side 黒崎一護
飯の間に連絡が行ったのか絡繰の手の持ち主が霊王の服を仕立てるためにひょいひょいと測ってさっさと作って着せ替えていったり、エクストリームハイテンション鍛冶師が霊王のための小さな浅打を置いて行ったり、和尚が名前を付けようとしてもう付けられていることに気付いて俺を見つめて何もしないで帰っていったり、怪異温泉リーゼント男がめちゃくちゃ派手に頭を下げようとして食事中なんだから静かにしなと穀王に手刀を落とされていたりしている間に必要なことは多分伝え終わった。
要するに、黒崎一護という存在についてだ。
父親である黒崎一心、旧姓志波一心は死神で、元々は十番隊の隊長をしていた。ある日部下が空座町で繰り返し失踪しているという話を聞いて空座町の隣町にやってきたが、そこで藍染の作った死神を基にした虚と戦う事になる。そこで何者かから不意打ちを受けて殺されかける志波一心だったが、そこにいた黒崎真咲という女滅却師に救われる。
そこで一度帰還した志波一心だったが、別れの際にしっかりと礼を言うこともしないでそのまま尸魂界に戻ってきてしまったことを気にして再び現世に戻ってみれば、黒崎真咲は自身を守った傷が原因となって命を落としかけていた。
滅却師である彼女を人間かつ滅却師として留めるためにはその近くに隊長格クラスの死神の力が必要であると浦原喜助に伝えられ、それを受け入れる。
そして黒崎真咲は人間のまま命を繋ぎ、志波一心は死神の力をほとんど失ったまま現世に止まることになった。
で、全ての滅却師にはユーハバッハの血が流れていて、全ての滅却師はユーハバッハの意思一つでその力を奪われうる。一護が母親を失った日は、ユーハバッハが聖別を行い多くの選ばれなかった滅却師から力を奪い取った日である。そして石田雨竜の母親も同じ日に力を奪われて昏睡し、そのまま命を落としている。
そして滅却師の力を持つ母から生まれた以上、一護も同じように滅却師の力を持っている。それこそが滅却師以外の存在を確実に閉じ込めるキルゲの『監獄』を破ることができた理由だ。
「マジかよ……ってか、なんでアンタはそんな事を知ってんだ?」
「見たからだ」
「見たって……手は出さなかったのか?」
「過去視だ。見て、まあ聞くこともできるが手は出せない。未来と違って別れてないから見やすいぞ」
「……未来も見れんのか?」
「さてな」
実のところ過去に自分を送ってそこから未来視をする事で大体全部見えるんだがわざわざそんなことを言うことは無い。それに霊王宮と言ってもユーハバッハが見てないわけが無いしな。俺の事は見えなくても俺以外の奴の事は大体見えるんだから対話から話の内容は読み取れるはずだ。あいつ頭は良いしな。夢想家だが。
『言うな』
いや実際かなり夢想家だろ? 正気の俺と同じかそれ以上に甘い所もあったし。まあ今はその甘さは殆ど無くしてるようだけど。いや、一回死んでるから無くしてるって言うか亡くしてるの方が正しいのか? 笑えねえけど。
「……くぉぁき、ぃっご」
「ん……お、俺か?」
「ああ、ずっと会話していなかった上に身体ができたてで上手く話せないんだ。少し待て。───『私は汝に声を与える』」
「ん゛っ……ああ、助かる」
「慣れたら返してくれよ」
「無論だ。……さて、黒崎一護。よくぞ
「なんかいきなり流暢になったな……いや、こっちこそみんなを守るために強くなる機会がもらえて助かってる。ありがとう……ございます」
「敬語はよい。お前はそうして前に進み続けていれば、それでよい」
作りたての身体ではあるが今まで生きてきた分の経験はそのまま、少し精神的に狂っているところはあれどそれでも今まで三界を見守ってきた存在として、恐らく最も自分に近しくなりうる存在としてまるで実の子を眺めるように愛おしげにこっちの世界の俺を眺めている。こっちの世界の俺も何となくそれを感じているようで、無条件に向けられている好意に気恥ずかしいものを感じているらしい。それを利用するための今回の修行なんだが、それはまあ何の目的もなく与えるだけなんて零番隊がやるわえねえんだよな。特に和尚は。
それはそれとして、伝えるべきことは伝え終わった。こっちの世界の俺はもう次の修行に進んでいいだろう。俺が見た限りでは知るべきことは知っているはずだし、これでまあ普通に話は進んでいくはずだ。多分。知らんが。
ちなみに俺はそういうことは織斑さんから大体聞いた。それから親父たちに確認取って話してもらった。俺の世界ではユーハバッハが織斑さんに殺されているからかお袋が死ぬようなことは無かったからな。ありがたいことに。
あとは普通に斬魄刀の打ち直しか。斬月って呼んではいるが、実際のところ斬月じゃないのかもしれない。少なくとも俺のは斬月かどうか怪しいが、和尚の力を一部奪うことに成功したからさっき正式に斬月ということにした。まあ通常状態って言っていいんだろうあれが斬月、開放して大剣になって天鎖斬月まではいいとして……まだ俺は卍解は手に入れてねえのと変わらねえらしいからな。それにこれ以上の強化をしようにも結局俺の身体が持たねえって理由で出力はあんま上げらんねえし、だったら滅却師的な器用な戦闘方法の方が力を手に入れるには向いている。と言うか、これ以上力を手に入れようと思ったらまず霊子と霊圧の操作をしっかりと鍛え上げてからでないと俺の周りが霊圧で死ぬ。そして霊圧を抑え込めたとしても俺自身の霊圧で俺が死ぬ。だから基礎的な身体の強度を上げていかなくちゃならないから、もう一気に強くなるってのは難しい。後はもう術とかそういう方向に伸ばしていくくらいしか方法なくないか?
俺はそんな事を考えつつも次の修行場に飛んでいくこっちの世界の俺に手を振った。考え事をしている俺を、こっちの世界の俺に向けるのと同じような目で見つめている霊王の視線を極力スルーしながら。
本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。
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