BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~110

 

 side 黒崎一護

 

 走る、走る、走る、走る。斬り開かれた空間を辿り、霊子を集めて道を作り、井上の開いた道を進む。俺の前を進んでいくのは井上の使う六花の一人。浦原さんが開いたときよりも綺麗に開かれているように思うのは、一時的とは言え虚になっている井上が開いたからだろうか。俺がこういうのを開ければもっと早かったんだろうが、俺にはどうにも向いていないからな。

 だからこそ、今はとにかく走る。前の話からして恐らく織斑さんは現世には出てくることができない。だったら藍染を止めることができる相手は限られてくる。俺でも止められるかどうかはわかんねえし、もしかしたらただの一太刀で斬り捨てられちまう可能性すらあるが……それでもじっとしてられねえ。

 空座町には家族がいる。親父とお袋も戦えるだろうし、浦原さんだっている。しかし、藍染の能力を相手にする場合には数ではなく圧倒的な質が必要となるもの。多分だが親父たちはその質については要求値に届いていないだろう。

 

 目の前が拓け、藍染の背が視界に入った瞬間。俺は斬月に乗せた月牙を脳天に叩きつけた。しかし俺の刀は藍染が頭上に掲げた刀に受け止められ、月牙も同じように散らされる。チリのように細かく散らされた月牙を藍染の肺に飛び込ませようとするが、それは藍染の霊圧によって阻止される。研ぎ上げられた月牙は単純な霊圧によって摺り潰された。

 藍染の霊圧と俺の霊圧が衝突する。そしてそこに割り込んでくる―――いや、むしろ割り込んできたのは俺の方なんだろう、剣八の霊圧が生肉を見せられた飢えた獣のように飛び込んでくる。

 

「一護か!邪魔すんじゃねえぞ!」

「わかってるよ!」

 

 剣八は俺がどこに居ようが攻撃の手を緩めることはねえだろうからな。巻き込まれないようにしねえと普通に剣八の攻撃で死にかねない。

 剣八は馬鹿でかい斧のような形の斬魄刀を振り回し、藍染がそれを受け流す。霊圧だけなら藍染の方が上なのがわかるが、戦闘能力という点においては剣八の方がやや上回っているように思える。藍染は余裕の表情を崩さないが、その実首筋に僅かに冷や汗をかいているのが見えるし、剣八の攻撃は受け止めるではなく受け流すことに集中しているのもわかる。正面から受け止められるのであれば、恋次にやったのと同じように軽く弾き返すなり受け止めて切り返すなりするだろう。それができていないというだけで剣八の強さがわかる。

 少し離れた場所ではマユリが東仙を相手に戦っているのが見えるが、あれが押しているのか押されているのか俺にはよくわからない。マユリの場合は負けているように見えても最終的に勝利条件を満たしている立場に立っているというよくわからない戦い方をする。ほんとなんだあれ。

 とりあえず霊圧を高めてぶった切りに行くが藍染の刀に弾かれてしまう。剣八の刀は受け止めず、しかし俺の刀は受け止めているあたり剣八の方が威力はあんだな。霊圧だけで藍染の能力を弾いてる頭おかしい奴と一緒にされても困るが。

 

 藍染からは目を離せないが、同時にマユリと戦う東仙からも意識を離せない。意識が藍染に集中しそうになる度に僅かに俺に向けて殺気が飛んでくるあたり、まず間違いなく不意打ちを狙っているからだ。マユリと戦っているくせによくそこまで余裕があるなあいつ。

 移動の際に空気を切った袖から細く月牙を放ってみるが、刀が分かれた一本によって相殺される。だが霊圧を圧縮したものに対しての操作能力は俺の方がよほど優れているようで、砕けた月牙をもう一度集めなおしてその場から撃ち出すと今度はあっさり腕を落としてしまう。それでもかまわず動き回っているのを見ると間違いなく何らかの改造を受けているんだろう。藍染が今の今までいた場所を考えればまず間違いなく破面と同じような能力持ちだろう。腕が高速で再生しているところからもわかる。

 ここで東仙に向けていた意識を藍染に向けなおす。胴を切り離すように放たれた斬撃を受け止めきれずに受け流す。一瞬だけ刀で抑え、その間に最速で身体を引く。次の瞬間剣八が藍染に斬りかかり、俺もそれを避ける。余波が空座町を割り、しかし空座町には誰一人の霊圧も無いためここが偽物だとわかる。

 

 ……倒れてるのが護廷十三隊の死神だけじゃなく、恐らく藍染自身が連れてきたんだろう破面たちもってことは、藍染の鏡花水月の能力は一度かけたらそれを選択的に見せることはできねえんだな。並列じゃなく、全部直列なんだ。だから何だって話だが、少なくとも今見ている光景が突然崩れたら間違いなく藍染の能力の支配下だってことだけはわかった。

 どんだけ面倒な能力を持ってんだよマジで。能力を発動する条件は相手に解放の瞬間を見せるだけで、加えて一度能力の圏内に置いたらいつでもどこでもどんな状況でも能力下におけるとか、能力の強さに反して発動条件が緩すぎる。もっとこう『斬った相手の身体の中に刀身を残す』とか『自身の霊圧を相手の身体の中に取り込ませる』とかそんな感じの難しい発動条件は無かったのかと。いやいっそ難しくなくていいから能力下に置かれたことが本人にもはっきりわかるような条件であればいいのに、内容を考えればそれでもまだ緩すぎるんだよな。

 下に転がっている破面たちは、空座町までの道を拓いてくれた井上の六花のうちの一つが少しずつ解体している。あれをどうするのかはわからない……いや、嘘ついた。多分食うんだと思うが、ともかくほっとけば敵はいなくなるだろうと思う。

 そして東仙の方はマユリが結構簡単に何とかして見せたし、藍染は藍染で殺せないが抑えられてる。ここから何をどうすればいいかはわからないが、とにかく死なないように気を付けながらなんとか藍染を倒す必要がある。殺してもいいが俺の最大威力の月牙を霊圧で摺り潰した上に刀もあんな簡単に受け止められるんじゃどうにもできない。マジで世界終わったかもしれないな。

 

 ……今更だが、俺は藍染の目的を知らない。なんで藍染がこんな無茶苦茶なことをやらかしたのか、全くわからない。刀を合わせてわかったのは、藍染は孤独の中に居て、その孤独を引き裂いて現れた奴がいたってことくらいだ。多分それが織斑さんで、藍染は織斑さんに恩のような物を感じているってことくらいか。

 つまり、今こうやってるのは織斑さんのため……なのか?

 

「勘のいいことだ」

 

 目の前に藍染が立っていた。

 

本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。

  • 原作世界に一護達in
  • 事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
  • 尸魂界でP1グランプリ開催
  • 虚圏でP1グランプリ開催
  • 全部やろうか(マジキチスマイル)
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