side 織斑一夏
原作が始まったのか始まってないのか、そもそも原作開始というのはいったいいつからになるのだろうか。まあ大抵の場合は漫画なり小説なりが始まった第一話を原作開始とするんだろうし俺も今までそう言う認識でいたんだが、原作開始前にこれだけ動き回って原作崩壊確定状態にまで持って行った以上、原作と言う物が一体どれだけ信用できるものかと。
……と言っても、世界ってのはできる限りつじつまを合わせに来るものだ。生きていてもあまり未来の変わらない奴は結構生きたり死んだりするし、この場で死んでおかないと未来が明らかに変わってしまう奴は大概そこで死ぬようにできている。総隊長の爺さんなんかもそうだが、あそこで死ななかった場合霊王宮の被害が甚大なことになってただろうしあそこまで苦戦することも恐らく無かっただろう。いや、結局最後には主人公と藍染が居なかったら間違いなくこの世界は崩壊に向かっていただろうが。
原作開始と言うのはとりあえず一巻一話開始時と言う事にしておくが、さあ聞いて驚け主人公の母親生きてます。父親は元死神だがとりあえず勝手に出奔した時には追いかけてぶん殴っておいたからいいとして、まあ大体原作通りに進んでいると言ってもいいんだろう。多分。ただ、問題は俺の方だ。
暇だ。心の底から暇だ。暇で暇で暇すぎて更木が売ってきた喧嘩を毎度買って総隊長に怒られたり四番隊の隊長から売られてんのか売られてないのかよくわからん喧嘩を買って総隊長に怒られたりしてしまうくらいに暇だ。もうすぐ騒ぎになるってのはわかっているし、赤ナッポーと貴族の坊ちゃんが格落ちサブヒロインが現世で行方不明になったと聞いて俺に色々と話を聞きにきたりするのを適当にあしらったりもしているが、マジで暇で仕方ない。
これはあれだ、今までは時間があまりに長かったから気にしないでいられたのが、自分の力で見えるくらいに近くなったせいで気が急いているんだな。こういう時には寝るのが一番だ。とりあえず仕事は全部終わらせて、それから人を駄目にするクッションの上でごろごろする。あーだめになるわー。
「隊長、書類を……」
「全部済ませた。内容が同じのがそこらにあるからもってけ」
「えっ……あ、あった……え、なんで?」
「それと俺はこれから暫く寝るから起こしたら殺すって言っといて」
「え、ちょっ、まだ仕事が残って」
「ねえよ全部終わらせた。今から先一週間分終わらせてそこに積んだから上から持ってけ」
お休み。
「いやお休みじゃなく!」
「書類で足りないのがあったら起こしていいぞ。あと更木は近付けるなよ寝起きの俺は加減ができないから文字通り瞬きの間も無く首を刎ねる可能性が高いんでな」
「え゛……はい、それはわかりましたが周りへの影響や隊長としての威厳がですね……」
「俺を知ってる奴なら書類仕事の能力については知ってるだろ。威厳についても戦闘中以外はそんな物見せない方がいい。無駄に緊張して失敗が増えるだけだろうしな。わかったらさっさと行け」
人を駄目にするクッションは本当に人を駄目にするからな。なお、この世界のこの時代にはまだ人を駄目にするクッションなんてものはどこにも売りに出されていないからやろうとすれば多分特許も取れる。やらんが。
……どうせならこれ瀞霊廷に広めるか? 書類仕事を長くやってる奴には間違いなく喜ばれるだろうし、結構人気出るんじゃないかと思うんだが。椅子じゃなくても長く座ってると腰痛とかその他にも色々と問題は出てくるし、それらの予防策としてこれはありなのでは? むしろ歓迎されるのでは?
でもこれを量産するとなると十二番隊の仕事にあるだろうしなぁ……そこそこ話は通じなくはないとはいえできればあまり付き合いたくはないからなぁ……十二番隊は色々な意味で面倒怖い。何が面倒って知識欲が旺盛すぎて真理の探究のためだったら寝ている奴を無断で改造して爆弾に変えて捨て駒にするとか当たり前の顔でやってきそうなところがあるが、それが面倒。自分のためだったら何でも許されるわけじゃねえんだぞおいコラ。まあそこの現在のトップ相手なら俺は非常に相性がいいから殺そうとすれば殺せると思うがな。何しろ疋殺地蔵の出す手足を動かす信号だけを遮断する高尚な薬物は俺には効果を及ぼさないし、卍解で出てくる金色芋虫の撒き散らす毒も俺には効かない。まあはっきり言って天敵だわな。
加えて色々と開発を繰り返して作り上げた様々な薬物・毒物も俺には効かない。そう言ったことに関して俺はあいつらに何かを伝えた事は無いが、多分知ってるだろ。知らんでも構わん、面倒だからな。
……( ˘ω˘)スヤァ
Q.人を駄目にするクッション……
A.広めた結果元柳斎すら駄目にした実績を持つクッションです。(この世界に限る)
Q.量産は十二番隊が?
A.座っての仕事が多い十二番隊では同じ材質で作られた円座クッションが大人気です。
Q.初代剣八さんの喧嘩を軽率に買わないでください。
A.大丈夫、最終的にどちらも無傷で終わらせました。(途中で殺しかけてないとは言ってない)