side 黒崎一護
でっかい大砲の中に入って空から瀞霊廷の中にダイナミックエントリー。なお、あの壁から出てた遮魂膜は越えられたがそこで勢いを失って一人で放り出された模様。
……井上が心配だ。石田と一緒だから多分大丈夫だとは思うんだが、それでも心配なことに変わりはない。チャドについては負けるところとか想像……織斑さん以外には想像つかねえし、夜一さんは多分大丈夫だろう。経験だったら俺達の誰よりも積んでるだろうし。
そう言う訳で落ちた先はなんかよくわからん端っこの方。霊子を掴んで空中で減速しながら静かに降りたから周りに被害は出てないが、結局場所がわからないしルキアがどこにいるかもわからねえからあまり意味は無さそうだ。
周りには……とりあえず二人。好戦的そうな坊主頭と……なんか鳥みたいな羽っぽいのが何本か生えてるおかっぱ。
さて、とりあえず戦いになるだろう。大分好戦的なようだし、ついでに言えば明らかに敵意を向けてきているしな。逃げようとしても追ってくるのは間違いないだろうし、もし俺より強ければ逃げたところで追いつかれる。俺より弱いなら倒して進めばいいだけの話。ともかく……一当たりしてみるか。
「……そこの奴。ちょっと聞きたいことがあんだが、いいか?」
「あん? 俺の名前か? 班目一角だ」
「聞きたいのはそれじゃねえよ……戦って俺が勝ったらまた聞くぜ」
「お前にできるのか?」
「やらなきゃなんねえからな。」
「そうか。で。お前は?」
「? ……ああ、黒崎一護だ」
「一護か。いい名前じゃねえか」
「ありがとよ」
じゃあ、始めるか。ルキアの事を考えるのは一旦置いといて、戦闘に集中しねえとな。
side 班目一角
黒崎一護と名乗ったそいつが背負った身の丈ほどの大刀を握った瞬間、空気が変わった。まるで更木隊長を目の前にしているかのような圧倒的な存在感。巨大な包丁のような奇妙な刀身に巻かれた布が落ちていくほどにその圧力は強まり、やがて誰もがそれに気を取られてしまうまでに大きくなる。
そして、一護は小さく刀を横に振った。即座にその場から離れるために跳躍する。
―――跳躍、しようとした。しかし、身体が動かない。いや、動いてはいるようだがその動きは嫌に遅く感じる。全速力で、瞬歩まで使って跳躍していると言うのに、まるでナメクジのようにゆっくりと俺の身体は動く。
俺の意識の中では緩やかに、しかし実際には俺の限界の速度で跳躍した俺の足元を何かが走る。それが俺の足元を越えた次の瞬間に俺の速度が上がり、そして俺の背後の壁が静かに両断された。
「おー、避けんのか……やっぱまだまだだな」
再び剣が振るわれ、俺が乗っていた壁が縦に両断される。いや、壁どころかその先の道も建物も、一刀のもとに両断された。
「お前……強いな」
「おいおい、まだ一発も当てられない奴に言うのは早いんじゃねえか?」
「こっちはかなりぎりぎりで避けてんだ、誇っていいぜ。俺の所属する十一番隊は護廷きっての戦闘部隊。その中で三席やってる俺を防戦一方にさせるたぁな……」
「……三席? マジか……でも戦闘部隊だろ? 他の隊の副隊長くらいには強いと思っていいよな?」
「……まァな」
戦いの最中とは思えない口調。殺すどころか完全に追い詰められているのがわかる。しかも、明らかに一護は本気を出していない。
鬼灯丸を呼んで構え、一護の一挙手一投足を観る。ただ、さっきので分かるのは今の俺じゃあ一護には勝てそうもねえと言う事だ。あれを使えば可能性はあるが……使わねえ。絶対に。
どこまで俺がこいつを測れるかはわからねえが、ともかく戦いだ。正直更木隊長といい勝負ができるんじゃないかと言うくらいだが……始解することで霊圧が上昇している今なら一撃を加えることもできるはずだ。
踏み込む。瞬歩の最中にさらに瞬歩を重ねて加速する。そのまま鬼灯丸の切先を跳ね上げて顔面に突き立て―――
目が合った。
切先が皮膚に触れる寸前、一護は顔を背けることで刃を躱す。その間もしっかりと俺の事を視界に収めながら、しっかりと俺と目を合わせながらだ。
腹に衝撃が走る。避けられたのがわかった瞬間に固めてはいたが、一護の……恐らく膝だと思われる衝撃は俺の腹筋を易々と貫いてきた。まるで腹の内側で鬼道が弾けたような感覚。痛いと言うよりも熱いと言う感覚の方が正しいとすら思えるそれを受け、俺は吹き飛び壁に叩き付けられる。致命傷で無いのは感覚的にわかるがそれでも身体が動かなくなる。
「かっ……!?」
直後、顔の横に突き立てられる大刀。鬼灯丸を掴んだ腕は片足で抑えられ、一方的に命を握られる感覚。ここまで圧倒的な相手を、俺はほんの数人しか知らない。
十一番隊隊長、更木剣八。元・十一番隊副隊長であり、現・三番隊隊長、織斑一夏。そして実際に本気で戦っている所を見た事は無いが、一番隊の隊長にして護廷十三隊の総隊長でもある山本元柳斎重國。俺が『測り知れない』と思った相手はこの三人だけだ。
だが、一護も同じように測り知れない実力を持っている。ならば更木隊長の無聊を慰めることができる相手になるかもしれねえ。
「……聞きたいことがあるって言ってたな。なんだ?」
俺は身体に走る痺れるような痛みをこらえながら、一護に問いかけた。
Q.この時点で月牙使えるようになってるの?
A.使えはしますが小っちゃく振って斬撃を飛ばしたのはただの剣圧です。
Q.……え?
A.崩玉と融合中の藍染との最後の戦いで剣をぶつけ合わせて山をぶった切った時と同じ、剣圧です。規模は小さめ。
夜一の斬魄刀ですがどうしてほしいです?
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出さなくていい
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オリ斬魄刀作っちまえよ
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ネタ斬魄刀にすれば使わない理由になるよ?