何度も行った図書館だというのに、今回は足がとても重い。
静かに扉を開け、足音を殺す。
「マスター、そろそろお休みになられた方がよろしいかと。
いくら調べても、先王の起こした愚行は──」
「ジブちゃん、それは違うにゃ」
「…?」
「空、地図と睨めっこして何か分かったかにゃ?」
「あぁ、まず先王が掛けた土地は元王城含め全て無価値な場所だ。
だが、何故八回も東部連合に挑んだ?
常識人がムキになって挑む回数じゃねぇ。
何か意図があるとしか思えねぇんだよ。
何故、東部連合はデメリットの記憶消去を行う?
何故、エルブン・ガルドは四回挑んだ?
何故──」
「─八回でやめたんだろうにゃ?」
「…それは…八回で目的を成し遂げたから…!?
確証はねぇ、だが──」
「マスター、アズにも申し訳ないのですが、人類種が皆、お二人のように思慮深く行動してるわけではございません」
「だが、してる奴もいる。
そして概ね、そういうやつは大抵、理解されない」
「だから、それを理解するのもうちらの仕事ってわけにゃ(けど、原作情報無しに理解出来てたか、うちには分からないにゃ)」
「何故、俺が人類種なんて種族信じられるのだろうって思うか?」
「…いいえ」
ジブリールは信じている。
あの二人がやり遂げたように。
「へぇ、そうか。
だが、俺は『人類』なんて信じてないからさ」
「「えっ」」
一人はその場にいるジブリールが。
もう一人は隠れているステフが。
アズリールに来てみろと言われ来てみたがやはりこれでは。
「人類なんて、どこに行ってもクソだ。
だが、その『可能性』を信じる。
根拠は…こいつさ。
もし、人類が俺みたいな『無能』だらけなら、俺はここにはいねぇさ。
世の中、いるんだよ。
本物の『天才』が。
だから、信じてみないと始まんないのさ、先王も、な」
「にゃはは!空くんかっこいー!」
「うっせ」
空は再び地図に目を落とし、アズリールはただ待つだけ。
ジブリールは目をつぶり、手から幻想的な光を作り、照らす。
ステフはただ、先王と空を考える。
優しく、温かい、人を信じた男。
冷酷で、いつだって人を疑って生きる男。
あまりに、かけ離れた、だが、だからこそ。
『可能性』を信じる空に、渡していいのだろうか。
覚悟を決め、ドアを開く。
その音にアズリールは、笑う。
「…空、渡したいものが…ありますわ」
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──エルキア王城──旧王の寝室──
そこには、空、白、ステフ、ジブリール、アズリールが揃う。
空は鍵を持ち。
「………間違いない、エロ本だ」
ステフは早速、後悔した。
「そんなわけないじゃないですの!
この展開からどうしたらそうなるんですのよ!」
「だってよー、男が鍵を作るほどの隠し事なんてなぁ?」
「ですが、どこの鍵か分からなければ…」
「つーか、もう見つけてるしな」
「──へっ?」
二人はちょちょいと仕掛けを解いていき。
本棚の後ろから現れる扉。
「扉さん、ご登場ー」
「…とう、じょー」
「もう嫌ですわ、この兄妹」
「さてさて、こんな派手な仕掛けを作るほどとはどんな代物が出るのかな?」
「だから、エロ本じゃありませんわよ!?」
ステフから貰った鍵を差し込み、回す。
金具が軋む音と共に開く扉。
一同は息を呑む。
一見、ただの書斎。
本で埋められた本棚、しみじみと漂わせる小物、机に椅子。
だが、皆は感じた、気軽に立ち寄ってはいけない、鬼気迫る何か。
そして、机の上に開かれたまま、置かれてる本。
『人類種の最期の王ならぬ──再起の王の為、これを遺す』
空はページをめくり、読み続ける。
ただ、立ち尽くす空、覗き込む白とジブリールも理解する。
愚王と罵られた男の。
生涯に渡り、他国と行った勝負。
そこには、東部連合との勝負も記載され。
「やはり、先王は記憶を失ってなかった」
「勝てる勝負に見せかけ、何度も挑ませる、それを承知で挑み続けた…いや、探り続けた、いつか、取り戻すために…かにゃ」
記憶を消さずとも、他に話すことを東部連合が認めるわけが無い、故に。
「“生涯誰にも伝えない“って盟約にゃ…」
「それでは、なんの意味が──」
「─ただし、“死後“は含まれない…。
だから、先王は掛けたんだ。
“人類最強のギャンブラー“に」
「………うん」
「…なぁ、ステフ」
「な、何ですの?」
「…先王は……やっぱお前の祖父さんだな」
自国民から、他国から、愚者と罵られ、愚王を演じ続け、手の内を暴く事に徹する。
その、いかほどの覚悟と。
“再起の王“を信じた、人類種への信頼。
序列最下位が、他種族を圧倒する者が現れるという。
限りなくゼロに等しい、しかしゼロではない可能性を信じ。
それを任された、“再起の王“である二人。
「…そのまま信じ続けてろ、望み通り、やってやるさ」
「…まか、せ、ろ」
トーク編
ここまでやってましたけど、正直こっからなんも思いついてません。
なので次出るの時間掛かるかもしれません。
「ちょっといちゃつきが足りないんじゃないかにゃ?」
それは思いましたけど、まぁなんとかします。
「もっとうちらをいちゃつかせろにゃ」
うっす。