BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~71

 

 side 織斑一夏

 

 虚。それは人間の魂魄が変質したもの。要するに、人間であれば誰しも虚になることで強くはなれるわけだ。その強さが本当に本人の求めたものかどうかは意見が分かれるところだが。

 しかし実行して成功すれば強くなれると言うのもまた事実。失敗率はそこそこ以上に高い……と言うか、そもそも生きている状態で虚化ってどうやるんだとかそういう文句その他もいくらか聞かされることはあるが俺も知らん。俺にできるのは虚としての俺の霊圧を相手の魂魄に叩き込んで共鳴させることで相手の魂魄を虚に近しいものに変えることくらいだ。そもそもそれができる時点で色々おかしい? うるせえ山羊の血を山羊の腸に入れて蒸し固めたものを食わせるぞ。味付けもハーブも無しの奴な。

 

 さてそういう訳で、完現術組に新しく虚の力を突っ込むことにした。お嬢ちゃんの方は基本的にもう完成しているし、茶渡の方は未完成とは言ってもこのまま完成させるよりも新しく押し込んでから完成させる方が強くなれるだろうが成長速度自体はやや鈍る可能性もある、ということを話しておいたがそれでももっと強くなりたいってことだったんで実行。

 まず、鍍を出します。鍍に虚の霊圧を込めて、茶渡とお嬢ちゃんに渡します。渡されるとそこから虚の霊圧が流れ込んでいきます。

 結果。お嬢ちゃんの方は虚化に加えて新しい奴が二人追加され、茶渡の方は虚化はできなかったが虚としての力を完全に取り込んで自身の完現術をさらに進化させた。副次効果として霊圧もかなり上がったので時間の流れもより遅くすることができ、ついでとばかりに戦闘訓練……なのはあくまでも茶渡の方だけでお嬢ちゃんの方は自分の中の虚との対話や新しい能力の確認などに費やしてもらった。茶渡の方はもう完全に虚は消えてしまったようなので対話とかできないからな。暴走の事を考えればおそらく茶渡の方がいいんだろうが、出力の事も考えればお嬢ちゃんの方も悪くないんだよな。

 

 ……しっかし崩玉ってのは無茶苦茶だ。お嬢ちゃんの願いをかなえるためにその場にあったものからなんとかかんとか使えるものを集めて能力を作り上げたうえで付与するとか、色々とありえん。俺が他人に能力を与えるときにどれだけ苦労しているのかを考えると色々と馬鹿らしくなってくるな。

 虚となった兄に襲われ、その際の霊圧が魂魄に残っている間に起きた出来事だからこそ出来上がるまでの過程の似た完現術として現れた。完現術だから虚のそれに似ていて、しかしあこがれた対象が死神でもあったからこそ斬魄刀に似た形態として六の花弁が現れた。

 で、俺は今そこに新しく添えてやろうとしているわけだが……さて、どんな形で現れることになるやら。

 

 

 

 

 

 side 井上織姫

 

 誰かがいる。私の中。心の奥深く。思考と本能の狭間。霊圧の奥底に。

 私をゆっくりと変えていく。崩していく。食らっていく。私を私のまま私以外の何かに変えるそれは、きっとどうしようもなく私そのものなのだろう。

 弱い私が嫌だった。黒崎君を守れない、黒崎君に守られてばかりの私が嫌いで、黒崎君を守ってあげることもできない私をいっそ憎みすらした。

 私を変えていく私は、きっとそんな私にあの人が力をくれた結果なのだろう。虚としての力。六花を強くすることも、私自身を変えることもできるその力。そんな力を取り込んで、弱い私(憎い者)を喰らい尽くして変えていく。

 

 ……けれど、このまま全部変えられてしまう訳にはいかない。だって黒崎君は死神だ。私が虚になればきっと一番近くにいる黒崎君が私の事を斬らなければならなくなる。黒崎君はきっと迷って、それでもちゃんと私を斬ってくれるだろうけれど―――それじゃあ黒崎君の負担になってしまうから。

 もしも私を斬ってくれたのが黒崎君ならば、黒崎君はきっと私の事をずっと忘れないでいてくれるだろう。けれど私はそれから二度と黒崎君の隣には立てなくなる。今の私の力は六花たちの力。そして六花たちは私のヘアピンから生まれている。尸魂界には多分ヘアピンは付けていけない以上、私は戦う力も何もかもを失ってしまうことになる。

 

 それは、いやだ。

 

 私は私の前に立つ。私を食べ続ける私の前に立って、私と同じように私を食べル。

 虚の私が人間としての私を喰らうのと同じように、人間である私が虚の私を食べる。

 私の中に私が流れ込んでくる。私ノ思いが私の中に混ざりこむ。私は私だけれど、私と私は同じだけれど、それでも私と私はゆっくりと同じになっていくのがわかる。

 六花も私と同じように、黒い六花たチとお互いを食べあっている。食べあっていると言うより、少しずつ溶け合っていると言った方がいいかもしれない。私と私がお互いに食べあうほどに、六花たちはゆっくりと溶け合っていく。

 私と私は食べあって、食べあって、食べあって、食べあって食べあって食べあって食べあって食べあって食べあって食べあって食べあって食べあって食べあって食べあって。

 私と私は同じになった。

 

 私が言う。黒崎君と一緒にいるために、何でもしたい。

 私も言う。黒崎君と一緒にいるために、何でもはできない。

 私が叫ぶ。黒崎君のために、私はなんだってする。

 私も叫ぶ。黒崎君と一緒にいたい私のために、私はなんだってはできない。

 肯定と否定が溶け合って、思いと思いが混じりあって、明るい思いも暗い思いも軽い思いも重い思いも全部全部一つになって。

 

 私たちは、一つになった。

 

 目を開く。鎖で縛り付けられた身体が視界に入る。身体が痛いのは、多分このせいだろう。随分と暴れようとしたらしい。

 けれど私は私のまま帰ってこれた。元から持っていた六の花弁に加えて、私自身にも見ることのできない二つの花を携えて。

 

 それから私は私の力を学んでいく。超速再生とは言えない程度の、ただし人間としては異常に速いと言えるだけの速度の再生能力と、六花の力を私自身にも使うことができるようになったこと。今までの六花の組み合わせを変えてより強力な術を作り、新しく得た力を使って全く新しい技も得た。

 そして、虚の仮面を一時的にではあるけれど被ることによって霊圧を上げることもできるようになった。これに関しては盾で私を覆い、人間の部分を拒絶することで一時的に虚に変わり、虚の部分を拒絶することで人間に戻ることができる。私と虚が全く同じ存在であるからこそできる技なんだと思う。

 そして私が織斑さんの修行部屋を出たときには、ちょうどみんながでてくるところだった。

 

 私はちゃんと今まで通りに笑えているだろうか。

 私の笑顔は歪んでいないだろうか。

 私の思いを自覚して、私と同じになったことで二倍に膨らんだこの思いが、私の態度から表に出てしまってはいないだろうか。

 

 私は笑顔を浮かべながら、今まで通りに黒崎君に話しかけに行った。

 




Q.えっ……えっ??????
A.発狂からのダイスロール異常な物を食べたがる自分自身。結果的に虚の自分と精神世界で食い合って合一。やったね井上さん!強くはなれたよ!

Q.ダメだろこれ!?
A.どっちも最低一回結構やばい発狂している夫婦として有名になれるんじゃないですかね(鼻ホジ)

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