ナイツ&マジック -緑鶏記-   作:唯乃塵

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日々を過ごそう 

 アーキッド・オルターとアデルトルート・オルターの兄妹を弟子にしてから二ヶ月が経った。

 この2カ月の間に私達はアーキッドはキッドと、アデルトルートはアディと呼び、オルター兄妹は兄さんをエル、私をリーナと呼ぶ様になった。

 兄さんが主に魔法を教え、武術はマティアス(父さん)に教った物を私がオルター兄妹に教えている。

 自分は前世で学んだ武術が基礎にあるので、父さんに教わった武術とはかなり趣が異なっているが技の根本原理は変えてないので些細な事だろう。

 

 

 

 私の朝は早い。

 日の出前に起きて、準備体操、柔軟体操を行った後、

身体強化魔法の訓練を兼ねる為特注した木剣型の杖(触媒結晶が柄尻についた同じ長さの真剣とほぼ同じ重さの物を使って素振りをする。

 切っ先を天に向けて垂直に振り上げ、背筋と胸筋を使い、直線的に振り下ろす。

 この動作を身体強化魔法を使いながら納得がいくまで繰り返す。

 納得がいったら型稽古を始める。

 動作の意味を考え、どの様な状況でどの様に使うか想定しながら、咄嗟にこの動きが出せるように何度でも納得出来るまで繰り返す。

 ここまでがいつもの朝稽古である。

 

 朝稽古が終わったら、家族皆で朝食を取る。

 だいたいパンか麦粥、スープ、漬物、加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージ等)若しくは卵の焼き料理がいつものメニューである。

 

 朝食を食べ終わったら書斎で兄さんと勉強をする。

 内容は読み書き計算が一般的であるが自分達の場合は大凡一般的な学習内容は(ライヒアラ騎操士学園初等部卒業並は)習得し、現在は専ら魔法の勉強(研究)に充てられている。

 兄さんは既存の魔法を効率化した魔法術式(スクリプト)を新たに作ったり、それを作る時に書いたメモ書きを纏め直していたりする。

 自分は自分で電磁加熱魔法(マイクロウェーブオーブン)加熱蒸留魔法(ディストレーション)拡声魔法(ラウドヴォイス)音楽再生魔法(ミュージックプレーヤー)等、あれば便利な魔法を兄さんに手伝ってもらいながら作っていたりする。

 また、メモ書きを纏めたものは内容を整理し、簡易的に製本したものを複写してオルター兄妹にも教科書代わりに渡してある。

 

 昼食を取った後、練習場に使っている森に向かう。

 オルター兄妹と現地で合流し、音楽再生魔法(ミュージックプレーヤー)をかけてラジオ体操(準備運動)をする。

 ラジオ体操(準備運動)が終わったら身体強化魔法(フィジカルブースト)をかけて走り込みをする。

 その際、兄さんと私は唯走るのではなくより負荷が掛かるようにしている。

 兄さんは機動力と空中姿勢制御能力を鍛える為か、木々を足場に跳び回ったり、バク転宙返りでオルター兄妹の後ろについたりしている。

 私は例の木剣型の杖に強化魔法をかけて蛇行しながら左右の木々に木剣を撃ち込んでいく。

 普通に身体強化魔法(フィジカルブースト)をかけて走っているオルター兄妹に離されない様にするのはかなり大変だ。

 三十分程の走り込みが終わったら少し休んで木剣の素振りや型稽古を三十分位やる。

 型の動作を見ながら注意すべき事、直すべき所を教えていく。

 終わったら射撃訓練に移る。

 射撃訓練と言ってもやることは様々で、新たに覚えた魔法(スペル)を試し打ちしたり、100メートル位離れた的に打ち込んだり、森の中で跳び回りながら打ち込んだりする。

 尚、試し打ちは川で行い、それ以外は山火事を避ける為空気弾丸(エアバレット)系の魔法(スペル)のみを使っている。

 最後に一対一での身体強化魔法(フィジカルブースト)あり空気弾丸(エアバレット)ありでの寸止め試合やる。

 残りの二人は見取り稽古兼事故があったときの救急治療要員である。

 技量の問題で大体兄さんと私、キッドとアディで対戦する。

 試合は空気弾丸(エアバレット)を放ちながら跳び回る兄さんを私が捉えるか或いは兄さんが空気弾丸(エアバレット)で自分を打ち据えるか、と言う展開になるのが定番になっている。

 接近戦は近づいた兄さんにあっさり木剣を突きつける展開が数度続いてから殆どなくなった。

 高さに制約が無く遮蔽物には事欠かない森と言う場所は、魔法の制御能力と機動力が兄さんに劣る自分に取っては極めて不利な場所なので、射撃戦に徹されると勝ち目がないのではあるが。

 決着がついたら残りの二人と交代して、という感じに四試合程やって、整理体操をして、巡回中の幻昌騎士(シルエットナイト)を見に行って各々の家に帰宅する。

 

 帰宅してから少し休んで、父さんが帰宅するまで音楽再生魔法(ミュージックプレーヤー)でかける音楽を兄さんと作曲する。

 作曲と言っても大体兄さんが転生前に好んだロボットアニメの主題歌やBGMか自分が好んだ映画音楽やボカロ曲等の耳コピであるのだが。

 

 父さんが帰宅したら夕飯を食べて、稽古をつけてもらう。

 内容は両刃片手剣(サイドソード)片刃片手剣(ファルシオン)短剣(ダガー)(シールド)小盾(バックラー)短棒(ショートスタッフ)長棒(ロングスタッフ)(メイス)(アックス)等の扱い方と体術を学ぶ。

 魔法を使う関係で片手が常に杖で塞がっている前提があるので、片手で使える武器を重視するのがこの国の武術の特徴の様である。

 これは魔獣相手に人間が魔法無しで致命傷を与える事が極めて困難である事が原因で槍等の両手持ちの長兵器(ポールウエポン)は生身の人間が使う技術としては酷く廃れ、幻昌騎士(シルエットナイト)が使う技術としては有効なので辛うじて伝承されているのが現状である。

 又、弓の類は攻城弩(バリスタ)を除き完全に魔法に取って代わられており、暗殺等の特殊用途以外で使われる事は殆ど無い様である。

 

 父さんは一通り基本を仕込んで後は主流の両刃片手剣(サイドソード)や携帯し易い短剣(ダガー)を集中的に教える方針の様であったが、兄さんも自分も両刃片手剣(サイドソード)よりも片刃片手剣(ファルシオン)を好んだので、次第に片刃片手剣(ファルシオン)短剣(ダガー)を集中的に教わる様になった。

 

 一時間程稽古を付けて貰って着替えてすぐに寝る。

 この様に入学まで日々を過ごしていった。

 

 

 

 

 

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