短編でも2位を貰っていましたね、ありがたいことです。引き続き応援いただければ幸いです。
――――――――オリジナル1位? 日刊6位? はうあっっっ!!!(1D100)
ところでこの小説はですね、書いてて面白いと思うので面白いに違いない。全世界70億人いるんですから、私が超面白いものを超面白いと言ってくれるソウルメイトはまあ1万人くらい居て当然かと。
友人との会話は現在、この小説のイケメンに対して「夢女になる」が二割ほど占めてますね。途方もなく残念、とほだけに。
何でもないです。始めましょうか。
”でも、僕らにお金を稼げそうな能力はないね”
出ていって五日、ヨセフカの用意した宿で考える。
幸い隣に街があったから生活品は整えられたのだが、消費するだけではどうしようもない。減るばかりの金貨を眺める日々はかなり侘しい。
僕は現代人だ。知っている稼ぎ方は情報を利用するものばかりで、中世ではどう稼ぐのが効率がいいのかもわからない。
言えているのはRPGみたいに道端の魔物はお金を落とさないし、というか今の所魔物とか見たこと無いし、道すがらの慈善事業じゃ腹は満たせぬという事実。
ヨセフカと出会ったのは連れ去ったすぐ後の事で、暴漢に絡まれてあっけらかんとしていた彼女を助けたら割と良くしてもらえたのが事の発端。
「金品は稼ぐものではなく、持ってきてもらえば良いのですよ」
”持ってきてもらう?”
「私は現在、物の流通の管理をする組織の先触れを手にしています。貴方がたにはぜひ、この調達の担当をしてもらいたいのです」
これが英雄らしくない稼ぎの始まりだった。
”にしても、具体的な商売が分からないと怖い。僕は良いけど、僕が守るべき人間に被害が行っちゃ僕は死んじゃうから”
「なるほど、では私を理解してもらうのが早い。でしょうか?」
”正解。商売人は簡潔にしようとしてくれて助かるよ”
バハクとヴァールは二人で街に買い物に出てもらった。ヨセフカは一目見て分かるが、人を騙せる。そしてそこに関して嘘を特段含まない。
目を見ればわかるなんて言わないけど、彼女は人となりを知ってから僕の友人とは付き合って欲しいという、まあちょっとした過保護だ。
「私の商売…………金銭を稼ぐことだけを考えた場合の行動、でよろしいですか?」
”そうだよ。まどろっこしい聞き方だね”
ヨセフカが少しだけ眉を曲げる、困っているような気がした。
「あの、皆さんよく私が商売をしていると仰るのですが…………私は特定の方に利益を与えて、代わりに少しばかりの利益を徴収しているだけです。正当な対価であってあまり利益を追求はしておりませんし、何より金銭に興味がなくて」
”そうか、それは何というか失礼だったね。じゃあ貴女はどうやってお金を引っ張ってくるんだい?”
「そうですね、家を追われた直後のお話なら。肥料を売りました」
”肥料?
「はい、ちょっとした魔法の肥料です。粗悪なものを、貧しい方でも買える廉価で。最初は信じてもらえませんでしたから、すぐ隣の小屋に住んで。同じ土地で。肥料だけを変えて。同じ農作業で収穫の効率を証明しました」
”えらく地道な方法だ”
それだけ聞くと、僕の目の前にいる怜悧な瞳の淑女はまるでイメージに合わない。印象操作でも狙ってるのかな。
「それで信じてもらったので売りました。当然私も生活があるので、質と値段を少しばかり上げながら、毎月定量を購入してもらう形を提案し、勿論お互いの了承のもとに続けていきます」
「けれど私はそれだけでは事をなすに足りないので、段々と値段はそのまま、粗悪なものを送りつけることも有りましたね」
”え、いきなり悪人だ”
「すると不思議な事と言いますか…………私が肥料の質を変えただけなのに、その収穫量の増え方を「自分の腕」だと思うようで。伸び方が頭打ちすると、どうやら「自分の腕の過失」と取ったらしいのです。全くそういうわけではないのですが…………」
”な、なるほど。
「だからもう少しだけ、方法をお教えしました。高くても買いたいと仰るので、高めで」
”え、えぐい…………”
「繰り返したらお金が集まりますから、それで組織を組み立ててみただけ。これでおしまいです」
”いや待て、めちゃくちゃヤバイ人じゃないか!?”
彼女の商売のからくりはこうだ。
まずは妙な肥料を売りつける。これは貧しい農家を狙う、そして毎月定量で、買える値段で売りつける。
ちょっとずつ、肥料の質と値段を上げていく。キモは「肥料の質」について語らず、「自分の利益のためにやっている」と言って、まあつまりそれっぽいことを言って肥料の質という観点からピントをずらす。
でも収穫量はどんどん増えるから、そのうち農家の人は「扱い慣れた」と思う。でも、粗悪なものになった瞬間伸び悩むわけで、そこで「まだ秘密がある」と勝手に疑う事になる。だって商品の質は目の前で証明されたから、さんざんピントをずらされたせいで肥料の質が違うとは予想しにくい。
だから実際、効率のいい運用方法という名の「安心」を売りつける。
悪魔だ、しかもその後も肥料の代金は取り続ける。
ポイントは嘘なんかついてないし、彼女はどう転んでも得する点。
富って凄く誘惑として強い。一度そんな「買うだけのこと」で儲けてしまうと、手放すが怖くなる。
そこにつけ込んで、ちょーっとずつ利益をかっさらう。そして相手を勝手に勘違いさせて、何故か「商品」を疑わせない形の不安を煽る。
そして商品じゃなければ、問題は自分だ。自分への疑念を取り除くために、彼女は「安心」を売りつける。
しかもこれ、肥料について周りに喧伝したとしても、その人が独り占めしたとしても利益はだいたい同じにできるってこと。
喧伝したなら皆から平等にいっぱい取れるし、だから「安心」の値段は一人分しか取れなくても問題がない。
独り占めする人は、躍起になるからどれの値段を上げても買っちゃう。多分僕もそうなる。
「まあそうですね」
”そうですねじゃなくないか!? ちょっと僕びっくりしたよ!”
何が言いたいのか分からない、と言った様子で項垂れるヨセフカ。背丈は僕よりも高くて細い人なのだが、仕草が一々子供みたいで正直困惑する。
ケープをかさんだ撫で肩が少しだけ落ちる。
「そう言われても私は分かりません」
「肥料を買ってくださる方は幸せそうですし、何より不安を一つ取り除くと、それは三つの不安を打ち消せる安心感になり得ます。何ら、誰にも顔向けできないことはしていないと思うのですが…………」
全く反論はできない。実際詐欺師というわけでもないし、貧しい農家は助かった。
そして言うなら、貧しかった人間が富を手にした時、バラ撒かれるか死守するの二択。最も貢献した彼女自身に上手く還元される確率は残念ながら低くて、少しばかり悪さをしても責められないのも事実だ。
しかし、天然で詐欺が出来そうだなとは思う。信用を得る手段も多分慣れてるだろうし、まあ怖いのは残念ながら変わらない。
ただ、こういうタイプは分かりやすい所もある。
”じゃあ、僕らに流通を頼む理由をはっきりさせてくれたら受ける”
「先程と何だか雰囲気が違う話ですが、何故ですか」
”貴女はお金が欲しいからお金を得る手段として最適解を選んだ。つまり僕らを使う明確な理由を知っていれば、僕らが損をしたり知らぬ間にとんでもないことをさせられる確率は低い”
誠実さは偽物ではなさそうだ。
彼女は事実、資産を蓄えたいだけなのに嘘はない。資産を蓄えるなら恨みは買う必要がないし、恨みというやつは悪評になって最後に自分を蹴っ躓かせる要因になる。
目的以外に興味がないなら、僕らをわざわざどうこうする意味がない。ただのお金もない貧乏旅人だし。「わざわざ騙しても益はない」と彼女は理解できる人間だ。
「私は今の所、この街に近い場所の方との契約が多いのですが、足を広げたいのです」
「ですが高名な方に頼れば目立ちますし、私がギルドの長だと知られてしまうと要らぬ警戒心を与えます。無名な貴方達は、私にとってとても良い隠れ蓑と言える」
”決まりだ。貴女を歓迎しよう、ヨセフカ・ヴェーリオ”
嘘はついてないと見た。いや正確には、「パッと聞いた感じそれは合理的だし、他の目的ならアプローチを変えてくる人柄」と確信ができる。彼女は、最高効率でないことは恐らく”出来ない”。
最高効率であることと言えるなら、その言葉通りの内容が妥当だ。そして彼女は嘘もつかないと見える。直感だけど、直感は大事だ。チート持ちだからね。
ヨセフカが表情こそ変えなかったものの、明らかに焦ったような文面を喋る。
「私は構いませんが、答えは急ぎませんよ。ゆっくり考えるということも必要かもしれませんから」
”いいや決まりだ、ただし。彼女はあまり利用しないであげて欲しい”
「彼女…………えっと。その」
ヨセフカが突然唸ると、額に手を当てて考え込む。
そんな彼女って利用価値があるかな。いやAPP18的な意味では使い道があるだろうけど、それならヨセフカだって相当顔立ちは整ってる。
いやタイプがどっちかによって使い分ける気? まあ出来なくはないけど、彼女には交渉の「こ」もない素人だし、性格的に交渉は嫌いだ。
なんてグルグル思考を巡らせていると、漸く彼女の唇が少し動いた。
「ガ、ガールさんでしたっけ」
”間違ってはないけど名前じゃないよそれ。ヴァール、ヴァール・エミリアル”
ガールって年齢だけどさ。
もしかして、彼女名前を覚えるのが超苦手だったり? いやいやまさかね、商売人がそれは致命的だ。
い、一応聞いてみようかな? 興味本位だ、失礼だったら謝れば良い。
”僕の名前は?”
「…………アル◯ォンス・エルリック?」
”それアル違いだよ”
「そうなのですか」
”そうなのですねえ”
彼も渾名はアルだけどさ。僕は錬成できないし、鎧の中身が空だったりもしないんだよね、残念ながら。
”僕はアールゴーン・ラドヴィルク。ちなみにあの軽い騎士はバハク”
「分かりました…………申し訳ありません。人の名前というのは何だか呪文のようで」
まあ、苦手なものくらい誰でもあるよね。僕だって剣が苦手だった。
”で、そのバハクは好きにしていいよ。護衛なり、名前を覚えてもらう手帳代わりなり良いように使ってあげてね”
「分かりました。言ったからには本当に乱暴に扱いますが、問題ありませんか?」
”まあ良いや、彼ならどんな環境でも生きていけるさ。たんぽぽみたいな人だから”
「アールゴーン、お前さん派手だぜやっぱ。大人しいふりしてるが大胆すぎるだろ」
”そうかい? まあ、取り敢えずアルで良いよ。名前長いしね”
んじゃ遠慮なくそうするわ、と笑顔で返すバハク。彼は旅をする過程で気づいたが、すっごい単純で、っていうか単純なのが凄く良い。考え込めばいいってものじゃないからさ。
馬車まで用意してくれるとは驚きだけど、まあ貰えるものを貰って損もない。馬は幸いバハクに懐いたそうなので、安心して乗れそうだ。
ところで宿から出た時、やたらと僕の後ろに目を引く人がいっぱい居た気がする。男だったかな。ヨセフカは確かに美人で間違いないにしても、見慣れた美人に今更動じるものなんだろうか。
”それじゃあ、ヨセフカ。先に乗ってください”
「ご丁寧に。失礼します」
軽く礼をされたが、僕より身長が高いという事実に打ちひしがれる。男は女性より背が高くないといけないんだよ…………いやつまんない価値観なんだけどさ、でも僕はそう思うね。
静かな動作で馬車に乗り込んだ彼女は良いとして、問題はこの何だか機嫌の悪いお嬢さんだ。
”何”
「私と随分対応違うのね」
”彼女は出資者だ、普通だよね?”
「むむむ…………」
それを現実に言う輩が居るとは。むむむって、それを発音するのはちょっと恥ずかしくないんだろうか。
実際問題、彼女は要人でもある。中世ベースに見えるこの世界では、この辺り一帯の肥料を管理しているだけでも中々影響力のある人物だ。粗末に扱うのはよろしいことじゃない、あんまり怒らないとは思うけど。
それに比べて僕らときたら何だ。チートで調子乗ってたバカ息子、攫われてきた一文無しのお嬢、よく分からない騎士かぶれ。対応は絶対変わるとしか言いようがない。社会性というものだ。
”早く乗りなよ。ヨセフカさんが困ってる”
「…………アレ、困ってる顔なの」
”多分”
表情薄いから分かりにくいけど、背筋の曲がり具合的に困ってる感じがする。
じーっとヴァールを見つめ始めた。何だろ、なんて言えば良いんだろう。ベランダに居たアマガエルがこっちを見てる時のような言いようのない感覚。あの人明らかに商売出来る人だから警戒するべきなんだけど、誇張なしでそういうの意味がない人にも見えちゃうんだよなあ。
ちょっと端の方に寄った。体格にコンプレックスありと…………アリだな。
手の甲を抓まれた!
”イッタァイ!?”
「デレデレしすぎよ」
”というか早く乗ろうよ”
突然面倒くさくなってきた。
何時まで経っても乗り込む様子もないので、先に乗って手を差し出す。何だ、これぐらい丁重に扱えば満足なのかこの子。全く分からん、これでも中身が実質中年なものでしてね、若い子の「でぃまんど」に素早く「れすぽんす」出来るほど器用じゃないんだけどな。
急にそわそわとし始めたものの、一応手は乗せてきたのでスキ有りと判定。無理やり引きずり込んだ。こっちに倒れ込みそうになったが僕はチート持ちなので当然のようにヨセフカの横に綺麗に座らせる華麗なアクションを達成してしまうわけですね。
「…………バハクさん。彼らはその、もしかしてですが。馬鹿ですか?」
「正解ですぜ、ヨセフカさん。コイツラは馬鹿だ、踏まえてもらわないと駄目ですよそこら辺」
”失礼だな!?”
「成る程、ラドヴィルク様は意外と弱点の多い方。と」
「そうね。はっきり言って馬鹿だと思ってるわ」
”うーん女子トークでさらりと僕をディスらないで欲しいなあ!?”
現代語を使いすぎて上手く伝わらなかったらしく、二人にキョトンとした顔で見つめられた。適当にごまかすのも一苦労だったりする。
馬車に揺られてる間は単純に暇だ。僕はそこらで買い寄せた鎧を着込んだまま馬車に揺られるので熱いとか、気持ち悪いとかそんな事を考えているので問題ないが、女性二人、馬車内、何も起きないはずがなく…………。
バハクも時々僕に追撃をかましてくるのでとてもアウェー。誰か、へるぷみー。
「そう言えばヴェーリオさん、貴女はどうしてお金が欲しいの? それ、単純に気になるわ」
「お、俺も聞くに聞けなかったやつじゃん。是非ともお聞かせ願いたいもんだ」
コイツラ容赦なくグイグイ聞いちゃうじゃん…………これが中世人のスタンダードって奴なのかな。僕は何となく末恐ろしいと思って聞くに聞かなかった内容なんだけど。
うわヴァールの顔が凄く興味津々、この歳でこんな興味に満ち溢れた顔で質問が出来るのは凄い。僕意外と仏頂面ってよく言われるし、なんか尚更羨ましい。
便乗しよ。
”…………僕も興味が「そうですね、私の身分を明かせば多少は分かってもらえるかもしれません」
うーんヨセフカさん喋るタイミング絶妙!
諦めよ、もう良いよ僕はそれで…………。
人知れず心だけがノックアウトされている僕は差し置いて、ヨセフカが喋り始める。
「私は魔術師の家系を追われたものです」
「えっ」
「なにっ?」
”うそん”
いや確かにさっきから”変な気配”はしてたんだけど、あんまりにもドンピシャ過ぎないかい。
明らかにざわつく馬車内でも、特にヨセフカが僕をじーっと見つめてくる。何だろう、前世で子供の頃によく見かけた動かない鷺に見つめられたときのアレを感じる。どうでも良いけど彼ら、超マイペースだよね。時々車が来てものそのそ歩いて轢かれてた、マイペースどころの騒ぎじゃないね。
まあこの感覚は正確には何と言うんだろうな、要するに何考えてるのか全然分かんないや。
ヴァール、恩返しだと思って助けてよ…………いや彼女には無理か。
「ラドヴァルク様」
”ラドヴィルク”
「ラドヴィルク様」
”うん、話を切ってごめん”
「貴方様には、先程私が何で金銭を得たかについてお話した気がするのですが」
ああ、うん成る程ね。
”僕は魔法の粉みたいな雰囲気で言うところの魔法の肥料かと思ってた。本当に魔法絡みの肥料だったんだね”
「はい。私は魔術の才がなく、道具を作ることに傾倒してきた身です。その一環として、それを誰かに売るということを思いつきました」
これは中々画期的な事だと言っていい。
魔術師は基本閉鎖的で、あまり富に頓着がない。何せやることがやることだから一般市民には忌避されがちだし、同様に彼女たちも関わるのを嫌がる。
やっぱり自分を理解してくれない人にわざわざ歩み寄ろうなんて中々思えないんだろう。だから僕らは「魔術師」は知ってるけど、それがどんなものかだとか、何処に居るかだとかはさっぱり。存在することしか知らない。
一応差別も有るらしいけど、まあそれは教会がすっごく根強く関わってる地域だけで、僕らはそこらへん本当にガバガバだ。
「えっ、本物なの? 魔法使い?」
「私は魔術の類は殆ど。しかし手法は学びましたから、それを利用した小道具の扱いにはある程度の強みがあるかもしれません」
「本物じゃない! 光栄だわ、本の中だけだと思ってたもの!」
ヴァールがはしゃいでヨセフカの手を握る。二人共凄く手が白くて、何だか馬車に乗せて正解だ。日に当たったら赤くなって痛がりそうなくらいに真っ白じゃないか。
食いつきのいい少女に困惑するヨセフカを余所に、すぐ隣で馬車を引くバハクがケタケタ笑ってこちらに喋りかけてくる。
「今更だけどアル、お前美人さんばっか連れてきたな。何だ、意外とそういう趣味なのかよ」
”馬鹿言わないでくれよ、バハク。君がかなり阿呆だってことは僕も把握したから、君はこれからヨセフカにこき使われることになってる。精々変な冗談は今のうちに言っておくんだね”
「お前、時々笑えるほど理不尽なのな…………」
英雄様は慈善事業じゃないんだぜ、バハク。
「ねえアル、今回は此処で何するの?」
”何って言うか、何だろ。良い家の条件でも見つめ直すかい?”
馬車から降りて数十分。僕とヴァールは辺りの民家なり畜産なりを見て回っていた。
何でもヨセフカ曰く「鎧を着込んだ方が二人も居ると少々威圧的」とのことで、しかし殊更に脱ぐ気にもならない僕は分かれるというのが適切だ。どうやらヴァールはヨセフカの話を聞きたかったようだけど、僕が一人で彷徨くと言うなり、無言で手を引っ張って連れて行けというオーラを出すのでまあ連れてきてる。
”今はヨセフカの目的に付き合いつつ、地盤固めの時期だからね。本当は彼女のマネジメントスキルも伺いたい所だけど…………”
「ま、まねじめんと? すきる?」
幾ら彼女が否定しようと、そのやり方は中々に上等なものだ。騙しているとは言わないけど、上手い商売をしていると第三者目線からは断言して大丈夫そうだ。
旅っていうのはただ漠然と日銭を稼げば良いわけじゃない。集団で何かをする以上は企業と同じで、ある一定の経営管理というものはしなくちゃいけないだろう。
先輩の腕前を見て覚えてしまうのが速かったはずで。正直、バハクに任せたのは失敗だったかもしれない。
ヴァールが不安そうな顔で僕を見つめてくる。
「その、”まねじめんとすきる”って何?」
”ん? あ~そっか、えっとね。簡単に言うと集団と、その集団が持ってる資源の扱い方の能力”
「じゃあそう言ってよ! 何だかアルって急に変な言い方するから怖いわ!」
怖いって言われましても。むしろ僕ら世代的にはマネジメントスキルを「経営管理」とか言う方が分かりにくいもので。
いきなり片手をバカスカ叩かれる。所詮は非力な女性の力なので痛いとかではないんだけど、なんだろう。悲しいよね、こういうの。
”痛いんだけど、何”
「もっと私に分かるように喋ってちょうだい!」
”ポロっと出たぐらいお許しくださいよーお姫様ー”
「いや!」
何だ、女の癇癪か? うちの家では見たことなかったから面倒くさいねこれ。
無視してそそくさと逃げるように早足で歩いてみると、駆け寄ってくる音と共に兜のトサカを思いっきり引っ張られる。
”うおっ!? つんのめる、っていうか首痛める!? 辞めてよ!”
「私の知らないところに行かないで」
か細い声に流石に僕も立ち止まった。
ヴァールは性格がそうなのか、それとも僕にからかわれるのが嫌いなのかはともかく、あんまり弱気になったりすることはない。
というか、今初めて聞いた。立ち止まったと言うか、白状すると今のは惚けてた。
今喋ったのは誰だろうって。
混乱しながら彼女の顔を覗き込もうとしたが、逃げられて顔が合わせられない。なにかしたかな。
”そ、そんなトサカ好きなの? いや首が痛くならない範囲なら引っ張っても…………”
「そうじゃないわ。アル、すぐどっか行っちゃいそう」
何処へ?
疑問はもう口をついて出ていた、返事は震え声。
「何処かに行くなら、ちゃんと私も連れてって」
”…………? そりゃそうでしょ、うん”
「絶対によ?」
”え? 分かった、いや…………ん?”
別に置いてく気無いんだけど。何を言ってるんだ?
とうとう啜り泣くような声がしてきたのでいよいよどうすれば良いのか分からなくなる。
え、どうしよ。取り敢えず謝る? と言っても何が悪かったのか全然分かんないや、え、ほんとどうしよこれ。
”わ、悪かったって。どうしたら良いの? ヴァールの言いたいことが分からないよ”
「…………手」
握れば良いのかな。
わからないけど、まあそういうならそうしておこう。どうすれば良いのかさっぱりだ、というかこの年で手をつなぐのか。いや良いんだけど。
差し出してきた手を握ると、手甲越しに痛いぐらい握りしめられる。
”イタイ、イタイよ! ご容赦を!”
「ダメよ、離すのも禁止!」
”嘘だろ!?”
ヨセフカは良い人です。基本的には。
子孫も物語の便利屋で、一話の冒頭で言いました作品で取り扱っているので、よければどうぞ。
後は…………見た目のイメージみたいなの
アールゴーン…アルトリウス
ヴァール…カゲプロのマリー
バハク…アストラの上級騎士
ヨセフカ…ブラボの人形
です。良ければご査収ください。
アールゴーンのチートは運動センスと直感、理解力です。
運動センスはそのまま、直感は自分にとって良いもの悪いものが人より敏い、理解力は物事に対してですね。自分には適応されません。
モデルがモデルなので今でもかなり大柄ですが、今後更に大柄になります。ちなみにヨセフカは現状の彼より背が高い。
意地悪なので完成していますが続きは後日投稿します。高度な焦らしプレイ。
あ、どうでも良い事ですが私は高尚なキャラではないので、どんどん感想をください。貴方のCPシチュを私は待っています。
誰が好きですか?
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アールゴーン
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ヴァール
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バハク
-
ヨセフカ
-
ヴィンストラム