side 黒崎一護
名前を付けたことで虚の俺は変わった。姿形はそのままだが、しっかりとした斬魄刀になった、と言っていいんだろう。
名は『斬月』。滅却師の力で構成された、俺が自滅しない程度に俺の力を抑え込むための鞘と、虚の力で構成された敵と戦うための刃。その二つの力が死神の力によって結び付けられて一つの斬魄刀になっている。
鞘の能力は『月牙天衝』。俺の霊圧を圧縮して刃や矢にして飛ばす基本の技にして剣聖の技。滅却師で言えば『
剣の方の能力は……実のところ、無い。ただ単に頑丈で、俺の力をかなり高密度に纏め上げただけの頑丈な剣と言っていい。強いて言うなら虚化とかそういう虚に関わることが能力になるんだろうが、それを能力と言い張るのはちょっと……な?
『なんか文句あんのかよ?』
ねえよ。お前は俺なんだからお前への文句は全部俺への文句になるだろ。
で、俺の中の力を全部纏め上げた『天鎖斬月』。これはまあ、俺自身と言っていいな。死神、虚、滅却師、完現術者。この四つの力を全部纏め上げた俺の全力みたいなものだ。まあ隠し札が無いとは言わねえけど。
結局できることについては変わらない。そういう風に名前を付けたんだから当然と言えばまあ当然だ。できることと言えば斬ることだけ。ああ、一応虚だから天鎖斬月の状態で折れても超速再生するから安心だな。折らせねえけど。昔は直るかどうかわからなかったが、今は直ると確信を持って言える。
それはそれとして、霊王の食事が終わったので霊王宮を歩き回る。王鍵は霊王の霊圧によって変質した零番隊の構成員の骨だと言う話だが、霊王本人であれば問題なく出入りもできるしなんなら付き添いもできるらしい。しかし見るばかりで触れられず、それどころか動くこともできていなかった霊王にとっては霊王宮の内部だけでもかなり新鮮であるようだ。まあ実際その肉体は新鮮そのものだろうけども。
あれだな、霊王が使うからっていい年したおっさんの形に作らなくて正解だったわ。いい年したおっさんがあんな感じに無邪気に走り回ったりしても和やかな空気には絶対ならねえだろうし。むしろそういう空気が全力で逃げていくだろうし。
俺はあの霊王を作った身として霊王が楽しげに駆け回り、色々な所を見て回るのを後ろから眺めながらついて行くに止めた。霊王は臥豚殿での食事を終わらせたらすぐにハイテンション鍛冶師のいる鳳凰殿へ向かい、浅打を一振り従えて出てくる。そのまま温泉を堪能するために麒麟殿に向かい、白骨地獄と血の池地獄の両方を楽しんでいるとそこで霊王のために服を仕立ててきた大織守が現れ新しい服を置いていく。どうやら霊王は霊王で和尚以外にはそれなり以上に好かれているらしい。和尚はわからねえけどな。
俺と霊王がそうやって霊王宮を見物している間に、こっちの世界の俺は鳳凰殿で浅打を一振り従えることに成功したようで鳳凰殿から結構な金属音が響いてくる。
「……どうやら、思い通りに成功したようだぞ」
「そうみたいだな」
「色々と、話したくないことまで話した甲斐があったということか」
「そう思うならそれでいいぞ。俺としては別に隠すことでもなければ話したくない事でもねえからよ」
和尚の所で霊王の持つ浅打と俺の霊子兵装である刃を持つ金属製の弓を打ち合わせながらの会話だが、刃を合わせるごとに周囲に霊圧が響く。互いの武器を互いの霊圧で軋ませる度に低く太い音が広がっていくように霊圧が波のように広がっていく。お互い剣術なんてのはあまり知らないってこともあって基礎スペックのぶつけ合いになっているが、抑えているとはいえこの世界の天秤を大きく揺らがせることのできる俺と普通に打ち合いができるあたり霊王ってのもやっぱおかしい存在だということがわかる。
まあ、本気じゃないのはお互いさまという気もするけどな。霊王は死神だが滅却師だし、使っているのも浅打だし。
「よい兵装だ。しかし、連射は利かないのではないか?」
「俺の
「……恐ろしい兵装だな。何か概念的な能力でも持っているのかと思ってしまうところだ」
「実のところ、兵装なしでもできるんだがな。距離が遠い相手を狙うとなるとこの方が便利なんだよ」
なお、普通に矢が撃てないとは言ってない。空撃ちのように見せかけて相手の体内に攻撃もできるし、普通に撃っているように見せて相手の体内にも矢を作って撃つこともできる。あと俺は概念的な能力とかまともに持ってねえんだよな。そういうのに一番近いのは完現術だと思うが、完現術はあくまでも霊王の肉体の欠片を持つことによって使うことのできる霊王による世界の魂への干渉みたいなものだからな。俺自身の力と言っていいかは微妙な所だ。
聖文字付与はできないことはねえんだけどよ……俺の中の織斑さん(妄想)が言ってくんだよ。
別にアルファベットじゃなく仮名でよくね?
そもそも一つに絞る必要もなくね?
何なら初めから文章作っとけば方向性決められそうじゃね?
……まあ確かに、わざわざ聖文字を一つに決める理由も無ければアルファベットを使わないといけない決まりもねえ。そして平仮名を聖文字として自分に与えた上でその文字それぞれに能力を発現させたうえで文章にすればより強い力が使えそうな気がする。
ただ、自分にやんのもな、とも思う。でも大本が滅却師のそれだから一番使いこなせるのは間違いなく滅却師なのに俺の霊圧は虚のそれが色濃く混じってるから滅却師にやったら多分マジで死ぬんだよな。霊体が崩壊する感じで。
そうだ、帰ったら井上に『絆の証として』って一通りやろう。どうなるかわからねえけどそれでいい気もする。
本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。
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