BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~107

 

 side 黒崎一護

 

 作り物の空が井上の盾で覆い隠されたと思ったらネルの身体が治り始めた。やっぱ井上の盾って本当に便利だなと思ってしまう。お陰で井上の現在地が少しわかりにくくなったが、直前に居た場所の位置はわかっているからそこに向かって走っていく。

 向かった先は高い塔。中でも一番高い所に井上の霊圧はあった。その周りに他の存在の霊圧は無く、井上だけが一人でそこにいる。石田は俺に気付いているようだが今は恋次の方のサポートをやっているようだし、チャドは近くを走り回りながら大量に存在する同じ霊圧の奴を潰し続けている。どんな奴かはわからないが、自分の手駒を無制限に作り出し続けるような能力だろうか。チャドが抑えてくれていて助かった。

 

 ……しかし、俺が追ってるのは本当に井上か? 井上以外の誰だと聞かれたら困るんだが、井上の霊圧とは大きく違うところがある。なんと言うか、虚化した時のようにがらりと変わっている。

 チャドが虚の力を織斑さんからもらったと聞いて同じような力を持っているらしい井上にも虚の力を渡されていてもおかしくは無いと思いはしたが、それでも疑わしいほど綺麗に変わってしまっている。チャドや平子たちが虚化した時には本人の霊圧の上に虚の霊圧を纏うような感じになるんだが、井上の場合はそもそもの人間の霊圧を殆ど感じ取ることができなくなる。それこそ完全に虚として生まれ変わったかのように。

 これが織斑さんなら『また織斑さんか』の一言で済むし、マユリとかだったら『また妙な研究をしてるのか』とかで済むんだが、井上だからな。何があったのか全く分からない。

 

 だがそれでも足を止めるつもりはない。俺は走って井上の元に向かい、ついに見つける。

 

「井上ッ!」

「―――あ、くろさきくん?」

 

 振り返った井上の姿を見て、俺は言葉を失った。

 白い髪。白い肌。黒い眼球に金の瞳。それはまるっきり俺の中に存在している虚と同じような変化であった。

 

「……井上、だよな……?」

「そうだよ?」

「……井上。何があった?」

「うーん……うん、そんなことよりさ、くろさきくん」

「そんなことってお前―――」

 

「先っちょだけ、タベサセテ?」

 

 悪寒が走る。一瞬背負った斬月に手が伸びかけるのを無理矢理ねじ伏せて、井上の姿を見つめ続ける。

 

「あのね? おなかがすいたの。虚の私なら霊子だけでもしばらく大丈夫だけど、人間の私だとご飯を食べないとおなかがすくんだよ?」

「……ああ、知ってる」

「だから、少し私は私になったの。私なら霊子でできたものでも栄養にできるし、私自身を私にすればそれでもちゃんと健康でいられるから大丈夫だと思ったんだ」

「……そうなのか」

「そうなんだ。それに、ご飯はいっぱいいたけどあんまりおいしくなくってね? だから、黒崎君が食べたいんだ。……先っちょだけ!先っちょだけでいいから!ね?」

 

 正直、悩む。井上は完全に発狂していると思っていいだろう。まあまともな人間が自身の存在を塗り替えて大丈夫なわけがない。これが永続的な物か一時的なものか、もしくは本人がひた隠しにしていた本性なのかという区別は付けられないんだが、もそも一時的に発狂した結果だとしたら発狂状態から戻った時に凄まじい衝撃を受けることになるのはまず間違いないだろう。

 それに何よりぶった切るのは初めから却下だし、しかし斬らないとこれは止められそうにない。言葉で止められるような状態ならこんなになってないだろうしな。

 ならどうするか。斬っても駄目。止めようにも止め方がわからない。だったら方法は一つっきゃねえだろ。

 

「来いよ、井上」

 

 受け入れる。斬月を背に回し、両腕を広げて井上を待つ。歪んでこそいるが汚れてはいない、これもある意味無垢な笑顔と呼べるだろう表情で、井上は俺に抱き着いてきた。

 そして、大きく息を吸い込んだ。それに合わせて俺から放出された霊圧が井上の口に流れ込むのがわかる。ちゃんと俺が普通に放出している分だけ食べて無理矢理魂の奥から吸い出したりしないあたり、本当に『先っちょだけ』なんだな。これを先っちょといっていいのかどうかは知らねえけど。

 別に俺の身体に何が起こるわけでもねえ。ただ俺がいつも自覚しねえで放出している霊圧を井上が吸収しているだけだ。石田のように滅却師としての能力を極めるとこうやって放出したりしなくなるらしいが、意識してならともかく無意識で全ての霊子と霊圧を身体の中に抑え込むことはできそうにないからな。

 

 そうして俺は井上に喰われながらこれからの事を考える。現世に行くには道がない。現世で浦原さんが気付いて俺達の所に黒腔を開けてくれるまで、俺達はここから出ることができない。

 

「―――そんなことないよ、黒崎君」

 

 俺に抱き着いていた井上が離れて、六花の一つを呼び出した。

 

「弧天斬盾。斬って、広げて、繋げて。椿鬼」

 

 井上の盾が、空間そのものを切り裂いた。その中は黒く、暗く、霊子が渦巻く空間。俺達がここに来るときにも通った黒腔に間違いない。

 

「井上……どうやって……?」

「ふふ……ほら、早く行って。黒崎君をたくさん食べたからもう暫くは繋げていられるけれど、それでもあんまり持たないから。椿鬼が先に行ってるから、あとを追いかけていけば空座町に繋がるよ」

「……わかった。ありがとな。井上」

 

 俺は黒腔に飛び込んで、空座町に向かった。

 




Q.井上が虚になった理由って黒腔を開いて繋げるため?
A.そうです。人間状態だと難しかったようですが、虚の状態だと割かし簡単に開けるようです。

Q.ところで、これちゃんと着くの?
A.時間はかかるでしょうが一応は。

Q.霊圧の排出孔は手首にあるそうだけどそれっぽい描写ないね?
A.なに? 織姫が一護の手首に何度も唇と舌を這わせて何ともインモラルな感じなのを見たい? またいつかね。いつになるかはわかんね。


本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。

  • 原作世界に一護達in
  • 事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
  • 尸魂界でP1グランプリ開催
  • 虚圏でP1グランプリ開催
  • 全部やろうか(マジキチスマイル)
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