BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~25

 

 side 織斑一夏

 

 なんか霊力を暴走させている子供がいるから引き取りに来てほしいという手紙をもらったので流魂街の俺の家に戻ってみたら、そこに居たのはどう見ても俺の知ってる未来の十番隊隊長さんでしたとさ。ついでになんか未来の十三番隊隊長さんとその夫になりそうな赤パイナップルもいた。だいぶちっこかったけど。

 知ってはいたが流魂街への炊きだしはずっと続けているようで、それによっていろいろ情報を得たり治安が良くなったりしているらしい。まあそこらのチンピラよりはよっぽど強いしな。一部の席官を一方的にボコれたりもするし。

 それと、虚に襲われて命を落とした奴は完現術が使えるようになっていたりする。ただ、霊力が無かった奴については俺の所の食材でブーストさせてからの発現だから練習は必要だが、死んでから最も長く使っている思い入れの強い物……まあ、大抵の場合農作業の道具なんだよな。しかも俺が出したやつ。

 凄いぞ? 一振りで5×10m耕せる鍬とか、一度で3×5m土をひっくり返せる鋤とか、物を載せている間は重量を八割近く軽減し、さらに本来の十倍近く物を載せられる大八車とか、しっかり自分で手入れして使っている物であればあるほどそう言う能力が発現しやすくなっている。

 一部、糸目関西弁の男から貰った帽子を大事にしている金髪だか茶髪だかわからん髪色した女はその帽子で完現術を使おうと頑張っている。まあ虚に襲われたことがない奴には難しいと言うかまず無理なことだが、なんとびっくり俺と言う虚によく似た存在がここに居る。そして俺が訓練じゃなく修業を付ければ恐らくできるようになるぞと言ったら乗ってきた。糸目関西弁の男も乗ってきた。後悔しているらしい。

 

「死ぬ……あかんこれは死ぬ……」

「死にそうになったら回復させてやるからちゃんと言えよ」

「ボクさっき言ったよな!?」

「何言ってんだ言葉にできる程度だったらまだ追い込みが足りないに決まってるだろ」

「鬼!悪魔!死神!」

「鬼ではないし悪魔でもないがお前にはこれから死神としての修行も付けてやろう。大事な女を守れる力を付けられるぞ、泣いて喜べ」

「うう……畜生……やらせていただきます……!」

「……あの、ギンは大丈夫……?」

「大丈夫大丈夫、ただこいつ大事な物ってのがお前さんくらいしか無いから完現術には向いてないってのを忘れてただけだ。愛されてるな」

 

 はーい茹で蛸二匹あがりー。蛸って数え方は匹でいいんだったっけ? 一杯二杯だったっけ? それは烏賊か?

 まあいいや、若い奴を揶揄うのは楽しいね。まあ若くなくても純情な奴なら揶揄ってて楽しかったりするんだが。

 そしてこいつら普段から熟年夫婦みたいなことをやってるくせにそう言う所でからかわれることに慣れていないせいか自分たちの行動を言葉にして確認されると凄い照れる。見ていてこれほど面白いものは中々ないぞ。やることもやってるくせにな。

 それに、こいつらお互いを勝手にダシにしあってどんどん強くなろうとするからそう言う所も見ていて楽しいんだよな。どちらかと言うとギンの方が進んでいるが、ギンが進むと乱菊の方もぐんっと伸びる。ちょっとバランスの取れていない比翼の鳥かと。

 ……できることならこいつらが戦闘なんぞしなくていいまま過ごしていければいいんだがね……世の中そうそう上手くは行かないもので。俺は過去の事なら大体わかるが未来の事はあまりわからないから必ず巻き込まれるとかそう言うのはよくわからんが、可能性は低くないだろう。なにしろ流魂街は治安が悪いからな。昔は態々当時の十一番隊の隊長がやってきて斬りかかってきたりすることまであったし、そういう事が無いとは言えん。

 ちなみに斬りかかってきた当時の十一番隊の隊長は相手からするととてもつまらない方法で仕留めたから俺を付け狙うような事にはなっていない。具体的には殺気石の剣を出してそれで斬りかかった。霊圧を一切通さず霊子に影響されない剣、しかも触れただけで斬魄刀が分解されてしまうどころか触れなくとも魂魄ごと分解されてしまう剣を何百か並べてそいつの周りに壁を作ってやった。つまらんだろ?

 さて、殺気石の断面から発される遮魂膜を抜けられる物質と言えば何か。そう、殺気石だね。そう言う訳で相手を殺気石の檻に閉じ込めた状態で殺気石でできた串を投げまくる。触れれば当然魂魄は分解され、触れなくとも魂魄は分解される。ちなみに俺は分解された魂魄を自力で再構築し続けると言う他人に知られたら頭おかしいと言われること間違いなしの方法で克服していたから平気なのであって、それを知らずに俺が触っているんだから大丈夫だろうと触ったりしたら当然分解される。そんな感じで嵌め殺した。

 

 ……まあそいつ今も生きてるけどな。四番隊で隊長やってるよ。しかも俺のことをいつもニコニコと超絶いい笑顔で見つめてくんだよあの女。超怖い。最近二番隊の新隊長になった女が知り合いの顔の書かれた紙を張り付けたサンドバッグに瞬獄殺やって『次は貴様の番だ浦原ァァァァァ!』と叫んでる時の顔より怖い。そうやって叫んでるところに『今月分の写真集でーす』と持って行くと一瞬にして超デレデレした顔になるのも怖いが元十一番隊隊長現四番隊隊長のあの笑顔の方が遥かに怖い。

 あ、最近その四番隊隊長が俺と更木隊長との模擬戦を目撃してしまい、俺を見かける度に鯉口を斬って鍔鳴りさせまくるのもかなり怖い。嫉妬か? 自分は更木の実力に蓋させてしまったのに俺がその蓋を取り除いたことによる嫉妬か? まあ流石にこれを真正面からは聞けんな。

 




Q.何やってんすかね?
A.どっちの話? 修業の方? それとも殺気石セイバーの方?

Q.殺気石の串を投げんなよ……
A.なお、最近殺気石から出る遮魂膜の波動を解析して遮魂膜ビームなる必殺技を開発したそうな。

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