BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~45

 

 side 茶渡泰虎

 

 ばらばらに落ちてしまった。一護が一人で落ち、夜一さんもまた別の方向に。石田と井上が一緒なのは本当に良かった。石田は死神相手には加減をしないだろうから、井上をしっかりと守ってくれるだろう。

 それに、一護については何の心配もいらないだろう。一護は強くなった。多分、俺達の中で一番伸びたのは一護だろうし、一番強くなったのも一護だろう。俺も完現術と言う物を覚え、死神が使うような瞬歩とはまた違う形での高速移動ができるようになっているとはいえ、今の一護に追いつける自信はない。もう少しで今の俺の能力が殻を割るような感覚があるが、なんと言うか今の俺には何かが決定的に足りていないと言う事だけがわかった。

 織斑さんが言っていたように俺の能力が虚に近いものだとするならば……俺の能力を完全な物にするには虚についてよく知る必要があるのではないかと思う。

 

 ……ともかく、今は戦いだ。右の拳に力を込めて、一護のために敵を殴り飛ばす。数が多ければただ殴るのではなく霊圧の塊を撃ち出すことで纏めて排除し、数が多くなければ一撃ずつ腹に拳を叩き込んで終わらせる。気絶させないように無力化させるつもりだったが、俺も一護ほどではないにしろ大分力が強くなったことで上手く加減ができていない。これでは四季崎ルキアの居場所がわからないんだが……仕方がない、俺にできる範囲で何とかするしかない。

 地面を完現術(フルブリング)して反発力を上げて速度を上げる。靴を完現術して衝撃を俺の足にまで届かないようにしつつ反転させてさらに速度を上げる。右腕の肌は黒を主体とした硬質な物に形を変え、左腕には未だ完現術として完成とは言えない僅かな完現術の光が纏わりついている。そのせいか左の拳も以前より威力が出るようになっているようだが、未だ完成には至らない。

 

 立ち塞がる男たちをなぎ倒し、時には女であってもなぎ倒し、傷の浅そうなやつを起こして問いかける……が、大抵の奴はそのまま何も言わずに気絶するか既に気絶してしばらく起きそうにないような奴ばかり。もう少し加減して相手をしなければならないが……しかし俺以上に強い奴は瀞霊廷には結構いると織斑さんに聞かされている。つまり、できるだけ最初から相手を殺さない程度に全力でやるのが一番だと言うことになる。中々要求としてはきついが不可能ではないはずだ。本当に強い相手に突然あたりでもしない限りは。

 瀞霊廷内には数多くの死神がいる。そしてその死神の殆どは今の俺より弱いそうだが、基本的に隊長を相手にしたら勝てないと思い、副隊長を相手にしたら命を懸ける戦闘をすれば勝率が五分五分と言ったところだとか。三席以下なら大体は勝てるだろうが、十一番隊なら三席でも相手をするとわりと難しいらしい。

 

 十三隊のそれぞれのトップ、つまり十三人だが織斑さんは休暇中と言う事でいないから実質十二。副隊長がそれぞれの隊に一人、十三人。これで合計は二十五人。そしてこの二十五人と鉢合わせすることなく抜けられる道を見つけなければいけないわけだ。

 俺は今どこにいるかもわからない。落ちる時におおよその位置は見てきたつもりだったが、縮尺がうまく合わないせいか迷ってしまっている。一護の霊圧が消える気配が全くないのが救いだが、どうやっているのか一護の霊圧があると言う事はわかるんだがその霊圧の元がどこにあるのかと言うのは全くわからない。石田の霊圧もわからないから何かあるのかもしれないな。

 井上の霊圧は小さすぎてわからない。一護の霊圧はあるのはわかるがどこかわからない。石田の霊圧は恐らく弓矢を作らなければ発される事は無いだろうし、夜一さんの霊圧はここに来る前からほとんど感じ取れない。恐らく何らかの方法で霊圧を隠しているのだろうが、どうやっているのかは不明だ。つまり、今の俺は運任せにするくらいしか合流するための方法を持たないと言う事だ。

 

 ともかく今はできることをする。俺がこうして多く倒していけばそれだけ他にかかる追手が減る。つまりそれだけ他の奴が安全に行動できるようになる。ならば俺は向かってくる奴はできるだけ殺さないように気を付けながら、けれど逃がすこともないようにしつつ倒していこう。

 ……単純に小さい霊圧と、大きい霊圧を抑え込んでいる霊圧の差も何となく理解することができてきた。だったら俺じゃあ手が届かないような奴は後に回すか、もしくは全力で逃げ回るかのどちらか。完現術について知ってから霊圧を抑えるのもやりやすくなってきたから逃げ回るだけなら十分にできそうではあるが……一護の助けになるためには積極的に手数を減らさせていった方がいいんだろうな。

 

 自分のためではなく、一護のためにこの拳を振るう。俺は一護にそう誓った。一護が俺のために命を懸けてくれた。だから俺も一護が命を懸けて守りたいものがあるなら、そのために命を懸ける。そのことに何の躊躇もない。

 

 さあ、戦おう。

 




Q.チャドさん男前っすね?
A.原作でも男前でしたからね。

Q.チャドの強さはどのあたりで?
A.おおよそ虚圏突入寸前です。しかしここから少し変わってきます。

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