Fate/Zero ───in Evolution   作:よこちょ

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どうも、よこちょです。
言い忘れていましたが、石動ことエボルトは霊体化ができません。理由は不完全な召喚のせいだと思っておいてください。
さて、今回までは間桐家でのお話です。
次回からは本格的に聖杯戦争の中身へと入って行きますので、楽しみにしておいてください。
では、第3話をどうぞ!


戦闘前のMeeting

「遠坂時臣に言峰綺礼、衛宮切嗣にウェイバー・ベルベット、か。色んなマスターが居るもんだねぇ。」

 

時は夜。

コーヒーをすすり、のんびりとくつろぎながらレポートのような紙を見ているのは、バーサーカーの石動。

その紙には、臓硯から提供された現在わかるだけのマスターの情報が書かれていた。

経歴を見ると、これでこそ聖杯戦争と言うべきか。一般人からすると全く馴染みのない仕事ばかりが並んでおり、石動の心を踊らせた。

最も、彼が関心を寄せているのはその職業の特異性ではない。

 

(こいつらのハザードレベルはどれくらいなのか。そいつを調べてみたいもんだがねぇ………)

 

関心事項は、「ハザードレベル」。

彼がいくら星々を渡り破壊してきたブラッド族であっても、「魔術師」という存在とはついぞ出会うことは無かった。故に彼は魔術師のハザードレベルに対し、かなりの興味を示しているのだ。

 

「…………マスターは魔術師というかほぼ一般人だしなぁ。」

 

「悪かったな。こんなへっぽこなマスターで。」

 

「あ、聞こえてた?すまんすまん。別に悪い意味じゃねぇよ。」

 

どうやらいつの間にか声に出ていたらしく、若干不機嫌そうになった雁夜。

 

「そんなことより、戦況が動いたぞ。アサシンが殺られた。」

 

手をあげて謝ると、少し機嫌を取り戻したのか、使い魔に監視させていた情報を共有した。

 

「………なんだと?」

 

だがそれは、一番予想外の出来事だった。

アサシンは、その名の通り「暗殺者」のクラス。気配遮断スキルを持っており、襲われるまでその存在に気が付かないこともある。故にマスター自身が一番警戒すべき存在だったのだが───雁夜曰く、脱落したらしい。

 

「それ本当か?」

 

「あぁ、間違いない。あんなに派手に剣やら斧やらを叩きつけられてたんだ。あれで死んでなきゃそれはもうサーヴァントの枠組みを超えてるよ。」

 

「なるほどねぇ…………。」

 

どうやら相当派手にやられたらしい。

だが石動の頭には妙に引っかかっていた。

とりあえず自分の中ではアサシンがまだ生き残っていると仮定しておこうと決めたところで、部屋のドアが開く。

 

「あぁ、桜ちゃんか。どうしたんだい?こんな時間に。」

 

空いたドアから表れたのは、間桐桜。

紫色の髪をした幼女であるが、目にハイライトが点っていない。遠坂の家からの養子であり、間桐の魔術に染めるため蟲蔵に入れられた影響である。

雁夜が聖杯戦争に飛び入り参加した理由のひとつにもなっていることからも、かなり悲惨な境遇であることは伺えた。

 

「雁夜おじさん、その人、だあれ?」

 

「ん、俺かい?可愛いお嬢ちゃん。俺は石動惣一っていうんだ。雁夜とは仕事でできた友人でね。冬木市で仕事をするから、しばらくここに世話になることになってるんだ。挨拶が遅れてすまなかったな。」

 

咄嗟に嘘で誤魔化し、バツが悪そうに謝りながらも友好的な視線を崩さぬ石動の態度に少し安心したのか、石動達のいるテーブルへと近づく。

 

「この紙はなぁに?」

 

「おっと、桜ちゃん。これは仕事に使う大事な書類なんだ。だから見ちゃダメだぜ?」

 

「……うん。わかった。」

 

「そうか!素直で良い子じゃァないか。おっと、もうこんな時間か。良い子はちゃんと寝なきゃダメだぜ?夜更かしはレディの敵だぜ?」

 

「うん。じゃあおやすみ、雁夜おじさん。石動おじさん。」

 

「うん。おやすみ。桜ちゃん。」

 

「おやすみ。…………あと、俺はおじさんって歳じゃねえぞ?」

 

寝室へと向かった桜を見送った2人は、書類を見ながら情報の精査を続ける。

 

「………なぁ、マスター。これからどうするつもりだ?」

 

だが沈黙は苦手なのか、手は休ませずに質問をする。

聞かれた雁夜は、少し悩むような素振りを見せ、しばらく考えた後に、答えをだす。

 

「………しばらくは様子見かな。他陣営がどう動くかもわからないし。それに、まだ体調だって万全じゃないしな。」

 

雁夜自身は戦わないとは言え、いざと言う時に蟲が使役出来なければ呆気なく殺られてしまうだろう。

そうならないようにも、極力最高のコンディションにしておくべきなのだ。

 

「そうか。じゃ、俺もちょっとばっかし仕込みをしとくかねぇ。」

 

「仕込みってなんだよ?」

 

「そいつは言えねえなぁ。ま、楽しみにしとけって。」

 

「なんだよ。教えてくれたっていいだろ?」

 

だが、石動は笑ったまま書類を見るだけで答えない。

不満そうに作業に戻ろうとした雁夜の脳内に、直接声が届いた。

 

(そう不満そうにするなって。声に出したら臓硯に聞こえちまうだろ?それは良くないのはお前が一番よく分かってるはずだ。)

 

(臓硯に聞こえちゃまずいって…………。……………お前まさか!?)

 

(あぁ、その通りだ。俺は臓硯を殺すつもりだ。)

 

目に義憤の光を浮かべ、憤るように念話で言う石動。

心做しか念話の声にも力が篭っているように感じられた。

 

(俺は…………桜に対して虫けらを使って人体実験をする臓硯を許せない。)

 

石動は今桜が置かれた現状を知っている。

だからこそ、ハッキリと宣言した。

 

(俺が見た正義のヒーローなら、絶対に見逃さないはずだ。『アイツら』がいない今、俺がやるしかない。)

 

アイツら、というのが誰を指すのかはわからないが、雁夜にもその熱い思いは充分に伝わっていた。

 

(俺にもなにか手伝えることは無いか?)

 

(とりあえずは絶対に口に出さないようにしてくれ。どこから情報が漏れるか分かったもんじゃねえからな。)

 

思わず聞く雁夜に釘を刺し、席を立つ石動。

不服そうにする雁夜を宥めつつドアへと近づき、半身を滑り込ませて退出する。

 

「じゃ、しばらくはそういうことで頼むぜ、マスター。Ciao〜」

 

退出際にはなった挨拶はこの上なく軽く、さっきまで話していた重い話が嘘のように感じられた。

そう思った雁夜は、思ってた以上に自分が緊張していることに気づいた。そんな自分に苦笑を漏らしつつ、背を伸ばす。

パキパキという背骨に時間の流れを感じ、ぼんやりと頭を休めていると、机の上で握られた自分の手の甲に光る令呪が目に入った。

 

(………思えば、まだ全然時間が経ってないんだよな。)

 

手を握ったり開いたりする動作にも問題はなく、自分のしてきた厳しい生活がとうの昔に感じられるが、実はまだそんなに時間は経っていない。その驚異的な回復力はマスター故の特権だったりするのだろうか。

そんな役体の無いことを考えてはみたものの、現状は変わらない。

 

(もう始まってるんだよな。聖杯戦争は。)

 

そう。現状の、「聖杯戦争に勝利し、桜を助ける」という目標は何も変わっていないのだ。

握られた拳に更に力が入る。

 

(でも、前の俺とは違うんだ。)

 

手に光る令呪、そしてサーヴァントと繋がるパスこそがその証拠だった。

 

(俺は絶対に、桜ちゃんを救ってみせる!)

 

再び決意を新たにし、顔をあげる。

その決意は闇夜に溶け、月明かりだけがそれを吸い込んだ。




次回は港からのスタートになります。
気長にお待ちください。
では、次回の投稿まで!Ciao〜
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