BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~108

 

 藍染が現世に到着した時、そこには護廷十三隊の殆どの隊長格が揃い踏みしていた。その場にいないのは虚圏に無断出撃した阿散井恋次と、現世に来ることを禁じられている織斑一夏のみ。原作においては虚圏に突入していた更木剣八、朽木白哉、涅マユリ、卯ノ花烈もその場に立っていた。

 

 空座町は今、外界から隔絶された状態にある。建物も人間も全てを尸魂界のはずれに移動させ、代わりに全く同じ建物を空座町の場所に入れ替え、更に空座町を結界で覆う事によって恐らく激しいものになるであろう戦闘の余波に晒されないようにされている。

 四方に柱が立てられ、その柱は予定より多い人数で守られている。虚圏に井上織姫が攫われたという情報が出た時点で数人の隊長格を送り込む予定であったが、実際に向かわせる時になって『必要になったら俺が直接行くから大丈夫』という発言が某三番隊隊長の口から出たことによってそれ以外の隊長陣が全て現世の空座町のあった場所に集結することができていた。

 

「……では、まずは篩にかけるとしようか」

 

 藍染はそう呟き、刀に触れる。護廷十三隊の誰が言葉を発するよりも早く鏡花水月の能力がその場を支配した。

 

 その場にいるほぼ全ての死神たちの感覚がすり替わる。視覚が痛覚に。味覚が平衡覚に。嗅覚が方向感覚に。聴覚が運動覚に。触覚はそもそも人間に存在しない磁気覚に。ありとあらゆる感覚がかき混ぜられ、ほぼ全ての感覚が封じられる。

 これにより痛みで物を見ることのできない人間は視界を失い、身体の位置で物を聞けない人間は聴覚を失い、方向を嗅ぎ分けることのできない人間は嗅覚を失う。全てが封じられるよりも入れ替えられる方が遥かに対処が困難となるという純然たる事実が護廷十三隊の前に立ちはだかるが、それでもその場に両の足で立ち、藍染を睨みつけるものが二人いた。

 一人は更木剣八。自身の霊圧をひたすら高めることによってできてしまった鎧を纏い、藍染の鏡花水月が見せる催眠波をすべて弾いて無力化させた。

 そしてもう一人は涅マユリ。藍染の鏡花水月の霊圧を解析し、それを遮断することで自身も無力化されることのないようにする機構を空座町の模造品の中に埋め込んでいた。ただし、今はマユリにしか効果がないそれだがここからマユリが直接操作することによって護廷十三隊全体にその効果を広げることができる。藍染の現在の能力を解析し、その結果を出すまではマユリ個人を守ることしかできない発明だったが、こうして今まさにマユリと剣八が残って剣八が戦い、マユリが解析するという実に都合のいい状態にある。

 

「私は忙しい。こちらに近づけないでくれたまえヨ?」

「知るか。死なねえ程度にテメーで逃げ回れ」

 

 そういうが早いか剣八は藍染に斬りかかる。そしてマユリはいずこかへと消えていく。剣八と藍染の戦闘を通して藍染の鏡花水月の能力を解析し、無効化できる範囲を自分以外にも広げ、戦いをより有利に運ぶための準備を整えようという企みだったが……上空から飛来する無数の刃によってその想定は崩された。

 

「お前に時間を与えると厄介だということは知っている。故に、ここで殺させてもらうぞ」

「チッ。面倒なことだネ……」

 

 藍染の率いる破面も護廷十三隊の面々も等しく地に伏せる中で、藍染の能力に対抗できる二人の死神と藍染の能力が効果を及ぼさない二人がぶつかり合う。力任せの刀と霊圧任せの刀、異様な霊圧を持つ者同士がぶつかり合った衝撃で、瞬間的に大気が砕け弾け飛ぶ。一瞬の真空とその場に殺到する大気がぶつかり合った二人の肌を叩き、大きな音を響かせた。

 

 

 

 

 

 虚圏の戦いは既に終結していた。現世に渡る術を持たない死神、滅却師、完現術者たちは一か所に集いながらどうやって空座町に戻るかを話し合っていた。

 

「無理だと思う」

「一言目からそれとか君は考える気があるのか!?」

「ム……考える気はある。が、考えたところで俺には空間をいじったりとかそういう細かいことはできんと言う事だけは理解している。故に俺には何もできないから無理だ」

「俺もだな。鬼道に関しては言わずもがなだし、物理で空間に干渉できるほど強くもぶっ飛んでもねえ」

「空間に作用する鬼道は難易度が高いからな。それに行き先が空間を隔てた先である現世となると私にどうこうできるものではない。虚と違って死神が世界を越える際に使う穿界門は道具が無ければ開けんし、黒腔であれば現状開けるのは浦原と織斑殿くらいなものだろうよ」

「ああそうだね君たちに聞いた僕が馬鹿だったよ!そうじゃなかったら黒崎だって普通にここに走ってきてたに決まってるもんな!」

 

 そして即座に自分たちにできることがほぼ何もないということを理解していた。実際、虚圏に突入するだけでも自力でできないのに、そこから脱出することができるわけがないのだ。もしかすれば妙な所に迷い込んだ末に時間の果てに飛ばされ、そこで即死することすら考えられる。流石にそんなことで死ぬ気にはなれないのでそこでもう彼らにできることなど何もない。

 

「ん? 現世に行きたいのであれば黒腔を開けるが?」

「「「「ハァ!!?」」」」

「イヤイヤ、お前たち私を何だと思っているのだ? 一度仮面を全て剥がされたとはいえ破面だぞ? 自力で黒腔を開くくらいの事はできなければ外に出れないではないか」

「オイラもできるでヤンス」

「と言うか、通常の虚ができることは破面にできないわけは無いのだが、なぜそんな事にも考えが及ばないのだ? もしや……馬鹿なのか!?」

「だったらさっさと僕たちを空座町に連れて行け!」

「無理だな。その……からくらちょう? だったか? その場所がわからん。現世にだったら行ったことがあるからわかるのだがな!」

「微妙に役立たずだな!」

「何を言うか!現状で何もできていない雨竜に言われたくはないわこの真っ白白介!」

「白いのは君も同じだろう!? それに僕は白さに誇りを持っているんだからいいんだよ!」

「白さに誇りを……まるで洗剤のような口ぶりだな」

「虚圏に洗剤なんてあるのか!?」

「汚れた部分は砂で削ればいいだろう?」

「やり方が洗剤じゃなくて研磨剤じゃないか!」

 

「あれ、いつまで続くと思う?」

「さてな。まあこういう時には急いても良いことは無いと織斑殿も言っていた。色々と持ってきたから食事にせぬか?」

「お前が持ってたやつ全部冷凍かフリーズドライになってるだろうからいらね」

「チョコならあるが……いるか?」

「くれ」

 

本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。

  • 原作世界に一護達in
  • 事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
  • 尸魂界でP1グランプリ開催
  • 虚圏でP1グランプリ開催
  • 全部やろうか(マジキチスマイル)
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