side 黒崎一護
花太郎は気絶こそしていなかったが戻ってくるのに暫く時間がかかった。その間俺は体力と霊圧の回復に時間を使ったわけだが、花太郎が起きてから霊圧の回復を手伝ってもらった方が遥かに早かった。多分、起こすのに時間を使った方が最終的に効率が良くなってただろうなと思えるほどだ。
聞いてみたんだが、井上の回復と違って死神の回復はまず霊圧の回復から始めるそうだ。そしてその霊圧を使って魂魄の損傷を埋めていく方法を取るらしいのだが、魂魄の損傷度合いによっては回復させる以上に傷から霊圧が外に出てしまって間に合わない場合もあるそうだ。
なので、今回の俺のように身体に傷らしい傷はほぼ無いが霊圧は殆ど枯渇している状態で霊圧を回復させるのはとても簡単なんだとか。
「……花太郎、お前結構すげえのな」
「えへへ、ありがとうございます……でも、四番隊にいるなら大体の人はできると思いますから……」
「いや、それでもすげえよ。ありがとな」
花太郎の頭を撫でて、それから懺罪宮を見上げる。正直、やばい霊圧だった。今の俺からしても相当やばかったのだから、少し前の俺がもしも出会っていたら文字通り蒸発していたかもしれない。いや、花太郎が形を保っているのだから大丈夫だとは思うんだが。
……!? チャドの霊圧が、揺らいだ……!?
side 茶渡泰虎
何人も倒してきた。何十人も、もしかしたら何百人も。
防御の力だと自覚した俺の右腕は非常に硬く、しかし攻撃の力が宿る気配は未だ無い。左腕に纏わりつく光がその前触れだと織斑さんは言っていたが、どうやら発現するにはまだまだかかるらしい。
ただし、色々とわかったこともある。昨日の時点で四季崎の居る場所はわかったし、そこまでの道も大体だがわかっている。それから、俺は戦闘部隊でなければ三席くらいなら勝てるようになっているらしいと言う事もわかった。
そして、死神を倒していく度に、俺の左腕に纏わりつく光も強さを増している。これなら、もう少しで何とかなるかもしれない……そう思った時、俺の前に一人の男が現れた。
十三番隊副隊長と名乗ったその男は、変化させた斬魄刀に水を纏わせ、高い位置を起点にした円運動で斬撃と水圧による打撃を同時に仕掛けてくる。一撃受けるだけで右腕が軋みを上げ、こちらからの攻撃は水によって威力を減衰させられた上で丁寧に弾かれた。
「なあ、そろそろ諦めちゃくんねえか」
「すまんが、それは無理だ」
「はぁ……なんでこういくつも事件が重なるのやら」
事件が、重なる……? 俺達が入ってきた以外にも何かが起きているのか……?
「すまんが、俺達はここで止まることはできない。四季崎ルキアを助けないといけないんでな」
「ルキアを? そりゃまたなんでだ。あいつが現世に居たのはせいぜい数ヶ月くらいだろ?」
「ああ。だが、一護が助けたがってる。命を懸けて」
約束したんだ。一護と。
「十分だ」
一護が俺のために拳を振るい、俺は一護のために拳を振るう。
「俺が命を懸けるのに、それ以上の理由は必要ない」
何かが俺の中で弾けた。左腕に纏わりついていた光がしっかりとした形を取り、右腕の色を反転させたような白い腕になる。硬く重厚な感覚の右腕とは違い、硬く鋭い感覚の左腕。俺は新しく出来上がったその腕に霊圧を乗せ、構える。
「……そうかよ、わかった。だがこっちも退くわけにはいかないんでな。いい感じに気絶させてやるから、あまり動くなよ」
「すまん、無理だ。全力で行かせてもらう」
織斑さんに習った。拳を打ち込む時には大雑把に分けて二つやり方があると言う。重く、鉄鎚で叩くような衝撃を目的とするものと、鋭く、突き刺すことを目的とするもの。水を相手にするならば衝撃ではだめだ。散らされてしまう。だから、鋭く研ぎ澄ませた一撃を打ち込む必要がある。
速く、鋭く、全てを貫く一撃を―――!
向かう俺に波濤が迫る。大質量の水塊に、真正面から左の拳を打ち込む。細く、鋭く、全てを貫くように。
同時に右腕を身体の前に構える。水を貫きはしたものの、それでも多くの水は俺に向かってきている。ここで相手を倒せたとしても、俺が先に進めないのであれば意味はない。生きて進まなければ。
衝撃。水塊を打ち抜き相手に十分なダメージを与えた手ごたえを感じた。しかし同時に自身に降りかかる水の圧力に右腕が軋みをあげる。霊圧の殆どを左腕から打ち出したばかりの今、直撃を喰らったら暫く俺は動けなくなるだろう。それを防ぐために残った僅かな霊力を右腕に集め、身を守る。
しかし水は全身を叩く。頭と胴体の一部は守れたものの、他の大部分は凄まじい勢いの水塊に叩かれ弾き飛ばされる。こちらの攻撃によって水塊が僅かに散らされていたからこうして思考を保つことができているが、それが無ければ完全に意識を失っていただろう。
志波海燕と名乗っていた死神は、俺より怪我は少ないようだ。それに、どうやら鋭くした打撃は水流によって逸らされて脇腹部分を削り取る程度のダメージしか与えられていない。いや、脇腹部分を削ってやれば大抵戦闘不能になるだろうが、死神と言うのは霊圧で、ひいては意志の力である程度の傷はなんとかなるらしいからまだ続けられるだろう。
対して俺は、ただ立っているだけでもやっとの様相。俺に傷を治す力は無いし、隠れて休もうにもこの出血ではすぐに場所を辿られてしまうだろう。
「……ケッ。死神でも滅却師でもない人間相手にここまでやられるとはな……まだ隊長格は遠いぜ」
どしゃり、と倒れる音がする。視線を向けると、死神がその場に倒れていた。意識は失っていないようだが、動けるわけでもなさそうだ。
俺はゆっくりと進んでいく。右腕の鎧は引き裂かれ、おびただしい量の血が地面を濡らす。
「おい、やめとけよ。お前そのままじゃ死ぬぞ?」
「……」
「おーい、聞こえねえのかよー」
「……聞いて、いる。だが、止まれない……!」
「いいや、止まってもらうよ。ここでね」
誰かの声が聞こえた、気がした。
Q.最後の誰?
A.京楽さん
Q.海燕さん強くね? チャドは虚圏編くらいの強さでしょ?
A.その海燕も出てましたね? ルキアをほぼ一蹴してましたね? そんな感じです。ただ、数多くの虚を取り込んで強化されている分を除けばこんな感じかなと。
夜一さんの斬魄刀の名前を以下より選べ。(配点5)
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禍福
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禍因福子
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ちくわ大明神
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竹輪大明神
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Chikuwa大明神