BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~幕間の物語03

 

 護廷十三隊にはそれぞれの隊によって特色がある。それはここ、十一番隊も例外ではない。

 十一番隊は護廷十三隊きっての戦闘部隊。どいつもこいつも脳味噌まで筋肉でできているような戦い好きの大馬鹿野郎。戦いの中で死ぬならばそれは本望でしかない。

 けれど、何事にも例外と言うものはある。十一番隊において戦闘以外に秀でる存在と言うのが、僕の知る限り二人いる。

 一人は副隊長、草鹿やちる。普段から気まぐれで色々とおかしなことを繰り返すけれど、それ以上に書類仕事の処理速度が素晴らしい。昔の副隊長、現在では三番隊の隊長をしている織斑隊長に一から叩き込まれたと言っていたけれど、きっとそれは事実なんだろうなと思わせるだけのものがある。

 そしてもう一人は、僕自身。僕は十一番隊の調理責任者として二十人ほどの隊を率いていて、日々の食事を作り続けている。戦闘部隊である十一番隊であっても食事をしなければ戦えない。当時の副隊長である織斑さんの言葉に誰もが納得した結果作り上げられた十一番隊調理小隊は、一人一人がある意味精鋭だ。

 

 僕は十一番隊第十五席、調理(しらべことわ)。名前がすげえと織斑副隊長に気に入られ、調理技術を叩き込まれた一人の男だ。

 

 僕の朝は早い。前日の夜から水に沈めて出汁をとった削り節を鍋から取り出して火にかけ、煮立たせないようにしながら切った具材を入れていく。数百人分の味噌汁、それも一人一人がかなり大食いの男たちを満足させるだけの量となると大鍋一つ程度ではとても足りない。それこそ風呂窯一つくらいは最低限必要になるのだ。

 それに合わせてご飯も炊いていく。これも凄まじい量になるけれど、ご飯を炊くのは小隊の一人に任せておけば問題ない。噴きこぼれそうになったら火を弱めさせて暫く放置すればいいだけだ。

 それから今日の朝食用におかずを用意する。十一番隊は脳筋しかいないのでとにかく量が作れるものがいい。つまり、肉だ。肉を6、野菜を3.95、調味料を0.05くらいの割合で一気に焼き上げる。このころになると朝のひと暴れを終えた他の隊員たちが空腹を抱えてやってくるので一気に忙しくなる。脳筋が多いこの十一番隊では小鉢などと言うしゃらくさいものを使う細かい奴はそういないので、飯を盛るどんぶりとおかずを盛る皿、そして汁物を盛る椀に箸を付けて全部一つの盆に乗っければ完成だ。簡単でいい。

 基本は肉と飯、そして汁物。この三つを十分に供給してやれば不満は出ない。ただ、あまり同じ献立が続くとブチブチ言い始める奴もいるので献立自体は百ほど用意してある。兎にも角にも飯を食わせればそれでいい。

 

 朝飯が終わると洗い物と次の飯の準備が始まる。朝は和風で行ったので昼は洋風に仕上げてみることにする。まあ大衆料理なのは変わらないんだが。

 手っ取り早く作れるのは肉の洋風煮込み、織斑さん曰くシチューというらしいが、使った肉の名前によって名前が変わってくるそうだ。今回は牛肉を使っているのでビーフシチューと言うことになるんだろうな。

 焦げ付かないようにという点だけ注意すれば煮込むだけでいいのだから楽と言えば楽。火加減は……鬼道って便利だよな? 特に赤火砲。小さいのをいくつも並べて出せば簡単に火加減の調節ができる竈の出来上がりだ。問題はこれを出しているとずっと霊力を使い続けると言う事だが、ちょくちょく味見をするので問題なく回復できる。

 味は基本的に濃いめだ。なぜかと言えば十一番隊は基本的に脳筋の集まりなので戦う事と強くなることばかり考えている。そのために日々の修行は欠かさないし、欠かした場合もしかすると織斑さんが現れて修行に付き合わされる可能性もあると言う事でさぼろうとする奴はそういない。そしてそうやって真面目に修練を積んでいる以上は汗だってかくし水分も失われる。水と塩分は十一番隊の食事に欠かせないのだ。

 

 昼が終われば再び洗い物をして夜の準備。和食洋食と来たので中華にすることにした。織斑さんがこの厨房の支配者をやっていたときにはひとりで全部やってのけていたそうだけれど、いくら僕でも一人でそれは無理だ。なんでできていたのか不思議に思う。

 だからこそ調理小隊なんてものがあるんだけどな。

 鳥を炊いた澄んだスープ。肉は鶏肉油は鶏油。さっぱりとかそんなことを考えている奴はなかなかいないが、代わりに酒に合わないと嫌がられるからやっぱり味付けは濃いめ一択。毎日毎日食って飲んで大騒ぎ。良く飽きないなと思う事もあるが、戦いが主体で食事や酒こそ息抜きなんだろう。呼吸に飽きる人間がいないように、戦いに飽きる人間は十一番隊には入れない。入ったとしてもすぐに出ていってしまう。

 まったく、十一番隊は地獄だぜ!

 

 夜。適当に誰でも食べていい夜食を作ったあとは、明日の朝食の下拵えで時間が必要な物だけをやってから早めに眠る。十一番隊の食事は戦争のような物だ。体力が無ければやっていけない。休めるときにしっかり休まなければ。

 




Q.誰?
A.オリキャラ。一夏が十一番隊からいなくなる時に調理技術を叩き込んだ設定。ちなみに書類仕事はやちるに叩き込んだ。

Q.他にもこんな感じのオリキャラはいます?
A.いないことはないけど出てくるかどうかは不明

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