BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~102

 

 side 黒崎一護

 

 走り続けて到着したのは、なんかよくわからねえが異様に広い一室だった。家から下まで全部が白く、こんなところに長くいたら発狂しそうな気すらする。

 だがまあそんなことは気にせずとりあえず目の前で堂々と立っていた桃色の髪の男に開幕で月牙天衝を叩き込もう……として、失敗した。圧縮が上手くいかなかったわけでも飛ばすのが上手くいかなかったわけでもなく、圧縮して飛ばした上で散らされた。

 

「おいおい、いきなり先制攻撃とはせっかちだね」

「急いでるんでな」

 

 一応もう一度、ただし今度は斬月にだけ任せるんじゃなく滅却師としての能力で霊子の圧縮を解除させないようにしてみたが、どうやら多少の効果はあったようで僅かに傷がついたのがわかる。ただ、それでもほとんどの部分は散らされた……と言うより無効化されたというのが正しいのか、触れても傷を負っているように見えなかった。どうなってんだあれは?

 

「無駄だよ、黒崎一護。君の霊圧とその技に関しては全て解析済みだからね」

「マユリみたいなことを言いやがるな」

 

 もう一度斬月を振る。飛んでいく斬撃に呆れたような顔を浮かべ―――しかし気付かれたようで即座に避けられた。

 今回飛ばしたのは月牙ではなく単なる剣圧。俺の霊圧でできた月牙は分解できても、この場所の霊子をかき分ける衝撃そのものである剣圧までは用意していた物では防ぎきれなかったんだろう。その回避で俺から視線が逸れた瞬間に響転を使って霊圧知覚に触れないように高速で移動し、斬月を突き刺して腹の中に直接月牙を叩き込む。例え月牙が拡散されたとして、腹の中に直接撃ち込まれれば拡散する場所は腹の中だ。水が密閉空間で水蒸気になったら一気に体積が増えることで内側から凄まじい圧がかかって密閉空間が持たなくなるのと同じように、こいつの身体が内側から爆散するだろうと思って実行してみたんだが……思った通りとはいかなかったが結構なダメージは通ったらしい。全身が内側から裂けてボロボロになっているのが見えた。

 しかし一旦俺の行動はここまで。背後から覚えのある霊圧が俺に向かって襲い掛かってきていた。斬月を引き抜き、後ろから迫ってくる相手の剣を受け止める。その隙につい今まで押していた相手は距離を取り、そして近くに居た小さめの部下を食い始めた。

 何をしているのかと思うがすぐに気づく。こいつが部下を食うほどに自身の傷を治している。止めるには目の前のこいつをなんとかしないといけないわけだが……面倒なことになってきた。

 

 確認のためネルを置いてきた入り口の所に視線を向けると、そこにネルの姿はない。近くにネルの霊圧も無い。そして目の前の緑髪の女は、ネルと桃色の髪の男の中間のような霊圧……いや、ネルの霊圧の中に桃色の髪の男の霊圧が混じったような霊圧をしていた。

 

「まっ……たく、無茶苦茶してくれるじゃないかこの馬鹿めがッ!!!」

「うるせえよ。敵なんだったらそりゃ殺すだろ」

「へぇ? それじゃあ君の前にいるそいつも殺すのかい?」

「それが必要なんだったらな」

 

 まあ、必要はなさそうだが。

 ただ、こういう輩には同じ手は通用しねえし時間をかければかけるほどに不利になっていく。俺自身の霊圧を解析したってんなら虚化なりなんなりして霊圧を変えればいいだけの話なんだが、こいつがどうやって俺の霊圧を解析して来たのかがわからねえ。予想じゃ多分ネルの身体になんかしてるんだとは思うが、確定じゃねえしな。

 

 ともかく斬る。ネルには悪いが死なない程度に斬りつけて、そして再び桃色の髪の男に今度は虚化した月牙を叩き込む。しかしこれもかなり減衰させられるようで、傷を負わせることはできたが深くない。追撃は傷をおして動いたネルに防がれ、俺は舌打ちを一つ。多分これで虚化した時の霊圧も解析された。後は元の俺の霊圧の圧縮を解除するしかけを虚化の時の俺の霊圧に合わせて使えば俺は黒い月牙も使えなくなるだろう。こうなる前に決着をつけたかったんだが……。

 桃髪の男は今度は回復はしなかった。代わりに刀を抜いて解号を唱える。瞬歩で間合いを詰めようとするがネルの響転に抑え込まれる。虚化してないと響転が使えないのは地味に面倒だな。

 しかし改造されたからと言ってただの破面だったネルがここまで強くなるのか? 確かにネルには普段出している力は上限に掠りもしてないように思えたが、ここまで強いってのは予想外だ。

 

「啜れ、『邪淫妃(フォルニカラス)』」

 

 解放の仕方がキモイ。いや今はそんなことを言っている場合じゃない。いやだが本当にキモイ。具体的にどれぐらいキモイかと言うと四肢を同時に失ってしかし四肢を同時に再生しようとするマユリくらいキモイ。マジで。

 だからこんなことを考えている暇はない。仕方ないのでネルの胴体に斬月のでかい方をぶち込み、壁に磔にしてから桃髪の男を狙う。小さい方の斬月に完現術を使うと虚の俺が出てくるが、でかい方の斬月に完現術を使うと俺の中の滅却師の力、すなわち斬月のおっさんが出てくる。虚の俺の方は現世でネルに見せているから少しくらいデータが取られているかもしれないが、滅却師の力の方はほぼ見せてもいないし大丈夫だろう。抑え込むにも滅却師の力の方が向いてるしな。

 俺の霊圧を突き刺した相手、この場合はネルに身体に流し込み、血管を使って全身に静血装をかける。こうすることで身体を動かせないようにすることができる。これで一対一だ。まあ虚閃が飛んでくる可能性もあるから注意はしているけどな。

 

「ハァァァァァァ~~~~~~~~~~……待たせたね。今更だけど自己紹介と行こうか。僕の名前はザエルアポロ・グランツ。第八刃(オクターバ・エスパーダ)だ」

 

 言葉の直後、何かキモい奴がなんかキモい液体をそこら中にぶちまけた。キモい。

 




Q.なんかキャラおかしくない? また発狂してるの?
A.また発狂していると言うかまだ発狂していると言うか……

Q.発狂治したって言ってなかったっけ?
A.一護君の中にはもともと狂ったようなのがいるでしょう? 日々殺し合いのような鍛錬をするでしょう? 自分の死体を見てSAN下がるでしょう? 再発狂ですわ。

Q.ところでネルはどうなってんの?
A.解説大好きなBLEACHキャラなら解説してくれますよきっと。

本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。

  • 原作世界に一護達in
  • 事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
  • 尸魂界でP1グランプリ開催
  • 虚圏でP1グランプリ開催
  • 全部やろうか(マジキチスマイル)

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