side 黒崎一護
青い髪の男と、緑の髪の女。そいつらと戦っている間に分かったことがある。
青い髪の男は俺を本気で殺しに来ている。戦いたい。殺し合い、勝利し、喰らいたい。そういった感情が非常に濃く感じられる。
しかし緑の髪の女はそういった感情が薄い。と言うか、そもそもそういった感情を一切抱いていないように思える。俺を見ていないと言うか、そもそも俺を認識できていないと言うか……いや、これはあれだ。俺を認識するとかしないとか以前に、意識がない。しかし意識がないまま戦っている。そんな感じだ。
だが、卍解の時の剣八もそんな感じだったがあの時の剣八はちゃんと俺と戦う、俺を殺すという本能があった。しかしこの女にはその本能すら存在しない。機械か、もしくは動く死体か、身体だけ誰かに操られているのか……そんな感じの想像が難しくない。そして多分その想像は合っているだろう。
だがそれは今この状況では何の関係も無いことだ。機械だろうが死体だろうが操られていようが関係ない。敵なら斬るのみだ。それに、俺にはそういう相手への対処とかできねえしな。
ただ斬る。しかし躱される。月牙ではなく剣圧で戦っているんだが、現状ではウルキオラより少し弱いくらいだろう。解放状態ではないようだからはっきりとしたことは言えないが、少なくとも今の状態でも刀をただ振っているだけのウルキオラに届かない。解放してもそこまで変わらないだろう。能力によってはわからないが。
だが、今の俺のできることは一つ。兎にも角にも敵を殺すことだ。運のいいことに相手は割とまともな相手のようで、斬れば斬れるし殺せば死ぬようになっているようだ。斬っても斬れない本気の剣八とかより遥かにましだな。比較対象として間違ってる気がするが。
それに、本気じゃなくとも結構簡単に斬れる。かなり鋭い剣だが重くはないしそこまで速くもない。しかし大分上手い。全力じゃないにしても普通に斬りかかっただけじゃあ捌かれて反撃を喰らいかけるし、剣圧も上手いこと見切られている。最近気づいたんだが、俺の剣圧って要するに俺の刀が動いたところにある霊子を剣を振った時の圧力で押し出したことでできる圧力なんだな。要するに、霊子の薄い現世でやってもあまり高い威力は出ない。チャドの拳圧は実体もあるから霊圧と物理的な圧力の合わせ技で現世でも十分な威力が出せるようだが、多分しっかりと霊子になってからなら霊子の多い場所で使った時の威力が大きく上がるだろう。わざわざ物理の方向に振り分けていた分が統合されるからな。
……しかし、頑丈だなこいつ。蹴りを何発もぶち込んだし腕も落としてやったってのに動きが鈍らない。痛みを感じていないかのようだ。
ただ……俺は落とした緑髪の女の腕を感知する。すると女の腕は勝手に動き、指先を俺に向ける。何をしてくるかはわからないが、指先に霊子が集まったところで一瞬だけ指先の延長線上で動きを鈍らせてから再度加速するとその霊圧が俺のいた場所をすり抜けてきたので何らかの攻撃をしてきたんだろう。何かはわからねえけど。
霊子を固めた弾丸を撃っていたということはわかった。あと、虚閃よりかなり速いってのもわかった。近接距離だと多分避けれないが、少し離れていれば十分避けられる。威力は虚閃より大分劣るようにも感じられた。虚閃との違いは虚閃は言ってしまえば延々と続けられる(限度が無いとは言ってない)高出力のレーザーで、今のはライフルって所か? まあ速度は逆だが。
斬り落としても遠隔で動かせる……と言う訳じゃなさそうなんだよな。結果的にそうなったって感じでそれを能力として持っているわけじゃあないってのが俺の見解だ。
と、そこで空から光が降ってきた。緑髪の女はその光によって守られ、青い髪の男も虚の俺から隔絶された。チャドの相手をしていたでかいのはすでに倒されているから大丈夫だったようだが……やっぱ一本ずつだと決め手に欠けるか? 少し前まで斬月は一本だったから大丈夫だと思ったんだが、精神世界では二振りになってから長いからなぁ……もう二刀に慣れてしまった。卍解は一本なんだがかなり大きめの大剣であって刀とは違うから同じようには使えない。慣れってのは怖えな……。
緑髪の女はじっと俺を見つめている……ように思える。剣を合わせても何もわからなかったが、何もわからないということ自体がおかしい。尋常なことではない。一手で斬ってしまったのならわからなくもないんだが、あの女とは何度も剣を合わせたのだから全くわからないとは思えない。織斑さんですら少しはわかったんだぞ? 寝たいとかそんなんばっかだったが。
……そういや名前も聞いてねえな。まあいいか。もしも次会うことがあったら聞いておこう。会うかどうかはわからねえけど。
それより、なんで帰っていったかの方が気になるな。特に成果がないにもかかわらずあっさりと帰っていったってことはこっちが陽動という可能性も十分にあるわけだが、じゃあ本命は何かって話に―――井上の霊圧が無い。
なるほど、井上が本命か。井上の能力はおよそ万能だから狙われるのもわかる。
取り返しに行こう。
Q.井上さんってそんな簡単に攫われるような人ですか? 原作ならともかくここのは。
A.おいしいご飯につられたんじゃないですかね? 知りませんけど。
Q.ウルキオラ以外がああいうのを上手くできるとは思えないんだけど?
A.十刃の常識人、ハリベル様がいらっしゃるではないか。
本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。
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