BLEACH~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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BLEACH~90

 

 side 黒崎一護

 

 完現術ってのは要するに物の魂を引き出す術であるらしい。それだけじゃあなんのこっちゃと思うところだが、その後の説明を詳しく聞く事で何となく把握した。

 まず、あらゆる物には魂が宿っているということ。その魂の力を引き出し、そのものの持つ性質を強化することができるということ。例えば地面に対して完現術を使えば地面の反発力を増幅して大きく飛び跳ねることができるし、空気に完現術を使えば跳躍してから加速したり方向転換することも可能だとか。しかもこれは霊体の時でも使えるが生身の時でも使えるそうだ。

 それに加えて自身の思い入れがあるものやずっと持ち続けてきたものに対して完現術を使う事でそのものの用途とは明らかに違う特殊な効果を与えたり、形すら変えることすらあるらしい。チャドの場合は祖父からの隔世遺伝で浅黒く染まった肌が、井上の場合は兄からもらったヘアピンがそういった能力の媒体になっているそうだ。

 

 で、完現術を使えるようになるには面倒な制限があるらしい。なんでも母親と一緒にいるときに虚に襲われた経験があれば使えるそうだが……無理じゃね?

 

「一護は虚の力を使えるんだろう? 俺たちの力は虚の力を受けた母親の魂魄から来ているものだ。だったらその大本を持っている一護でも同じことができる……と思うぞ」

「『思う』なのか」

「流石にやったことも無いからはっきりとは言えなくてな……」

 

 ほんと、織斑さんに聞けばもっとスパッとわかりそうなんだがそうもいかねえからなぁ。仕事の邪魔すると怖えし。具体的には仕事がもうすぐ終わるって所で血を滾らせた剣八に襲撃されてパンジャン百裂拳(百で止まるとは言ってない)を浴びせてたのを見たときにはどうしようかと。しかもその時の剣八は卍解状態だったからめっちゃ強いはずだってのに真正面から打倒してたしな。

 俺もまあ勝ったが……相手の身体能力が限界を超えているのがわかってたから自滅待ちだったしな。誇れるようなもんじゃねえ。

 

 ともかく、できることをやっていこうと思う。

 

「一護。俺からも頼みがある」

「? どうしたよ」

「俺は、織斑さんからの二度目の修行の時に虚の力を直接貰って倒したんだ。その力で俺の両脚にも完現術を出してるんだが……虚そのものの力がなくなったわけじゃない」

「あー、大体わかった。虚化について教えりゃいいんだな?」

「頼む」

「俺は別にいいけどよ。場所がねえだろ」

「井上に頼む。井上のあの盾は優秀だからな」

「そうか。……井上がいいって言ってくれたらでいいか?」

「もちろんだ」

 

 ……まあ、井上がいいって言ってくれたとしても場所の問題はついて回るんだけどな。いくら直せるっつっても必要以上に壊して回るのは避けたいが、いい場所なんて早々あるもんじゃない。浦原さんに頼んで地下の勉強部屋でも使わせてもらえればいいんだが……行けるか?

 あー、織斑さんの所の修行場は本当に恵まれてたんだな。どんだけ暴れまわろうが全く問題なかった上に、死にかけてもすぐに回復させてもらえた。あの回復は尸魂界にある夜一さんと浦原さんの秘密の修行場だった場所に湧いてた温泉以上だ。マジで恵まれていた。

 まあないものねだりをしても仕方ないから今できる範囲でやらなければいけない。今できる範囲と言うと、結局チャドと井上が一回目に教えてもらったことを聞いて覚えるくらいしかないんだが……それに合わせて身体も鍛えようか。完現術は生身で使うことが多いらしいから必要になるだろうしな。

 ……ちなみに生身で使うことが多い理由は、思い入れのあるようなものが霊子なら魂魄の状態でも使えるんだが、普通に考えて現世生まれ現世育ちの俺の大事な物と言ったら霊子じゃないだろうからな。チャドみたいに肌が媒介になったりするんだったらどこでも使えるんだろうが、俺の場合大事な物、あるいはずっと持ってたような物ってのはちょっと想像がつかねえんだよな。マジで。

 

 俺の大事なもの、か。ちょっと本気で探してみるか。今までそんなに物に固執したことがねえし、見つかるかどうかはあやしいもんだけどな。

 無かったら……そうだな、作るか。思い入れを。

 それっぽいものを自作して、それっぽく自分自身に思い込ませればいい。完現術が物の魂を引き出す術だと言うならば、俺が魂を込めて作った物であれば結構簡単に呼び起せるんじゃないかと思う。

 

『お前馬鹿じゃねえのか? あんだろ、お前自身が作り上げ、お前と常に共に在り、お前が思い入れているものが』

 ……すまん、マジでわかんねえ。何の話だ?

『俺だよ。正確には斬月か』

 …………ああ、なるほど。確かに。

 そうだ、普通の死神は名前も知らない誰かの作った浅打と言う斬魄刀に自身の霊力を与えて変質させることで斬魄刀を作り上げる。だが俺の場合は俺自身の力が斬魄刀の形をとっている。その時点で俺の斬魄刀である斬月は間違いなく俺の作りだしたものだし、斬月がいれば大体の困難は乗り切れるし、愛剣としてもかなり重要な立ち位置になっていた。

 それが思い入れになるんだったら、確かに斬月は完現術の媒体として相応しいかもしれねえな。

 だが、一応聞くんだが大丈夫なのか? 斬月を完現術の対象にしたらお前が増えたとか流石に困るぞ。

『チャドは自分の皮膚と言う自分自身を対処にしてんだから、お前自身である俺をお前が完現術の対象にしても不具合は出ないと思うぞ』

 

 ……今度時間があったらやってみようか。

 




Q.斬月を完現術の対象にとか……どうなんの?
A.さあ? そもそもできるのかどうか。

Q.斬月に完現術をかけた結果パンジャンに関わることにはなりますか?
A.はっきり言っておきますがありえないので安心してください。

本編完結後にこの話の外伝的な物を書こうかなと思うのですが、大雑把な内容をアンケートします。なお、ちくわ大明神が頑張ることでこれらの話は実現されますので無理だろとか思わないで大丈夫です。

  • 原作世界に一護達in
  • 事前に見えざる帝国滅ぼしてなかった世界
  • 尸魂界でP1グランプリ開催
  • 虚圏でP1グランプリ開催
  • 全部やろうか(マジキチスマイル)

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