side 黒崎一護
井上からウルキオラの霊圧を感じ取ったから聞いてみたんだ。そうしたら、井上はつい最近までウルキオラを
井上が食べたウルキオラの分の魂魄は、霊子に還元されて霊圧として井上の中に存在し続けている。それは虚が人間の魂魄を食べて成長するのとよく似ているが、井上は自身の中に存在している虚と完全に一体化することで人間でありながら虚でもある状態を維持しているらしい。だからこそ人間である自分が死ねば虚の井上も死ぬし、虚の井上が死ねば人間である井上も死ぬ。それでバランスを取っているらしい。
ここからが大切なことなんだが、井上が取り込んだ魂魄を虚として食べることで虚としての井上が強くなり、その結果として井上の霊圧は成長している。これはつまり、霊的存在を使えば一時的にでも自分の霊圧を引き上げることは不可能ではないということだ。
そしてこの場の物質は全て霊子でできている。霊子を扱うのは滅却師の得意分野だが、そのあたりは斬月のおっさんに任せて霊子をとにかく大量に取り込む。取り込んだ霊子は虚としての俺に食わせて霊圧に変えて、そうしている間に俺の中にいる居候を叩き起こす。
なんかよくわかんねえけど、意識を持った人の爪。俺の魂の中にいつの間にかいて、ずっと眠り続けていたらしいこいつこそが完現術の力の源。虚の力って聞いてたけど、なんか虚って感じしねえな?
不思議なことに、こいつに意識はあるが自分から動こうとしない。そして自分にも止められたことに対して全力で応えようとする。かなり無茶な事でも、ヤバいことでも、俺に何かを求めることなくただただひたすらに俺の願いにこたえようとするこの爪は……何なんだろうな。
今回もこいつは俺の無茶な願いに応えようと力を振るう。霊体を霊子にまで分解する斬月のオッサンと、その霊圧を最高効率で取り込む虚の俺。そして取り込んだ霊圧の持つ性質をより高めてこれから撃つ一撃の威力を底上げしているこの爪。俺のやることは、その一撃を外さないようにすることだけだ。
───最後の月牙天衝。俺という存在の持つ霊圧だけでなく、その霊圧を納める器でもある魂魄の強度をぎりぎりまで削って月牙として放つ、文字通りの意味で最後の技。だがそもそもの話……削るのって俺じゃなくてもいいよなそれ?
霊圧を放つ物は多くある。尸魂界や虚圏の物質は全てが霊体であり、その全てが僅かではあるが霊圧を放っている。なんなら強度で言うなら霊力を多少扱うことのできる程度の一般的な魂魄よりもよほど頑丈であり、霊圧への耐性もある。霊圧への耐性が高いということはそれだけその存在が霊力的に頑丈であるということで、それだけのエネルギーがそこにあるってことだ。
それはもちろんこの場所にある拘流や拘突も同じことで、気流のような物でありながらその頑丈さは類を見ない。一度捕まればかなり上位の死神や虚でも逃げることは難しいらしいからな。俺はそこまで感じやしないが。
だがそれでもそこに存在しているのであれば十分だ。むしろ頑丈であればあるだけいい。解体した時に取り込める霊子の量が格段に多くなるからな。
今の俺と藍染の霊圧は、取り込んだ分も合わせれば俺の方がいくらか勝っている。あっちは崩玉を取り込んでいるが、結局のところ純粋な霊圧量だけなら俺の方が多く取り込んでいるはずだ。
そんな俺が何をしたいのかと言えば、まあ結構簡単だ。俺じゃあなく、俺以外のものを削って作った霊圧で月牙を放つ。俺一人の霊圧だけでぶっ飛んだ威力が作れるのなら、俺以外の奴から集めれば威力がもっと上がるのは当たり前だよな? それこそ俺が俺以外の存在を全部纏めたよりも霊圧があるとかそういうのじゃなければよ。
それに、この場所だったら世界が壊れるとかそういうことは気にしなくてもいい。何しろ場所は世界の外側で、尸魂界からも現世からも虚圏からも凄まじく距離がある。じゃなかったら流石にこんなの使えやしねえよな。
俺が最後の一発の準備をしている間に、藍染の身体が変質していく。全身がのっぺりとした白い甲殻に覆われ、それが罅割れて中から一回り強くなった藍染が現れる。蛹が蝶へと羽化するようなその変化によって霊圧の密度が増し、腕に刀が同化する。ある意味じゃ俺と同じだな。斬月は浅打じゃなくて俺だし、そう言うこともあって俺と同じだ。
流石に藍染の斬魄刀は俺と違って浅打から変えた奴だと思うが、解放ができるようになった時点で大体自分と同じようなものになるわけだしそこまで変わらねえと思う。
「なあ、藍染」
「何かな、黒崎一護」
「お前、本当は世界なんてどうでもいいんだろ」
ほんの一呼吸にも満たない時間、しかし確かに藍染の呼吸が揺らいだ。
「自分以上の存在が居て、自分の理解も認識も越えた存在があって、それが無くなれば結局俺たちが守ろうとしているこの世界は消えてなくなる。それがわかってるから今をただ楽しむように行動してんだ」
「そうだろ?」
藍染の背後から鎖穴を貫き、月牙で引き裂く。引き裂句のに使った月牙の霊圧と藍染の肉から作った霊圧を集めなおしてもう一度月牙を作りながら離れると、藍染に間違いなくつけたはずの傷はまるで全てが幻であったかのように消えた。
「……ああ、そうだとも」
そして俺がやったのと同じように、俺の胸から斬魄刀が生えた。
本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。
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