side 黒崎一護
今、霊王宮ではこっちの世界の俺が修行に明け暮れているところなんだが、その間俺は基本的に暇している。何しろ必要なことは大体終わったし、それには一時間もかけていなかった。和尚の方は俺にも修行をつけるだのなんだのと言っていたような気がしたが、和尚の斬魄刀の能力を真正面から打ち破ってその能力を奪い取り和尚の名前を塗り潰して改名してやったら諦めたらしい。まあ普通諦めるわな。
ちなみになんか異様に硬いリーゼントのおっちゃんと男か女か微妙にわからない絡繰の手の持ち主と太ったり痩せたり忙しいおb……お姉さんと妙にテンションの高い刀鍛冶も相手をしたが、割と普通に勝てた。
リーゼントのおっちゃんは普通に速く移動して速く斬りかかるだけなので普通にそれ以上の速度で動いて斬られるより速くぶん殴るだけで片が付く。周囲の霊圧やら霊子やらを奪ってこっちにデバフをかけてくる感じのお姉さんが作った樹の檻は要するに霊子を吸収して成長する物らしいので霊子ではなく霊圧そのもので摺り潰し、なんでも斬れるという鞘のない刀を持ち出してきた刀鍛冶は初手で刀を投げつけてきたので霊絡で絡め捕ってそのまま霊絡を操って剣戟を……しようとしたんだがどうやら一番いい刀だったらしくこれを越える刀が無いせいで打ち合いにならずに斬って終わり、絡繰の手の持ち主は俺の服を仕立て直そうとして失敗していた。まあ俺の死覇装って要するに俺の魂の一部だからな。普通なら魂魄は裸に近い状態か死んだときの服装になるらしいが、俺は死神になれるようになってからはずっと魂を抜くと死神の服だったからな。新しく着た覚えも無いし、この死覇装は俺ってことだろ。多分。知らんけど。
まあそんなわけで自由に動くことの了承を取ったと言うか、そもそも俺を止められる奴がいないし法で縛ろうにもその法を守らせるための力が無いから罰則を与えようとすると反撃を喰らって逆に死ぬので実質法なんてない状態になったおかげで俺は自由にここの中を移動できるようになった。外にも出れるし中にも入れるが、流石に出入りは止められた。俺が通ろうとすれば通れるし止めることもできないが、俺が移動するだけで瀞霊廷と霊王宮の間にある防壁が全部霊圧任せにぶち砕かれて防壁の役割を果たせなくなるからやめてほしいのだとか。まあ流石にそれ聞いたらやめるわな。
仕方ないので封印されている霊王と言葉を使わない霊圧とかそういうもので対話をしているんだが、なんと言うか霊王って俺と似てんのな。強さとかそういうのじゃなくて、誰かを守るために自分を犠牲にできるって在り方が。だから今みたいに封印されているのも納得しているし、世界の為には、ま、仕方ないかなと思ってはいるものの、五大貴族のやり方には反感を持ってるし死ねるんだったら死にたいとも思っているようだ。そりゃずーっとこんなところで封印されてたら気も滅入るよな。
鎖穴は霊王の身体からなくなっていたが、魄睡の方は残っていたのでそれを貰って過去を挟み込む。霊王の魄睡を改造して霊王の意志で自由に動かせるようにしてやると、なんかすげえ喜ばれた。霊王がまだ自由に暮らしていた時代では存在すらしていなかった物が数多く存在する今を、ほんの僅かな間ではあるが楽しむことができることに喜びを感じているようだった。
霊王はやっぱり今回の滅却師の襲撃で自身が死ぬことは理解していたらしい。そして自身を取り込んだ自身の子ともいえるユーハバッハが自身を取り込んで今の自分と同じような三界を分かち続けるための贄のような物になると言う所まで見えているらしい。
しかし俺がいることで色々と未来が変わっていき、更には今のように少しだけではあるが自由を堪能できる新たな器を得たことに喜びを感じているらしい。そのことを初めて使う喉で懸命に伝えてきた。
……霊王は純真なんだな。ただ、あんまりにも長いことこうして存在し続けてきたせいかどうかは知らねえけど随分と自我と言うか感情と言うか、そう言う所が摩耗しているように見えるが……俺の世界の霊王も同じようにしてやろうか。尸魂界の上空に霊王宮が存在し、霊王が居るって所は変わってねえみたいだしな。
霊王を連れて臥豚殿に行くと、ちょうど怪我を治し終えて食事をしていたこっちの世界の俺に出会った。
「あれ、あんたは……」
「うわめんどくさ」
「めんどくさってなんだよいきなり!?」
「噛んだだけだから気にすんなって」
「ただ噛んだだけで『めんどくさ』は出てこねえんだよ普通よぉ!」
「おーい『穀王』!ちょっと霊王の封印を一部解いて霊王宮の中だけだが自由に動けるようにした分身作ることに成功したから飯作ってやってくれ!」
「「おまえ/アンタ何やってんだ/い!?」」
「安心しろよ、本体はまだ封印の中だし本体の封印を解く気も封印の中の霊王自身を殺す気もねえからよ。あんまりにも狭い所に閉じ込めっぱなしで気が滅入っているようだったから外を楽しむための端末を作っただけだろうがよ」
まったく、こんな自由も与えないで何が霊王だよ。王とは不自由なものだってのはよく聞くが、こんな風になるならマジで王なんてなるもんじゃねえよな。
「良いからほらさっさと飯作ってやんな。腹減ってるはずだぞ? 何しろ今作ったばっかだから腹の中身は空のはずだしな」
霊王はぺたぺたと裸足のまま歩き、椅子に座る。そして穀王をじっと見つめると、穀王の方が先に気付いたらしい。霊王の端末の瞳が、封印されている霊王のそれと全く同じであると。
「……ぉ、ぇが、い」
「……ああ、わかったよ、陛下。今すぐ腕によりをかけて美味い飯作ってあげるからね!」
穀王はそういって厨房に引っ込んでいったが、俺は多分もうしばらくここに居ることになる。霊王が俺の服の裾を掴んで離さないからな。
本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。
-
原作世界に一護達in
-
事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
-
尸魂界でP1グランプリ開催
-
虚圏でP1グランプリ開催
-
全部やろうか(マジキチスマイル)