Fate/Zero ───in Evolution 作:よこちょ
では、エボルトの暗躍第1話目、どうぞ!
日本にある冬木市。
別段他の街と変わった名所があるわけでもなく、どこにでもある普通の街。普通に生活する分には別に大したことも無い、平凡な街だ。
────そう。普通に生活する分には 、だ。
この街には、ある秘密がある。しかも、普通じゃ考えられないようなのがな。
その名も、「聖杯戦争」。魔術師同士の殺し合い。
過去に名を上げた聖人や戦士、作家、はたまた物語の英雄までを術式を通して「マスター」が呼び出し、「サーヴァント」としてこの世に現界させ、そいつら同士が戦う上、魔術師同士が殺し合う。そして、生き残った最後の1人だけが万能の願望器である「聖杯」を手に入れ、どんな願いでも叶えることが出来る…………といった儀式が行われる。
この儀式は俺──「間桐雁夜」が籍を置いている「間桐家
」、「アインツベルン家」、そして「遠坂家」の三家が協力して作り上げたものらしい。最も、それは200年以上前の話らしいがな。
そして、「始まりの御三家」と呼ばれる内の一角である間桐家、その子供であるこの俺もそのマスターの権限を持っている人の1人であった。
「さて、準備はいいかのう?雁夜。」
その雁夜の前で笑ういけ好かなくも不気味な老人、「間桐臓硯」。
俺の祖父でもある彼はこの家の主でもあり、何百年もの間生き続けている、いわば狂人であった。生にしがみつくその妄執は凄まじく、こうして目の前に立っているだけでも足が竦む。
俺はそんな男を前にし、突貫工事で鍛えた魔術師の身体をフラフラしながらもなんとか立たせていた。
「あぁ。いつでもできるさ。」
俺は今から、「バーサーカー」のクラスのサーヴァントを召喚しようとしている。
今は強がってはいるが、正直言うと今でもキツい。今からサーヴァントを呼ぶとなれば、最悪気絶する可能性だってある。
しかも俺自身に魔力は少ない分、戦うにはサーヴァントに「狂化」を付与して強化し、無理やりにでも戦力を上げておかないといけないという苦肉の策であった。そのせいで余計に魔力を食われる。この聖杯戦争中持ってくれるといいんだが………。無論、そこには臓硯の自虐的な趣味も含まれていることも見抜いてはいるがな。
クソっ、忌々しいやつだ!
「では、召喚するといい。貴様のサーヴァントをな。」
ニヤニヤと笑いながら後ろへ下がる臓硯を後目に、目の前に敷設された魔法陣の前に立つ。
そして、サーヴァントを召喚するための文言を唱え始めた。
左手を前に出し、魔法陣へと手をかざす。
それに応じて令呪が輝き、俺の身体から少なくない魔力が持っていかれる。それを補おうと体内の刻印虫が血肉を喰らい、暴れる。
血を吐き、霞む目を必死に開き、文言を唱え続ける。
魔力が回り、魔法陣は廻る。
バチバチと紫電が爆ぜ、薄暗い蟲蔵をいっそ神秘的なまでに照らし続ける。
そして、魔法陣に集まっていた魔力がある時を境に形を造り、人の形を取った。
「おぉ………これは………!」
後ろの臓硯も思わず声を上げているが、正直殆ど耳に入っていない。
薄ぼんやりとした視線の先には、さっき現界したばかりの人型が蠢いていた。
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ここで、少し別の話をしよう。
本来の世界線に置いて、彼が召喚するハズだったバーサーカーは、「ランスロット」。
円卓の騎士に名を連ねる剣士の1人であり、その冴え渡るような剣技は、他を圧倒するほどの凄腕であった。
そして、此度の召喚でも無事に召喚される─────
───はずであった。
これが正しい歴史であれば。
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「ふぅ………やれやれ。ようやく満足に動けるようになれたな………………。」
魔法陣から現れた人型は、円卓の騎士とかそういった高尚な類のものではなかった。
真っ白なシャツにベージュ色の上着。柔らかな印象を与えるソフトハットに、オシャレなサングラス。脇に不思議な箱を抱えた上、どこからともなくコーヒーの香りを思わせるその男は…………どうみても一般人だった。
しかも、狂化されているはずなのに言語を喋る所からして、そもそもバーサーカーすらも怪しかった。よもや失敗か…………?
そうも思ったが。だが、その佇まいは歴戦の戦士のそれであり、いくつもの戦いを経たことは容易に想像出来る風格を持っていた。
そして、その何もかもが怪しい男は、ゆっくりと周りを見渡し、ふわっと人の良さそうな笑顔を顔に貼り付け、流暢に自己紹介を始めた。
「Bonjour!お二人さん。俺の名前は『石動惣一』ってんだ。よろしく頼むぜ?マスター!」
彼の名は、「石動惣一」。
かつて別の世界において暗躍し、地球を破壊しようと目論んだ悪の存在であった。
「よろしく頼むぜ?ホントによぉ〜。」
そしてサングラスを上にあげ、高らかに笑いあげた。
次の話はエボルトについての詳細とか、色々設定とかを上げます。