BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~64

 

 side 黒崎一護

 

 双極の上に眼鏡をかけた優男が見えたのでとりあえず超遠距離から突きの月牙をぶち込んでみたんだが、片手で払われた。マジかよあいつ人間じゃねえ……あ、死神だったわ。

 月牙で俺の居場所がばれたようで俺に視線を向けたかと思うと嫌な予感がしたので即座にその場を離脱。すると直前まで俺の居た所をなんか異様に太いビームが貫いていった。多分鬼道って奴だろう。斬魄刀の能力にしては刀を向けるだとかそういう動作がなかったし、そのくらいならなんとなくわかるようになった。

 まああくまでもわかるだけであってそれに対処する方法とかはわからないんだけどな。真正面から撃ち落とすとかそういうの以外は。

 

 そんなわけで逃走―――しようとした瞬間再び嫌な予感がしたので斬月を背後に回す。するとそこにはさっき双極の丘の上に居た藍染が。瞬歩は慣れれば視界範囲内なら移動できるようになるとか聞いたことはあるけど俺も瞬歩で逃げてんのに余裕綽々で追いつくのかよ!?

 

「どこへ行こうと言うのかね?」

「剣八と同じかそれ以上にやばいと思ったから他の隊長格が集まる場所まで誘導しようかと」

「正直なことだ……できると思うかい?」

「やらないと死ぬなら無理でもやるさ」

 

 斬月を通して伝わってくる強さは、これまでで最高のもの。総隊長の流刃若火の炎が相手でもあそこまでの圧はなかった。まああれは零れただけの炎を相手にしていたからかもしれないが、まさか威圧感において剣八以上がいるとは思いもしない。織斑さん? あれは別格すぎて比較対象にならないから……。

 まあ、織斑さんより弱くても俺より弱いとは限らない。瞬歩と飛廉脚を合わせて全速力で走ってるってのに当たり前のようについてきている事からも藍染が今の俺よりも強い事が窺える。

 

「まったく、今回は僕の目的は達成されていたからこれで失礼しようと思っていたというのに、君のような血気盛んな若者に襲われてしまってはたぎりが抑えきれないじゃないか」

「あんた同性愛の気でもあんのかよ」

「ないよ殺すぞ」

「じゃあ戦闘狂の気でもあんのかよ」

「そっちはあるよ」

「あるのか」

「あるよ」

「じゃあ俺と本気で死合おうや」

 

 瞬間、俺と藍染の間に馬鹿みたいな霊圧が降ってきた。その直後、金属と金属のぶつかり合う音が耳元でダイナマイトでも鳴らしたかのような音量で響き渡る。何かが割れる音がした気がして空を見れば、そこには俺達が破ってきた瀞霊廷を覆う遮魂膜に入った巨大な皹。原因は―――間違いなく今起きているぶつかり合いによるものだろう。

 

「よう、藍染。殺しても死なねえと思ってたから敵になってくれて嬉しいぜ」

「ああ、貴方はそういう人だったね、更木剣八」

「お前も三割くらいはそうだろうが?」

「否定はしないでおこうかな……それで、いつから気が付いていたんだい?」

「あァ? んなもん織斑の奴が一月も長期休暇取って瀞霊廷の外に出たって時点で何か起こると思ってたぜ? 上の奴らは織斑の奴をできるだけ自分の目の届かないところに置いておきたくねえだろうってのは知ってた。だってのに突然長い休みを取らせたんなら……なぁ?」

「……なるほど」

 

 ……この状況じゃあ流石に手が出せない。と言うか出したら間違いなく剣八に斬られる。楽しい戦いのために俺を二度も見逃している剣八なら、そのくらいの事はやる。

 

「剣八! 他の隊長たちはどうした!?」

「あ? 大体斬ったぜ。一応殺さねえように加減してやったが……あいつらじゃあ百年経ってもそこそこしか楽しめそうにねえな」

「それはお前が強すぎるのが原因だと思うんだが……」

 

 つーかやべえなこの二人。一体何をどうしたらこんな風になるんだよ? 二人とも聞いた限りじゃ広域破壊系の能力を持つ斬魄刀は持ってねえらしいのに、剣の一振り一振りで瀞霊廷が揺らいで遮魂膜に皹が入ってやがる。流石に遮魂膜が崩れ落ちるとか言う頭のおかしいことにはなっていないが、皹が入ったまま振動が繰り返されるせいで遮魂膜同士が擦れあって上げる軋みが酷い。すげえ五月蠅い。こんなこと言ってる場合じゃないし、何ならマジで尸魂界全体の危機だってのもわかってるつもりではあるんだがそれでもうるせえ。

 そして、今の俺じゃあどうにもならないということはわかった。卍解に虚化を重ねてもどうにもならないだろう。この状況で滅却師の能力まで重ねる気にはならないからそれが限界だしな。

 

 なら俺にできることは、藍染と剣八の攻撃の巻き添えにならねえようにこの場から離れるだけ。そもそも俺の目的はルキアの救出だ。藍染の目的がルキアの中にあった崩玉とか言うもので、既にそれを取り出された後だってんならわざわざ藍染とこの場で戦わなければいけない理由もない。

 ……まあ、置き土産くらいは残していくけどな。

 

 仮面を出さずに一瞬だけ虚化し、卍解をしていない斬月を振るう。虚の霊圧を込められた月牙は黒く染まり、薄く薄く研ぎあげられて停滞する。

 その場に繰り返し全く同じように全く同じ場所に月牙を配置し、それらを全部まとめて藍染と剣八の戦っている戦場に見えにくくして設置する。これで準備は整った。

 よし、逃げるか。

 




Q.剣八察しが良すぎない?
A.ちくわ大明神のお達しですからね。仕方ないね。

Q.一護は何をしてるの?
A.ほぼ嵌め技?

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