side 黒崎一護
目的は強くなること。強くなるために一番手っ取り早い方法は……やっぱ食うことなんだよな。虚として魂魄を食えばそれは俺の力になるから可能な限り強い相手を食うのが早い。死神の力は藍染が俺に力をぶち込んだのと纏めて宝玉も取り込んでから一気に増えたし、虚は結構そこらで食えるし、完現術は……ちょっと人間の魂魄をそのまま食うのは主義に反するから無理だが、もしも取り込む機会があったらやっておこうと思う。
問題は滅却師としての力だが、どうやら滅却師はこの世界にはもう殆どいないようで石田とその父親くらいしか存在を確認できていない。追加を得ることは難しいから地道にやってくしかねえな。
斬月のオッサンの作った影の中の空間で寛ぎながら、俺の精神世界で作戦会議をする。影の中から外の感知をするには滅却師であることが最低条件になるが、俺は滅却師だから問題なくできる。今思い出してみると、おふくろも買い物とかで荷物が多くなった時とか手品みたいに荷物を消してたことを思い出した。ある程度以上の力がある滅却師だったらできるんだな、これ。
……そう言えば、おふくろがいない理由は何なんだろうな。尸魂界から出られない織斑さんがいることで起こらなくなる現世にまで何らかの害を及ぼすことでかつ滅却師に対して特効があるもの……まっっっっったく想像がつかねえな。
「……いや、無くはない」
「え、あんの? イヤまああるだろうとは思ってたけど知ってんのか!?」
「まあ、な……恐らくだが『聖別』だ」
あうすべーれん……技か武器の名前か?
「『ヴェ』だ。『
「随分と言い澱むじゃないか。確かにあれは技と言うよりは生態に近いものがあるだろうが、自らの意志である程度使用するかどうかを決められるというのであれば技ということでいいのではないかな?」
「さっき捕まえてきた牛みてえな虚の舌がめっちゃうめえ」
「お前何やってんの? 一応さ、ほら、こっから色々とわかっていく感じの流れだったじゃねえかよ。なんで突然飯の話になってんだ? あといつ出たお前」
「月牙だけしか出してねえから平気だろ、多分。あとなんかこっちのお前も全く同じ感じの代行証を持ってたみたいだからもしかしたらここの世界の尸魂界からこっちの一護に連絡が入ったのを傍受できるかもな」
「なんか結構重要そうな情報持ってきてるからこれ以上なんか言うこともできねえしよ」
……ん? 確か前にかなり軽い感じでなんか言ってた奴がいたような?
「……藍染。オイ藍染」
「何かな?」
「お前確か前に瀞霊廷に滅却師の王を含めた奴らが居て昔に殺し尽くしたとか言ってなかったか?」
「言ったね。思い出してくれて嬉しいよ」
「つまり、滅却師の王は斬月のオッサン……の、元になった奴だよな? で、そいつを殺したから現世の滅却師が死ななかったって感じなんじゃねえのか?」
「恐らくはその通りだろう。聖別とは、自身が選ばなかった滅却師達から滅却師としての力を奪い取るものだ。その際に身体にはそれなり以上の負担がかかり、多くの場合は死に至る。私達の世界ではあの男が瀕死で眠り続けていた滅却師の王を殺害して聖別を使わせなかったからこそ現世の滅却師を多く生き残らせることにつながったのではないかと考えている」
……。
「それ、俺もできたりしないか?」
「滅却師としての技量、そして適性が足りない。ただ、滅却師の力は周囲から自身へと集める力。お前が滅却師としてより強くなれば同じようなことができるかもしれないし、相手の力を奪い取るような能力を認識すればそれを真似ることで似たようなことはできる可能性はある」
「食うでいいならできるぞ」
「駄目」
「だろうな」
それでいいならとっくにやってるだろうしな。斬月のオッサンはこれで結構と言うかかなり過保護な所があるし。
だが、滅却師の王が相手の能力まで奪えるとか凄まじいな。どうやればいいかの理屈もわからねえしなんならそれを殺した織斑さんや一番隊の爺さんもだいぶやべえわ。
結論として、暫くはこのあたりで大人しくしておくが大きな霊圧の動きがあったらその場に急行してその場を観察する。もしもちょうどいい能力があったらそれをじっくりと見て真似ていくと。つっても滅却師がほぼいないらしいから無理だとは思うけどな。
何かあるまでは俺の精神世界なり代行証の完現術なりで戦闘訓練でもして時間を潰そうか。他にやれることもねえし。
「恐らくだが、この世界の黒崎一護が霊圧を失っている間に今の君の霊圧が感知されれば面倒極まりないことになるだろうからね。それについては私も賛成だ」
「滅却師としての能力を極め尽くせば霊子の操作に行きつく。そして死神も滅却師も虚も関係なく術とは霊子の流れや固定などによって再現できる事象に過ぎない。つまりは滅却師の能力を極め尽くせばおよそ何でもできると言っていい。無論、理の領域に入れば話は変わってくるがな」
「『理』とは、それに縋らなければいけない者のためのものだろう?」
「結局全部食えば解決だろ。食っとけ食っとけ。怪しいのは霊子にまで分解するのを忘れんなよ? どんな毒も最小単位の単分子やら原子にまで分解すれば無毒なのと同じように、霊子にまで分解すれば結局同じだからな」
言ってることが脳筋極まりねえのは本当に何とかならねえのか? ならなさそうだなこれ。
本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。
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