ、はーい」スタスタ…

「ああ…やっと…やっと…」

 

箒が少し夢心地になっている一方、

 

一夏

「お帰りなさ…ってセシリア?」

セシリア

「はい!休憩中に入りましたので指定させて頂きましたの♪」

一夏

「そうなのか。えっと…デザート奉仕セットか。しかしセシリアは良く似合ってるなそのメイド服」

セシリア

「あ、ありがとうございます!」

(一夏さんに似合っているって言っていただけましたわ♪ありがとうございます火影さん、海之さん!)

 

と同時にケーキが運ばれてきて、

 

一夏

「…それではお嬢様、本日のデザートはストロベリーのタルトでございます」

セシリア

「食べさせてくださるかしら?」

一夏

「畏まりました…。お嬢様、お召し上がりください」

(何を言ってるんだろうな俺…)

セシリア

「ありがとう」

(…幸せですわぁ♪)

 

セシリアも夢心地なのであった…。

 

 

…………

 

整備科

 

一方、こちらは整備室。こちらでは簪と整備科の部員、そして本音がある出し物をしていた。それは、

 

「…ねぇ本音。本音やみんなの気持ちは嬉しいけど…ここまで大袈裟にしなくても…」

本音

「いいのいいの~」

生徒1

「折角なんだからかんちゃんの頑張りをみんなに見てもらいたいじゃん」

 

整備科はつい先日完成した簪の専用機であり整備科の努力の結晶、打鉄弐式の作成記録を写真付きで展示していた。もちろん極秘の部分は隠して。最新の機体ということで注目度も高く、将来整備士を目指す者にとってはこれは嬉しかった。

 

生徒2

「あと簪ちゃん。予備で作っておいた薙刀で良かったの?ケルベロスを見せなくて」

「うん。良いのこれで」

(…あれは簡単に公開とかしちゃいけない気がするし、それにあんまりしたくない)

生徒1

「鈍いわね~。愛しの人からの贈り物なのよ。大事にしたいじゃない♪」

「! もうまたみんな!…それより良いの本音?クラス行かなくて」

本音

「いいのいいの。私が行かなくても魅力的な子沢山いるし。あとひかりんにはいつもデザートや料理作ってもらってるし♪」

生徒2

「良いなぁ本音は。相部屋の特権利用しまくりじゃないの。簪ちゃんも行きたいんじゃないの?」

「ううん、良いよ。私はここで」

生徒1

「うわ~余裕だね~」

(……この前のあれで…今は十分だから……)

 

簪は海之に握ってもらった手を見て心の中で呟いた。




おまけ

一夏
「……」
火影
「どうした一夏?」
一夏
「ああいや、箒達のメイド服についてなんだけどさ。あれってオーダーメイドなんだよな?」
海之
「そうだ。其々の希望の色に合わせて作った」

箒は赤、セシリアは青、シャルロットは黄色、ラウラは黒、他に白や緑等もある。

火影
「それがどうかしたのか?」
一夏
「…思ったんだけどさ、なんか戦隊ヒーローもんとかできんじゃね?ロボットはISで」
火影
「…ああ成程。専用機持ちならあと鈴がいるな。あいつなら緑が似合うだろうし」
一夏
「…じゃあ来年はそれで芝居やってみね?」
海之
「…ハァ」

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