その後、青髪の少女がこちらを見つけ、急いでアヴァント・ヘイムへ連れ帰った。
瀕死で帰ってきたふたりの事はすぐさま全天翼種に伝わった。
アズリールは2万年間天翼種の損害を一度も出した事が無かったのだ。
アズリールは指示やサポート、時々前線で身を呈して助け、アズリールの指示でジブリールは主に前線で天翼種達を助けた。
全天翼種がアズリールかジブリールに一度は助けられているだろう。
だからこそ、天翼種達は何も出来ないor何も出来なかった自分を恨み、悔やんだ。
───────1年後────────
「…先輩っ!!」
はぁ…はぁ…と、息遣いを荒くして、修復術式の中で叫んだ少女。
その声に気がついた、青い髪の少女。
“ラフィール“
「起きたか、ジブリール」
「ラフィール先輩…あのっ!アズリール先輩は…」
「安心しろ、あいつも回復中だ。
で、起きて早々で悪いがあの時、一体何があったんだ?
偶然通った時、大量の精霊反応を感じて来たらお前達が倒れてたのだ」
「実は…」
ジブリールは説明する。
先輩が自分の為にある場所に連れて行ってくれた事。
私が飛んで帰ろうと誘って巨人種に不意打ちを食らったこと。
そして、自分は何も出来ずに、先輩に助けて貰った事…。
「…という事です…」
自分のせいであんな事になったのに、何も出来なかったことに歯を食いしばり、怒りで震える。
「落ち着け、今回に関してはお前は何も悪くない」
「ですが…!」
「アズリールはお前を生きて返すことできたんだ、あいつは後悔しないさ。
しかし、妙だな、何故あいつは3度も天撃を撃つことが出来た…?
(普通そんな事をすれば誰であろうと死ぬだろう。
…ならば、代償を変えたというのか?
だが、何に?)」
「…アズリール先輩は気になる事を言ってました、確か…代償を宝物に変えた、だからお別れ…と言っておりました」
「やはり代償か。そして、宝物…お別れ…?
………あいつっ、まさか!?」
「何か分かったのですか!?」
「お前を守る為、アズリールの事だ、ほぼ間違いないだろう。
だが…あいつは簡単に自分を捨てすぎだ!
…すまない…ジブリール、よく聞くんだ、あいつは───」
───────2年後─────────
もう1つの修復術式部屋にて。
「…ん、ここは…どこ…?」
そう呟く、緑と紫髪の少女。
周りは誰も居らず、不思議に思いながら術式から出る。
その直後。
「…!せっ!先輩!先輩!!」
入口からやって来た彼女が喜びの声を上げ、少女が目覚めた事を歓喜する。
その声にラフィールも来て。
「どうした、ジブリール!
…!目覚めたのか!」
目の前で自分が目覚めた事を喜んでるふたり。
「よかったです…先輩…。
…先輩?(…あっ…)」
その時、ジブリールは思い出す。
ジブリールが目覚めた時に言っていた、ラフィールの言葉を。
(「ジブリール、よく聞くんだ、あいつは─」)
「君たちは…誰?」
(「全ての記憶を代償にした」)
(覚悟はしておりましたが…こうも簡単に言われると…心が痛いですね)
「…私はジブリールと申します」
「…私はラフィール。あなたはアズリール。
我ら天翼種の“長“であり、そして“姉“である、姉さん」
「うちは…アズリール…。天翼種の長で…皆の…お姉ちゃん…?」
「…そうで、ございます…姉さん」
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アヴァント・ヘイムをアズリールに案内する。
こちらが図書館、あちらが先輩の部屋ですよ、と丁寧な説明の仕方。
そしてジブリールは。
「先輩、ここはお昼寝に最適の場所なんですよ」
それはジブリールと初めてあった時、アズリールが最初に誘った場所。
「…でも天翼種って睡眠はいらないはず…?」
「先輩は分かってないですね、いるいらない関係なく気持ちいいからするのですよ」
「でも、うちはえんr「ダメです、強制的に寝かせます♪」…」
何で聞いたの、と言わせず無理矢理アズリールを寝かせ、ジブリールも横になる。
「目を…つぶるんですよ」
ゆっくり目を閉じる。
(本当に…忘れてしまったのですね…。
私がもっと強ければこんな事にはならなかったかも知れない…。
そもそも誘わなければ…はぁ………)
(ジブリールの言う通り…。確かに気持ちがいい。
…でも、不思議と前にもこんな事が……ぐっ…!?)
アズリールに何かが流れる。
「………い…せ…ぱぃ…先輩!」
ジブリールが揺らして叫ぶ。
気がついたアズリールに。
「よかった…一体どうしたのですか?
回復仕切れてないなら術式に…」
「……ここに誘ったのは……うち…?」
「!!記憶が戻ったので!?」
「記憶…?これが…うちの記憶…?
ただ、誘っただけの記憶だよ…?」
「そ、そう…ですか。
(もしかしたら思い出深い場所に行けば記憶が…!)
すみません!先輩!ちょっと失礼します!」
ジブリールはアズリールがよく行っていた場所を知る為に全天翼種に聞き込みを開始するのであった。