色々とあった結果、また夜一はちょくちょく尸魂界にやってくるようになったんだが……最近はなんでか俺の膝枕でごろ寝することが増えている。猫の状態ならともかく人間の状態でも同じようにしているからちょっと問題がある気がしたんだが、まあ猫一の中の人だし別にいいかと思い直しておいた。基本的に邪魔もされねえしな。
そんな日々を過ごしていると、ふと俺の膝に頭どころか上半身をのっけてだれている夜一の耳が目に入ったわけだ。
そしてふと、こんなことを考えた。そうだ、耳掃除しよう。
「……別に構わんがパンジャンドラムは使用禁止じゃぞ」
「耳ごと頭を掃除するわけじゃあるまいしやんねーよアホ」
「アホにアホと言われた……」
「いいからさっさと耳こっちに向けろ耳かきの梵天の代わりにパンジャンの爆発で最後の仕上げをされたいのか」
「勘弁しろください」
「ならはよ」
そんなこんなで夜一の耳が俺の方を向いたわけだが、ちゃんと掃除はしてあるようで結構綺麗だ。と言うか普通は耳垢とかはよほどべたついてない限りは普通に行動していると乾いて剥がれ落ちていくものだからそこまで大量に溜まるって方が珍しかったりするんだけどな。
ちなみに耳かきが気持ちいいってのは人間として割と普通の事だ。神経の作りによって耳の内部には快感を感じる神経がそれなりに走っているそうだからな。ののちゃんが耳掃除の時に色々と調べえたらしいことを寝物語のように教えてくれた。五人に一人くらいは快感を感じるよりくしゃみや咳が出てしまう人もいるらしいが、俺の周りにそういう奴はいねえな。今のところ。
耳かきをするときに重要なのは力はあまり入れないこと。耳ってのは骨のすぐ上に薄く皮膚がくっついたようなものだから少し強めに力を入れるだけですぐに傷がついてその傷から化膿したり炎症が広がっていったりすることもある。それを抑えるためにも力は入れないようにするのが大事だ。漫画とかで時々耳掃除のときに『ズドッ!』みたいな擬音とともに凄まじい勢いで耳に耳かき棒を突っ込んでいる奴もいるが、そんなことを現実でやったら一瞬で耳が血まみれになること請け合いだ。いい子も悪い子も絶対に真似してはいけないぞ。耳の中に小型のパンジャンぶち込んで爆発で耳垢を飛ばそうなんてのはもってのほかだ。まあ流石にそれは言わなくてもわかることだとは思うがな。
ちなみに猫一の頃に散々触ったからわかるんだが、夜一は耳を触られると気持ちがよくなるタイプだ。耳の中に限らず裏とかでも同じく。俺の膝の上でふにゃっとしているのは大抵耳をたっぷり責められた後だからな。おいそこの怪文書製造機、メモしてるか? 夜一の弱点は耳だぞ。優しく優しくするんだぞ。絶対に強くしすぎるなよキレられるからな。強さに関してはそれこそ舌で舐めるくらいの強さでいい。流石に俺は夜一にも猫一にもそんなことはしたことがないが、強さ自体はそのくらいを目指している。
なおやったことはないがやられたことならまあ何回か……何回か? まあ複数だったら桁が七つや八つあっても何回か、ってことでいいか。めんどくせえし。
ちなみに天井裏ではいつも通り秒で仕事を終わらせた砕蝶が潜んでいたりするが、夜一はまったく気にしていないので俺も気にしていない。流石に夜中五月蠅くしたら額に風穴開けてやろうと思ってはいるが、こいつそのあたりは常識的だからな。そもそも天井裏に潜む時点で常識外れとか言ってはいけない。ちなみに今はメモを取っているようだ。
まあともかく気にせず夜一の耳をのんびり弄っていく。耳ってのはさっきも言ったとおりに軽く触れられるだけで結構気持ちのいい部位だ。耳全体にゆっくり圧をかけてやる程度でも結構気持ちよくなれる。爪を使うと簡単に傷の付いてしまう部位だからそのあたりはしっかり気を付けないといけないが……自分でやるんだったらそのあたりかなり適当にやっても大丈夫なんだがなかなか気を使う。と言うか俺自身なら自分を炎に変えれば一発だからな。
「……随分と、手慣れておるの」
「まあ昔色々あってな」
具体的には初転生の時に姉を相手によくやっててな? 姉以上に束姉さん相手にもよくやってた気もする。始めのうちはなんでもない感じなのにいつの間にか耳が真っ赤になってたりするのが可愛いなと思えたら末期。夜一も今褐色の肌だったのが赤に染まってるのがわかるが束姉さんの肌は黄色人種らしい色の肌だったからな三倍わかりやすかった。
さてそれはそれとして左は終わったから次は右。奥の方に落とさないように気を付けつつ入口の方から少しずつ……少しずつも何も元々が少ないんだが気にしてはいけない。
今度は砕蝶あたりを誘ってみるか。ちゃんと覚えられればいい感じにいちゃつけるとでも言えばやる気になるだろう。今の夜一の姿を見てればわざわざ俺から動かないでも向こうから教えを請いに来る可能性もあるがな。
「ところで、気付いてるか?」
「ん? ああ、途中からじゃがの。いつからおった?」
「お前が来た二秒後」
「……そうか」
マジな話な。ちょいと気配遮断に関しては鍛え上げてやったからな。自分で一旦放出した霊圧を自分自身にもう一度取り込むなんて技も教えてみた。結果、霊圧感知が役に立たなくなったのと霊圧の回復速度の上昇が見込めた。なかなか驚きの結果だが、原作的に考えて瞬閧が風属性で延々と使い続けることに関しては適性があったためだろう。結構な早さで身に着けた。
まあ、あまり気にしなくともいいだろう。どうせ手を出してくるような度胸はない。一時的に夜一不足や夜一過多によって暴走すれば話は変わってくるが、最近はよく夜一も来ているからな。一緒に修行もしているし、少なくともここ百年程の慢性的な夜一不足は解消されたと思うんだが、今度は過多の方が心配だ。過多になったところで被害は基本夜一にしか行かないだろうから多分大丈夫なんだが。
仕上げに息を吹きかけると、夜一は身体を一瞬震わせる。夜一ってこれ好きだよな。耳の赤身は増しているようだが。
Q.なんで突然耳かき?
A.作者の趣味。
Q.この後怪文書製造機さんは耳かきの練習をしましたか?
A.イメトレは既に開始しています。