Fate/Zero ───in Evolution   作:よこちょ

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予想外に反応が多かったので投稿したいと思います。みんなエボルトのこと好きすぎない………?
今回はバーサーカー陣営がお話してるだけなので、会話多めですのでご了承を。後書きのとこにエボルトの詳細乗っけときます。
では、本編どうぞ!


バーサーカーの目標〈ターゲット〉

「よろしく頼むぜ?マスター!」

 

目の前の男──「石動惣一」は片手をあげ、気さくに挨拶をしてくる。

そのフランクな様子は、今からの聖杯戦争を勝ち抜こうと意気込み、必死にやってきた自分を否定されたような感覚を与え、雁夜神経を逆撫でした。

 

「お前っ………!」

 

その激情に身を流され、胸ぐらを掴む。

雁夜の心中にはこれからの戦いにおける不安やサーヴァントに対しての不満、そしてなにより焦りが綯い交ぜになっていた。

 

「ちょ、悪かった。悪かったから!とりあえず手ぇ離してくれよ!せっかくの一張羅がシワになっちまうだろうが!」

 

対する石動はその剣幕をサラリと受け流し、その上で上着の心配までする始末。

さして応えた様子もなく、シワになりかけたシャツを必死に整えている姿に毒気を抜かれた雁夜は、疲れがどっと押し寄せ、その場にへたり込む。

 

「…………はぁ。最悪だ……………!」

 

自分の魔力もなく、魔術も貧弱。おまけに扱うサーヴァントは最底辺という始末だ。

今までの苦労が倍になって一気に来たような感覚に陥った気がし、これから先を危ぶんでいた。

 

「ったく。そんな顔すんなって、マスター。これからの方針でも話すとしようぜ?」

 

「お前が原因なんだよ…………」

 

早くも胃のあたりがキリキリと嫌な痛みが上がる雁夜は、蟲蔵を出る。後ろを追従する石動は物珍しそうな様子で辺りをキョロキョロと見渡しているが、特に面白いものもなかったのかいつの間にか普通の様子に戻っていた。

臓硯は興味を無くしたのか、いつの間にか闇へと消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、だ。お前の真名は把握してるんだが…………そのほかのことを教えてくれ。でないと戦略の立てようが無い。」

 

「…………先に言っておくべきことがある。」

 

雁夜は自室へと移動し、戦力の把握を始める。

しかし、深刻そうな表情をした石動の口から出た言葉は─────謝罪だった。

 

「……………スマン!実は俺、ちゃんとしたサーヴァントじゃないんだよ!」

 

「……………はい?」

 

思わず聞き返す雁夜。

 

「ちゃんとしたサーヴァントじゃ…………ない?」

 

「あぁ。正確に言えば、サーヴァントではあるんだが………………半分召喚に成功してないんだよなぁ。」

 

「どういうことだよ」

 

「要は疑似サーヴァントみたいなもんだ。俺は生まれが近代だからよ。ちょっとばっかし霊基が弱いんだよなぁ…………。んで、ちょいとばっかし弱体化してるってわけ。」

 

サーヴァントの弱体化。

更に告げられた最悪の宣告に、思わず頭を抱えた。

 

「安心しろって。そこは俺の生前の経験でなんとかするさ。」

 

「お前の生前って、なにやってたんだよ。」

 

「驚くなよ?………………実は俺、宇宙人で地球侵略に来てたんだよ!」

 

「はぁ!?それ本当かよ!?」

 

「いや、嘘だ。」

 

「嘘かよ。」

 

「本当はカフェのマスターだ。」

 

「余計にダメじゃないか…………」

 

先程から話の主導権を握られっぱなしの雁夜を見て、大声で笑う石動。

雁夜の肩をポンポンと叩きながら、慰めるように撫でる。

 

「まぁそんなにガッカリするなって。これでも俺、強いんだぞ?」

 

「…………信用できねぇな。」

 

「おいおい!そんなこと言われたら俺がウルっときちまうだろうが。俺泣いちゃうぜ?」

 

サングラスを外し、目を抑えてあからさまな泣き真似をする。

その様子をうっとおしそうに見て、いっそ令呪でも使って黙らせようかとも一瞬考えてしまうが、思考を振り払う。

そして次の質問を投げかけようとした瞬間、石動の方から質問をしてきた。

 

「なぁマスター。先に聞いておきたいんだがよ。お前が聖杯に懸ける望みって…………なんだ?」

 

ドキリ、と心臓が跳ねる。

自身が聖杯に懸ける願い。

雁夜は、この間桐家に養子に出され、今もなお蟲蔵で魔術師としての辛い調教を受けている桜を解放する為に聖杯戦争に参加している。

思えば、自分自身が願おうなどとは一切考えておらず、ただ聖杯を求めて戦いに挑もうとしていた。

 

「俺には………望みはない。」

 

そう、言うしかなかった。

魔術を嫌い、家を飛び出し、逃げ出した自分。

そしてその挙句に自分の想い人とその子供のために戻り、自らを嫌いな魔術の道へと堕とした馬鹿な男。

自らをそう考える雁夜にとって、願いなどは最初からあるものではなかったのだ。

 

「…………ひとつ忠告しとくぞ?マスター。」

 

その様子を見た石動は目を細め、険しい表情になる。

 

「願いとか信念とか。そういうのがない人間は…………目標を達成することは出来ない。」

 

「俺が過去に見た人間の中で成功したヤツらは、総じて『夢』とか『希望』とかを持っていた。逆に、半端な覚悟とか信念とかの状態じゃ絶対に成功はしない。これは俺の経験則だ。先人の言うことはよく聞いとけよ?」

 

石動が語る『信念』。

それは一体何をさしているのか……………雁夜にはわからない。

だがこの言葉の重みは、確かに時代を生き、死んでいった者のそれであった。

その『格』の違いに、否応もなく目の前の存在が確かに『英霊』であることを自覚させられる。

思わず背筋が伸びた。

そして、自然と口からこぼれた言葉。

 

「お前の………お前の望みはなんなんだ?」

 

それは、目の前の存在が持つ『信念』。

自分には無いそれを持つ石動に、聞かずにはいられなかったその言葉は、石動に届く。

そして、答えが返ってきた。

 

「俺のの望み、か……………。笑わないで聞いてくれよ?」

 

ごくりと唾を飲む雁夜。

勿体ぶるように間を開けた石動は頭を掻き、恥ずかしそうにこう答えた。

 

「もう一度会いたいんだよ。俺が生前に出会った『正義の味方』に。」

 

それは、少年が持つような夢。

あまりにも純粋すぎて、あまりにもギャップがあったその答えに、思わず吹き出す。

 

「オイオイオイオイ!笑わないでくれって言っただろ!?くっそ、誤魔化しときゃよかったぜ!」

 

「いや、だって………いい歳した男が、正義の味方って………!」

 

「あーもう、いいだろ別に!そんだけ思い入れがあんだよ。『アイツ』には。」

 

ひとしきり笑い終えた雁夜は、心の中に光が灯ったような気がしていた。

目の前のコイツだってこんな純粋な夢を持ってるんだ。だったら───俺だって。

 

 

俺だって願いを持ってもいいんじゃないかな?

 

 

 

そう思える程には心に余裕ができていた。

そして、そう思えるようになった頃には自分の引き当てたサーヴァントがとてつもなく頼もしく見えていた。

 

「改めて名乗らせてもらおう。俺の名は間桐雁夜。俺は────俺の救いたい人を救ってみせる!」

 

「おぉ!いいねぇ〜。その意気だぜ?やっぱ人間はこうでなくっちなァ!では俺も改めて。サーヴァント、バーサーカー。石動惣一だ。よろしく頼むぜ?マスター。いや、雁夜!」

 

「あぁ。こっちこそ!」

 

がっしりと握手を交わす2人。

そこには時代や生死の差はあれど、確かに結ばれた手があった。

今ここに、バーサーカー陣営が完成したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

その夜。

誰もが寝静まっているであろう時間帯。

バーサーカーである石動惣一。

否、エボルトは間桐邸の屋根の上に座り、1人星を眺めていた。

 

「間桐雁夜、か。なかなかに面白い男じゃないか。」

 

片手に『変身煙銃・トランスチームガン』を弄びながら、独り言を呟く。

鈍色に光を受け止めるトランスチームガンはどこまでも暗く、まるでブラックホールのように光を吸い込む。

 

「ハザードレベルは2.1。まだまだ弱いが…………あの時は2.3。中々に見込みがあるじゃないか。」

 

彼がハザードレベルを測ったのは2回。

最初に肩を触った時と、最後の握手。

雁夜は最初ハザードレベルが低かったが、自分の信念、つまり、『感情』によってハザードレベルが上昇していることになる。

 

「俺の半身である万丈ほどじゃぁねぇがな…………。しかし、この『身体』も難儀なもんだなァ。」

 

自分の胸に手を当てながらごちる。

 

(俺の今のハザードレベルは4.5、か…………。ちっ、随分と減っちまったなぁ。)

 

「ま、暫くはブラッドスタークで充分だな。」

 

ニヤリと嫌な笑みを浮かべ、トランスチームガンをしまう。そして変わりに体内から1本のボトルを、思い出したように取り出した。

 

「そうそう。お前にも礼を言っとかなきゃ行けねぇなァ。『バーサーカー』さんよォ?」

 

持ったボトルに刻まれた模様は、正に『狂戦士』。

獣のような風貌に、屈強な腕を持ったレリーフの象られたボトルには今にも溢れそうな程エネルギーが詰まっており、溢れんばかりだ。

それを握りつぶすようにして取り込んだエボルトは勢いを付けて立ち上がり、背伸びをする。

 

「さぁて。身体もあるし………いっちょ奪ってやりますか!聖杯とやらをなァ。」

 

「…………………待ってろよ?『桐生戦兎』。また、お前らと遊べる日を楽しみにしてるぜ?」

 

降り立った蛇は、昏く笑い、今は会えぬ『正義の味方』へと再会を誓った。

 




いやー石動って良い奴ですね(白々しい)。
これぞまさに英雄。(鬼畜)
では、次回から本格的にエボルトの暗躍が始まりますので、よろしくお願い致します。
では次回の投稿まで!



以下、エボルトの詳細

バーサーカー

真名;石動惣一/エボルト

属性;悪/混沌

かつて地球を破壊しようと目論んだ巨悪の存在。
本来召喚されるはずだったバーサーカーに成り代わって出現した。
人類悪に匹敵する程の悪性を秘めた彼は、本来ならばサーヴァント足りえぬ程の霊基しか持ち合わせないはずであり、英霊の座にも登録されないはずだった。
だが、なんのイレギュラーか彼は第四次聖杯戦争へと姿を顕す。


スキル

対魔力(×)
魔術に対する耐性。
科学しか無い世界にいた彼には大した対魔力は存在しないが、

狂化(E-)
バーサーカーの基本スキル。
彼自身が不完全な召喚に故か、狂化はほぼかかっていない。

単独行動B-
マスターを失っても活動できるスキル。
本来はアーチャーのクラススキルであるが、生前単独行動の多かった彼は所持している。

扇動A+
軍略とは似て非なるスキル。
彼は生前、3つにわかれた国でそれぞれ扇動を繰り返し、戦争に引き金を引いた。
故に、彼はこのスキル所持する。

単独顕現EX
本来は獣の権能を表すスキル。
彼自身は人類悪ではないが、なぜか彼は所持している。
これが表すこととは………?





宝具


「今は開かぬ滅亡の匣」(パンドラボックス)

彼が常時保持している、立方体状の箱。
だが、中身は空であり、フルボトルは1本もハマっていない上、彼自身「バットロストボトル」のみしか持っていない。故に現状はただの箱であり、殴ったら痛いくいの効果しか持っていない。
…………………そう。ボトルが存在しない今は。


「変身煙銃」〈トランスチームガン〉

彼愛用の武器兼ブラッドスタークへの変身に用いるデバイス。スチームブレードもセット。
彼はこの聖杯戦争において、この力を使って暗躍を始める。


「破壊の腰巻」(エボルドライバー)

彼を彼足らしめている破壊の塊。星狩り族として彼が破壊に用いていたドライバー。
これを使えばあらゆる惑星を一瞬にして破壊する程の力を手に入れることが出来る。
また、「コブラエボルボトル」、「ライダーシステムエボルボトル」、「エボルトリガー」も所持しているが、ハザードレベルが足りないため、使用はできない。
これを持っていることは誰にも話していないため、実質的なジョーカーとなり得る存在でもある。
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