BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~105

 

 side 阿散井恋次

 

 第六刃、グリムジョーって奴と戦い始めてからどれくらい時間が過ぎただろうか。正直よく覚えてねえが、一時間以上は戦っている気がする。

 そもそも俺の卍解とこいつの戦い方の相性が悪すぎる。速度と高威力の接近戦を主体とする相手に狒々王蛇尾丸は巨大すぎて当てにくい。加えて言うと卍解の力を完全に使えるわけじゃねえからな。それはお情け卍解とかそういう話ではなく、単純に四か月と少し程度の修練では卍解を扱いきるだけの修練を積めないというだけの話であって時間さえあればもう少し何とかなるだろうとは思うんだが、さて……?

 

 グリムジョーの放つ巨大な虚閃を狒骨大砲で僅かに弾いて直撃を避け、圧縮されすぎて実体化した霊子の煙を引き裂くように狒々王蛇尾丸を噛みつかせる。片腕片足で抑えられてしまうが重要なのは動きを止めたということ。蛇尾丸の咢を思い切り閉じさせながら叩きつけるが、叩きつける直前に抜けだされた手ごたえがあった。

 蛇尾丸を最速で縮めることでその場から離脱すると、俺のいた場所を貫通するように棘のような物が飛来する。俺を追ってくるようなことはないようだが、破壊力が凄まじいのは外した棘が突き立った砂漠が大きく抉られるのを見ればわかる。あんなもんを喰らったら流石に無傷じゃ済まねえな。と言うか死ぬんじゃね?

 だがそんなこと考えてる時間もありゃしねえ。爪を防ぎ、蹴りも防ぎ、必死になって蛇尾丸を操り続けるが俺にはどんどんと傷が増えていく。一応当たれば傷つけることはできるんだが、どうにも当てづらくて仕方がない。これで当てても効果が無いんだったら諦めもつくんだが、当たれば倒せる可能性は十分あるから諦めきれない。

 始解の蛇尾丸なら当てること自体は簡単になるんだが、それだと今度は威力が足りずに弾かれちまう。霊圧強度は負けてないから一応傷は入るんだが、致命傷まではとても届きそうにない。一護の奴はこいつより強い奴を始解のまま倒したってのに、何とも情けねえ話だ。

 

 ……今回送り出してくれた織斑さんは、俺がこっちで何の成果も得られないままただ倒されるだけとかそんな情けない状態になったら俺の恥ずかしい秘密(内容についてはその時まで秘密)をぶちまけると言ってきた。そりゃもう必死にもなる。相手は織斑さんだ。俺らの事を小さい頃から知っているし、総隊長の秘密まで普通に知っているような人だ。そりゃ俺の秘密くらい知ってるだろう。内容がどんなのになるか今から怖い。

 ともかく、俺がここで倒されたら俺の秘密をぶちまけられる可能性が非常に高い。と言うかあの人なら絶対にやる。間違いなく。だって相手は織斑さんだし。

 何が何でも負けられない。何をばらされるかわかったもんじゃないからな。と言うか、何をばらされたとしても致命傷寸前になる気しかしない。いっそ一撃で息の根を止めてくれと思わないでもないが実際にそれを口にするとマジでやってくるから言えねえ。

 

 だが正直手詰まり感が否めない。このまま戦いが続けばいずれ俺の反応が間に合わなくなって致命傷を受けることになるのが目に見えている。何かきっかけが欲しい。この状況を打破するきっかけが。

 しかしそんなことを望んだところで何が起きるわけもない。俺には俺のできることをやるだけだ。それにこいつがここにいるということは、当たり前だが俺が戦っている間はこいつは他の所には行かねえということになる。最低限それだけでいい。

 

 自覚はあった。俺は今回虚圏に突入するメンバーの中で一番弱い。いや、正しくは手札が少ないと言うべきだろうか。

 一護のように圧倒的な基礎能力があるわけじゃない。

 茶渡泰虎のように小回りと威力の両立もできない。

 滅却師のように遠距離攻撃もできないし、霊子を扱うのも上手くない。

 ルキアのようにおよそあらゆる盤面に使える技も持っていない。

 わかっていた。俺が一番中途半端だと。

 

 だが、だからと言って諦めるわけにはいかねえ。グリムジョーは一護を狙っているらしい。そして一護は恐らく今誰かと戦っている最中だ。そこにこいつと言う敵が増えるのはいくら一護でもきついだろう。

 だからこそ、ここで俺が食い止めるくらいはしておかねえといけねえ。

 

 刃節を外し、狒々王蛇尾丸を刃節だけで動かす。本来俺の霊圧で繋げている刃節を外すことで一つ一つの動きを読みづらくし、一度に多方向から攻撃することも可能になる。頭以外の攻撃はあまり通らないが、それでも繰り返し同じところに何度も傷をつけていけば全く通らないことはない。いくら硬くても全く傷つかないわけじゃないなら、やりようはある。

 普段の蛇尾丸でやるように、何度も何度も同じ場所を斬りつける。斬ると言うより抉る、抉るというよりも削ると言った方が正しいような傷しかつけられないが、それでも傷は傷。何度も繰り返し削っていけば、皮膚から肉に傷が到達するのは必然だ。

 まあ今の状態に持って行くまでにかかった時間とこっちが受けた傷を勘定に入れると割に合わねえってレベルじゃ済まされねえぐらいに負担かかってるけどな!

 そして、こいつには超速再生能力はねえ。削れば削るだけ弱体化させられるし、こいつらの解放が俺達の卍解に相当するものだというのならば解放中に一度削った傷は一旦解放をやめてから再度解放したところで簡単に治るものじゃねえはずだ。元々の姿に傷がついてんだからそりゃそうだよな。同時に狛村隊長の卍解みたいに時間があれば治るのかもしれないが、そんな時間は今とれるようなものじゃねえはずだ。

 

 今、一護の所にあった霊圧が消えた。なんでかあそこの霊圧は何度も数を増やしたり減らしたりしていたからよくわからねえが、多分あっちは終わったんだろう。

 だったらもう、俺も勝つしかねえよなァ!

 




Q.そういや相性最悪だよな……勝てんの?
A.原作の流れのままザエルアポロと戦うよりは勝ち目がありますね。

Q.勝てんの?
A.2:8で負けます。結果はこれからサイコロで決めます。

Q.勝つの?
A.ちょっと待ってて(コロコロ)……マジかよこいつ勝つわ。

Q.勝つんだ……
A.恋次「なんでちょっと残念そうなんだよ!?」

O2.「そんなことより黒崎君食べたい」
O1.「私も食べたいけど我慢ね」

本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。

  • 原作世界に一護達in
  • 事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
  • 尸魂界でP1グランプリ開催
  • 虚圏でP1グランプリ開催
  • 全部やろうか(マジキチスマイル)

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