ナイツ&マジック -緑鶏記-   作:唯乃塵

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今回からチラシの裏から通常投稿に移行します。


兄さんの得物を作ろう

 ライヒアラ騎操士学園入学を一年後に控えたある日の事、私は兄さんと一緒にテルモネン工房を訪れた。

 「こんにちは。バトソンいますか?」

 「何だよ、今手伝いがあるから…。」

 「今日はお願いがあってきました。図面を引いたので見てもらえますか?」

 「イヤ、話聞けよ。」

 兄さんはマイペースに話を進め、バトソンが応対する、テルモネン工房にきたときの何時ものやりとりである。

 

※※※

 バトソン・テルモネンと初めて会ったのはキッドとアディを弟子にしてから数ヶ月後の事だった。

 

 ある日、たまたま一人で走り込みをしていたところ、バトソンがブチキレながら1人の男子をボコボコにしている所を見かけた。

 

割って入り事情を聞いてみた所、不詳の兄と双子(エルとキッドとアディ)がバトソンを魔法で投げ飛ばしてバトソンを虐めていた虐めっ子に叩きつけて逃げたと言う。

そして3人組(兄とオルター兄妹)に追いつけそうに無いので近くにいた窃盗犯(虐めっ子)の一人をボコしていたとの事だった。

尚、他の窃盗犯はボコられている奴を見捨てて逃げたらしい。

薄情な事である。

 

取り敢えずバトソンを叩きつけられた三人の内の逃げ遅れた(バトソンにボコられた)人に自らの所業(家屋侵入、窃盗)が如何なる罪かを説明し、騎士に突き出す事も可能であり、その場合どのような事になるか少々大袈裟に言って言葉攻め(御説教)した後、バトソンに不詳の兄と双子の所業を謝った。

 

尚、不詳の兄と双子は巡回中の幻晶騎士の近くで何やら決意を新たにしている所を捕獲しそのままバトソンに謝らせに行きました。

 

※※※

 

 「ところで、リーナはこう言うのはないのか?」

 

テルモネン親方(バトソンの父親)がエルと試製剣付杖の仕様をつめてる横でバトソンが聞いてくる。

 

どうやらエル(兄さん)が得物の設計図を持ち込んで制作依頼を出した為、私も得物の制作依頼があると思われたらしい。

 

「身長もまだ伸びるだろうし、この木剣もある。

今作るとまた身長に合わせた剣を買う必要が出るから今はいいかな。

中等部である野外実習に合わせて作って貰う事にするよ。」

 

「ふぅん。

作る予定はあるんだな。

わかった、その時を期待してるよ。」

 

実は作って貰いたいモノはいくつかあるのだがどれもガッツリ金属加工品になるので杖みたいに見習いの片手間でとはいかない品だ。

 

頼めば確実に正規依頼になるだろうから現状では資金(お小遣い)が足りない。

 

まあ、これは別に今すぐ必要と言うモノでは無いから追々作って貰えばいいだろう。

 

「腕輪とかに触媒結晶くっ付けるのが違法じゃなければこの場で頼んだんだけどね。」

 

「それはもうしょうがないだろう。

西方諸国(オクシデンツ)とも共通の禁令なんだし。」

 

「まあ、そうなんだけどね。」

 

我が国(フレメヴィーラ)西方諸国(オクシデンツ)の祖であるファダーアバーデンが健在であった昔々、腕輪型の杖を用いた凶手(ヒットマン)に当時の王太子が暗殺された事件があり、以来『装飾品や被服及び定寸の剣以下の全長の物体に触媒結晶を取り付け杖とする事』が禁止され、現在まで続いている。

 

以来、杖は斯様な禁令下での最適化が繰り返され現在の形状に落ち着いている。

 

「それにしても、杖に剣を付ける発想は確かになかったけど、なんで今まで誰もやらなかったのだろう?

剣と杖をいちいち持ち替えるのは確かに手間だし誰か思い付きそうなものだけど・・・。」

「そりゃあ、唯くっ付けるだけだと使い物にならないからでしょ。

単純に剣と杖をくっ付けるだけだと近接戦の時に触媒結晶が相手の直ぐ近くにある事になるし、打ち合ううちに簡単に壊れそうだしね。

テルモネン親方(親父さん)が興味持ったのも、単純にくっ付けるだけじゃ無くてきちんと図面引いてきたから、そこら辺の脆弱性を解決出来る案があるかもしれないと踏んだんでしょ。

脆弱性さえ解決出来れば少なくない需要も期待出来るだろうしね。」

バトソンがふと発した疑問に自身の考えを応えながらエル(兄さん)テルモネン親方(親父さん)の方を見る。

どうやら仕様を詰め終わったようだし、今はお暇するとしよう。

 

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