BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~100

 

 side 茶渡泰虎

 

 ガンテンバインと戦い、この力にも随分と慣れてきた。虚の力に近いらしい俺の力は、虚圏に来たことによって活性化している。活性化したことによって出力が少し上がったがじゃじゃ馬になった力を少しずつ落ち着かせるために、ガンテンバインとの戦いは好都合だった。特にガンテンバインの武器が俺と同じように拳だったというのも良かった点の一つだ。お互いに同じ距離に身を置いて戦う事で、俺の力のざわめきを抑えるのに役立ってくれたからな。

 その礼と言う訳じゃないが、命はとらずにおいていく。そして代わりに、俺の目に前に立ったこの男と戦おう。

 

「よォ……オメーが一番乗りか?」

「ああ、まあ、そうだろうな」

 

 強い。そして何より硬いのがわかる。動きはそこまで速くない……と言うよりは、速く動く必要が無いと思っているから速く動いていないだけなのだろう。それに合わせたわけじゃあないがこういう奴は恐らく初撃はわざと受けてくれるだろうから左で鎧を撃ち抜く殴り方をする。溜めて、わざと緩めた拳を高速で胸に叩き込む。叩き込む時に一度拳の先端を肌に接触させてから握りこみ、衝撃を体内に通す。それだけで鎧のような固い皮膚を貫通させることができる。

 そこまでやっているにも関わらず非常に硬い。殴りつけた拳の方が痛むほどだ。だが同時に十分なダメージを相手に与えることに成功した。腹部に傷はついていないが、貫通させた衝撃で背中側の服が弾け飛んだのが見えたし、感触からして内臓が一つ二つ潰れただろう。超速再生は破面の場合は残っていないことが多いそうだから多分これで致命傷だろう。解放すると傷が治るんだったか? まあ治ろうが何だろうが俺のできることに変わりはないし、俺のやることにも変わりはない。攻撃を掻い潜って殴る。それだけだ。

 

 口から血反吐を吐いた男に追撃をかけるが、即座に振り回された奇妙な形の刃に阻まれこちらの攻撃が届かない。軽く当てる程度ではあの頑丈な皮膚を貫通するどころか傷一つ付けることもできない。つまり、俺がこいつに勝つためには絶対に左での衝撃通しが必要になるという訳だ。

 だが、それはあっちもわかっているだろう。衝撃通しは相手の外皮がどれだけ硬くとも関係ないが、一瞬の溜めがどうしても必要になる。その攻撃を当てるための一瞬の隙を作らなければ触れることもできないだろうな。

 今の一撃で速度は落とせた。外側も骨も大丈夫だろうが内臓は無事では済まないはずだ。解放されれば傷は治るそうだからできれば開放する前に倒したいところだが……

 

「祈れ!」

「させん!」

 

 掴んでいた柄を殴り飛ばし、武器を吹き飛ばす。死神でも、そして恐らく破面であっても、斬魄刀から手を離した状態での開放は不可能。柄や装飾品などを持っていれば違うんだろうが、今回はそんなものをつかんでいる余裕はないはずだ。

 殴る。吹き飛ばした武器から離れさせるように、そして攻撃を受け止め、受け流し、傷を受けないように。ここでの戦いは途中の物だ。こいつを倒したところでその傷が元で井上を救い出すことができなければ何の意味も無い。戦力を減らすという点では意味があるのかもしれないが。

 接触まで十分の一秒も必要ないような近接距離で解放しようとするという大きな失敗の隙をついたからこその現状。ともかく解放を防ぎ、追い詰めていく。顔面を撃ち抜き脳を揺らし、膝が落ちたところで内臓に衝撃を打ち込み、相手の異様に硬い素手での攻撃を盾で防ぎ、反動で移動しようとした相手の脚を踏みつけて動きを止め、更に殴りつける。足を踏みつけたままひたすらに殴り合う。殴り、防ぎ、殴り、躱し、躱され、殴り、弾き、殴られ、殴り返し、そんな戦いをひたすらに。

 恐らく最初の一撃で相手の内臓が潰れていなければ俺は簡単に負けていただろう。ヤミーと呼ばれていた男の時もそうだったが、最近の俺はそういうことが多すぎる。これからも鍛えておかなければまた同じように苦戦するか、もしくは簡単に敗北してしまう事だろう。

 

 破面の身体の構造は人間のそれとあまり変わらない。脳を揺らせば脳震盪を起こすようだし、喉を潰せば喋れなくなる。こいつの場合は虚閃を突き出した舌先から撃っていたのでそれに合わせて下から殴りつければ簡単に舌を噛み切らせることもできる。数字の書かれた舌と血液が白い砂漠にまき散らされ、俺はお構いなしに殴り続ける。

 殴って殴って殴り続けて、最後に思い切り溜めた左の拳で頭を横から撃ち抜く。脳味噌が思い切り振られた豆腐のようにぐずぐずになっていくのが衝撃を通した時の感触でわかる。ほんの一瞬の虚化によって威力を上げていなければこれも今までと同じように脳震盪を起こすかどうか、という程度に収まっていただろうな。虚化について色々と教えてくれた一護や力の大本をくれた織斑さんに感謝しておかなければ。

 こいつはガンデンバインのように命は置いていく、などと言っていられる相手ではない。ここで殺さなければまず間違いなく傷を治して俺達に突っ込んでくることだろう。それも斬魄刀を解放して今よりも能力が上がった状態で、だ。御免被る。

 

 お前に恨みはないが、悪いが死んでくれ。

 

 

 

 

 

 side 井上織姫

 

 ……!激辛クリームコロッケの霊圧が……消えた……!?

 

「待て。激辛クリームコロッケとは何だ」

「えっと……五番の人の味?」

「……ノイトラか」

「多分その人。ちなみにロリちゃんはコーラサワー、ウルキオラさんは自然の甘さを生かした葛餅?」

「…………そうか」

 

 なんだか頭痛そう……大丈夫?

 

「この状況にある時点で大丈夫ではない」

「そっかー」

 




Q.大金星やな!?
A.0と5を倒してますしね。大金星です。

Q.井上ェ……
A.そういうキャラ付されてるからね。仕方ないね。

本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。

  • 原作世界に一護達in
  • 事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
  • 尸魂界でP1グランプリ開催
  • 虚圏でP1グランプリ開催
  • 全部やろうか(マジキチスマイル)

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