BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~50

 

 side 黒崎一護

 

 ……数時間ほど過ぎて、身体が回復したのを確認してから目を開ける。虚としての超速再生を持っているから虚化できれば早いんだが、流石にこんなところで突然虚化するわけにもいかない。それに花太郎がいるところで虚化したら間違いなく疑われるどころじゃすまないだろうからな。

 

「……あ、おはようございます」

「おう、おはよう」

 

 座りっぱなしで硬くなった身体を伸ばすが、刃禅を始める前に比べて大分霊圧が身体に馴染んでいる。今までは霊圧の衣を纏っていたような感じだったのが、しっかりと俺の一部になったような感じだ。いや、実際には初めから俺の一部だったんだが、普段から使っているバイクのエンジンだけが突然超高性能な別物に変えられていたせいで全速を出すと車体が持たなさそうな感じだったのを、車体の方のチューニングを繰り返すことによって全速を出しても大丈夫だろうと思えるようになった。

 ……外は今頃夜になっているころか? だったら丁度いいな。死覇装は黒、夜に溶け込むにはぴったりだ。霊圧も溶け込まさないといけないんだが、まだ俺の霊圧操作は完全じゃない。できる限りやるつもりだが多分見つかるだろうとも思う。

 

「今、外はどんな感じだ?」

「えっと……多分夜になってると思います。騒ぎが結構大きくなってるみたいですね」

「そうか……で、そこに居るのは誰だ?」

「え?」

 

 じっと見つめると、そいつは静かに姿を現した。明らかに隠密のそれとわかる衣装、織斑さんの言ってた二番隊の奴だろうとすぐに分かった。

 

「……二番隊隊長、砕蜂様より、身の丈ほどの大刀を背負ったオレンジ色の髪の死神、黒崎一護殿に言伝を預かっております」

「は? 俺に?」

「はい。申し上げます。『夜一様より話は聞いた。表立っての協力は不可能だが、情報提供と攪乱くらいはしてやる。』……以上です」

「……そうか。ありがとう」

「礼は不要です。仕事ですので」

 

 それだけ言い残してそいつは消えた。一瞬霊圧を僅かに大きくしてから即座に全力で隠蔽し、同時に瞬歩で移動する。一瞬残された霊圧によって知覚が攪乱されてどこに行ったか分かりにくくする方法のようだが……多分俺には合わねえな。残念だ。

 しかし、夜一様、ねぇ……一体何があってどうなったのかはわからないが、夜一さんも色々と動いてくれていると言うのはわかった。ただ、こんなに簡単に俺達の味方をさせて、更にその部下まで使えるとなると仕事とか全部放り出させることができるような情報があったってことだよな? 何かは知らねえけど。

 

 ……浦原さんも色々と隠し事をしているようだし、多分他にも知らされてない事ってのはあるんだろうな。今はルキアを助け出すことばかり考えているが、終わったら腰を据えて聞いてみるのもいいかもしれない。

 

「あの……」

「ああ、悪いな花太郎。じゃあ行こうぜ」

「あ……はい」

「疲れてるなら少し休んでくか?」

「いえ、大丈夫です。僕もすぐ休みましたから」

 

 ……嘘だな。恋次の傷を治してここまで移動して、それから鍵を探してたんだ。疲れているだろう。だったら俺ももう少し休んでいく事にしよう。身体の方は大体平気になったが、意識の方は休めてないからそれを休めるのにもいいかもしれない。

 それに、さっきの男は恐らく瀞霊廷の索敵やなにかをやっている隊なんだろう。それがこっちについていると言う事は、ある程度隠れていれば早々見つからない、あるいは見つかっていても問題ないと言うことになる。当然、思いっきり見つかってしまえば手を出さざるを得ないだろうが。

 それに、傷は無いし霊圧もほとんど消費してないんだが精神疲労はある。まあ織斑さんにパンジャンドラムで追い回されるのに比べればほんと大したことないんだが、それでも全く無いわけではない。さっきまでのは身体を休めるための物であって精神の方はずっと起きっぱなしどころか斬り合いしてたしな。虚の俺と。

それに精神修行もあったし。

 

 だから俺も少し休みたい。そう言って横になると、花太郎もおずおずと横になった。ちゃんと床に布を敷いている辺り育ちがいいように見える。俺は……ほら、持ってねえからな。柄布はこれ巻いてないと斬月に軽く触っただけで最悪腕がすっぱり行くから巻かないわけにもいかないんだよな。もう少し伸ばせれば……。

 いや、待て。確か虚の俺は柄布を掴んで斬月を振り回してたりもしたよな? しかも明らかに元々の布の長さより遥か先に。それだけじゃなく、俺が戦っている時に柄布が邪魔になったことがない。元々柄に巻いてあるのを刃にも巻き付けてたんだが……もしかしてこの柄布って伸び縮みすんのか……?

 

 やってみた。めっちゃ伸びた。何度か畳んで即席の敷布団くらいにはなった。そうだよな、斬月ってこの布も含めて斬月だよな。しかも今までも無意識とはいえ何度も伸ばしたり縮めたりしてきたんだからできて当然だよな。そりゃそうだ。

 なんかかなり伸ばせるようだから、花太郎の所にまで伸ばして上に一枚かけるようにしておく。俺の霊圧で編まれた布だからなのか、布とは思えないくらいに頑丈だからな。突然爆発が起きてもある程度大丈夫だろう。本当に大丈夫かどうかはその爆発の規模にもよるが。

 




Q.職権乱用じゃないっすかねぇ!?
A.ここの砕蜂ならこのくらいやってくれると思いまして。

Q.これ後でめっちゃ怒られない?
A.筆頭は大事な時に居なかった一夏でしょうけどね。

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