BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~78

 

 side 黒崎一護

 

 ようやく平子が動いた。一応俺も平子を誘い出すように動いてみたんだが、あっちが焦れたのかそれとも何か急がないといけない理由でもあったのかはわからねえがともかく動いた。

 で、突然斬りかかられたんで大刀で受け止め小刀で剣圧を飛ばし、回避した先に回り込んでもう一発。月牙ではなく剣圧なのは平子の目的が現状わからねえからだが、受け止めようとして押し切られて飛んで行った。仕方ないので追いかけたんだが……なんだろうなこいつ。多分冬獅郎より少し上、狛村さんと同等かちょっと上、ってとこだと思うんだが……斬魄刀を持っててその斬魄刀から虚っぽい霊圧も感知できるからまず間違いなく俺の同類……で、元護廷十三隊の浦原さんがその存在を知っていて、ついでに俺に隠そうとしている点から考えてこいつは元々護廷で隊長格やってたんじゃねえかと思う。確信はねえし証拠も無いけどな。

 

「一応聞くんだが、俺の知ってる平子でいいんだよな? 誰かが化けてるとかそういうのは考えなくていいんだよな?」

「……まあのォ」

「生身なのか、それ。いや、義骸か? ってことは……浦原さんか。護廷を抜けてどこに居たんだ? その霊圧を感知しにくい義骸のおかげか?」

「ノーコメント、やっ!」

 

 再び斬りかかってくる平子だったが、とりあえず素の口調はマジであれなんだろうな。あまり余裕が無さそな状況でもあれってことはそうなんだろう。多分。

 息を吐き、それに打撃の月牙を乗せる。それは割と簡単に切り捨てられたが衝撃は多少通ったらしく白哉の使ってたやつを見様見真似で覚えた相手の背後に回り込む瞬歩で後ろを取る隙ができた。

 大刀を納めて平子の背中に抜き手を突きつける。月牙を纏った抜き手はそれこそ刃物と変わらないし、そのことは霊圧から察することができるだろう。平子はじっとりと冷や汗を流しつつ動くのをやめた。

 

「……で、なんで襲い掛かってきたのかと用件と目的。あとついでに好きなパンジャンドラムについて教えてもらおうか」

「最後のなんで!? いやそもそも俺パンジャンドラム好きやないで!?」

「あっそ。じゃあなんで襲い掛かってきたのかと用件と目的だけ手短に話せ。俺これから晩飯なんだよ」

「俺の用件は晩飯以下か!?」

「用件がわからないから何とも言えねえな」

「……一護。お前、これに見覚えは?」

 

 そう言って出されたのは虚の仮面。そして同時に平子の霊圧が跳ね上がる。小さい方の斬月で平子の剣を打ち払い、手刀で脳天から仮面を叩き割ろうとして躱される。一応皹は入れたが、結構速いな。

 

『なあ、俺よ。なんで俺を出さねえ?』

 フラグってやつだ。切り札は後に出した方が勝つんだとよ。よくわからねえが。

『ああ……そういやそんなことも言ってたっけか。信じてんのか?』

 一応な。だって織斑さんの言う事だし……言葉の後に嘘だとかそういうのもついてなかったし……。

『なるほど。まあいつでも起こせ』

 おう、サンキュ。

 

 爪で空を切るようにして出した月牙を腕に纏う。三日月のように手の甲から肘を覆うそれは触れれば斬れる攻勢防壁。なお斬れる相手の強度には限度があるが何でもそうなので一旦考えないでおく。大刀の方はまだ抜かない。理由? あれだ、フラグだ。織斑さん曰く『先に切札を出すと負ける』とか『切札の解説を長々すると追いつめられる』とかがフラグになるらしい。他にもあるらしいがなんかオサレだとか何とかでよくわからんかった。

 ともかく今はこいつの相手をしなきゃならない。できることなら早めに用件を終わらせたいところなんだがなぁ……上手くいかないものだ。

 それに、義骸に入っている以上は平子は霊力のない奴にも見えてしまうと言う事だ。できるだけ早く終わらせたい理由にはそれもあったりするんだが、中途半端に強い奴を相手にするとそれもできなくて困る。それに俺は回復術なんて使えないから殺しかけた場合マジで死んでしまうから加減が必須なのが痛い。あっちも虚なら超速再生を使えたりは……しないか。あれは一応結構珍しい能力のはずだしな。

 

 一旦発狂して、一度正気に戻ってからまた発狂すると、自分が今発狂しているのかいないのかがよくわかるようになる。そして繰り返し発狂して狂気に慣れてしまえば理性的に狂気を扱えるようになる。言ってしまえば、身体に染み付いた本能を理性的に振るうことができるようになると言うこと。虚の俺の敵を殺せという声を聞き、本能的に襲いかかるでなく理性的に襲いかかれる。何に使えるのかってのは難しいが、便利ではある。

 そして理性を狂気に浸す度に、(死神)()の境界は溶け合って一つになっていく。元々俺の中にいた奴がどうやってこれ以上一つになるのかはわからないが、ともかく一つになっていく感覚はある。虚化の訓練をしていた頃のように意識して保ち続けるような必要はなくなり始めていると思うが、流石にこの状況で一々それを確かめるようなことはできないからな。悲しいが。

 

 ……それに、平子はまだ斬魄刀の解放をしていない。平子の斬魄刀の能力次第ではこの状況も容易にひっくり返される可能性がある。が、手足を斬り落としておくとかそういうことはできない。なんて面倒な状況なんだ……。

 




Q.オサレポイント的にこの一護の行動はどうなの?
A.オサレポイント導入しても勝てない程度に実力差が……ね?

Q.具体的にどのくらい離れてる?
A.死神の力に目覚めたばかりで始解もできてない状態の一護と剣八よりは近い……かな?(なおどう頑張っても霊圧差で斬れない)

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