side 黒崎一護
こっちの世界に来てからできるようになった様々なこと。過去改変。未来視。未来改変。能力簒奪。存在改変。他にも色々。知らなければよかったと思うこともあれば知っておいてよかったということも色々とわかったが、とりあえず今一番の大問題はこっちの世界の霊王についてだろうか。
霊王は人間らしい考えを持っている。三界の礎として封じられたことを多少恨みに思いつつも、まあそうなった以上は三界を保ち続けるようにはしないとなという前向きな思考で今まで三界を保ち続けている。時々嫌になる事もあるし、時々死にたいと思うこともあるし、たまには身体を動かしたいということもあるようだが基本的には温厚で、暴れ散らかしても周囲を壊したりすることはほぼ無いだろうと思われる。
ただ、恐らくそうだと理解はしていても三界を崩す可能性は可能な限り排除しておきたいのが零番隊の総意であり、和尚の考えでもある。だからこそ俺と一緒に居る霊王をよく監視しているし、名前を付けてここから離れないように縛ろうとしていたのだろう。まあ俺の名付けが早かったからその目論見は崩れ去ったわけだが。
死神にとって鎖穴と魄睡は霊力を司る重要部位。この二つが無くなれば普通に死ぬか、生き延びたとしても死神は死神の力と霊力を失う。そして俺の知る限り鎖穴は霊力のブースター、増幅器だと思っているが、じゃあ魄睡は何なのか。
俺が思うに、魄睡は霊力をため込むタンクのような物なのだと思う。霊力を使う時に魄睡から引き出し、鎖穴を通して増幅させることで魂魄である身体を動かしたり術を使ったりする。ただ生きているだけで霊圧を発するってのはつまり霊力を使う際には必ずこの二つの器官を通すために必ず霊圧が生まれるんじゃないかと思っている。よく知らねえけど。
で、鎖穴が無い今の霊王は身体を保つための魄睡はあっても増幅器が無いから封印をどうこうすることはできない。鎖穴そのものから生まれた霊王の分身みたいな霊王には鎖穴を組みこんである……と言うか勝手に鎖穴も生えてきたからそれなりに動き回ることもできると思うが、魄睡の機能や性質がそもそもエネルギーを溜め込むことに特化しているように思えるから魄睡の霊王はあまり動こうとしないんじゃないだろうか。いやまあ色々動いてはいるが、あまり本体から離れようとはしないんだよな。不思議なことに。
そもそもの話、霊王が三界を安定させるための贄のような物になっているって話だが、その霊王ってのはどこまで封じられていれば三界は安定するんだ? 鎖穴はいらないようだし、手足も同じく。脳はあるようではあるが手足が普通に喋ったり独立して動いたりしている以上脳の必要性はかなり薄い。そうなると霊力に関わる器官こそが重要なんだと思うんだが、魄睡がこうしてここにあってなお三界は問題なく分かたれている。
死神にとって重要なのはその二つの器官だってのは聞いたし知っているが、滅却師として重要な器官は多分血管と心臓だよな? 流石に精神が大切だとかそういうことにはならねえだろうし……よくわからねえなぁ。
「何を悩んでいるのやら」
「強くなる方法についてだよ。根本的にはな」
「そうか。お前は欲深なのだな」
霊王はからからと明るく笑って言う。まあ、確かに俺の望みはでかいよな。俺に関わる人をできるだけ守りたい。俺に関わる人が可能な限り痛みや苦しみ、悲しみで泣くことのないようにしたい。言われてみれば無茶苦茶にでかい望みだし、欲深だと言われても否定の言葉はとても出せそうにない。
刀を背負ったまま俺の隣に腰掛けて、瞳を増やして世界を眺める。どこを眺めているかはマジでわからないが、俺も同じように世界を眺める。
この世界。現世ではこっちの世界の俺の家族がこっちの世界の俺を心配していたり、一見気楽そうに患者を診たりしている。石田の親父さんは秘密兵器と言えそうなものを用意していて、夜一さんと浦原さんも何か企んでいるようだ。
虚圏。最強とされていたバラガンを失い、知られざる強者であったスタークもいなくなった結果、ハリベルが治めていたそこは相変わらず荒れ果てている。ただ、滅却師は既に姿を見せておらず、どうやら一時的なものかもしれないが平和にはなっているらしい。こっちの世界の井上とチャドが何かやってるように見えるが、何やってんだろうな。浦原さんも何考えてんだか。
尸魂界。大分荒れているが俺がかなり生き返らせたし殺したからそれなりに士気は高い。地下の監獄にいる藍染は……なんと言うか、相変わらずこいつはよくわからねえな。
藍染と言えば、こっちの世界だと藍染が起こした大体の出来事って原因の結構な割合が浦原さんにあるよな。それを理解していてよくああやって普通に暮らしていけるよな。肝がでかいと言うか神経が太いと言うか面の皮が厚いと言うか。色々と備えまくってたのはわかるし実際にそれが役に立ってはいるようだけど、だからってどの立場で物言ってんのかと思う。
「……視界が広いようだな」
「まあ、そうできるようになったからな」
「私もそれなりに広いつもりではいるが……過去と未来は見渡せても異なる世界は見通せない。願わくば、その力はお前自身が納得できるように使われることを祈っている。私のように受け入れざるを得ない状況にあるから甘受するのではなく、お前の意志で選び取れるように」
「……オッサンくせえぞ」
「ははは。こうして出たのは久しいが、生きている年代ならばそれこそ人が猿と呼ばれていた頃から存在しているのだ。オッサンどころか爺さんだよ」
「その殆どを強制引き籠りで過ごしてたせいで経験の殆ど無い無垢な爺さんになってるけどな」
「違いない」
……いやしかし、そうなるともしかして霊王は旧人類だったりするのか? それにしては骨格その他は随分と現代人に似通っているように見受けられるが……いやそれ以前に死神ってのももしかして旧人類か? 一代が数百年程度らしいから、旧人類からぎりぎり現代的人類まで進化でき……いやわからん。できんのか?
「はっはっは。変なことを考えているようだ」
「気になるとついな」
今こうして普通に対応できるんだからそれだけでいい気もするが、それでも気になる物は気になるからな。
本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。
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