アズリールになったので自分に正直に生きます   作:ミレニア

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対獣人種作戦

ゲーム開始から数十分。

やっと本調子に戻ったアズリールとジブリールは今、その場にいるNPCを残らず蹴散らす。

その横で空は一人のNPCのパンツに狙いを定め、撃つがその願いが叶うことは無くパンツと共に消えていくNPCを見届けて空は叫ぶ。

まぁ、そんな事はどうでもよく。

 

「白、銃の性能報告」

 

深く息を吸って。

 

「弾速毎秒300、射程約400、風重力影響無し、直進性、跳弾性能あり、限界跳弾回数は射程に比例して無限、跳弾角度は入射角度に比例で、単純」

 

はぁ、と息を吐いて。

 

「…つか…れ、た……」

 

「よく続いたにゃ」

 

「よーしよし、上出来だ流石白!」

 

わしゃわしゃと頭を撫で、白は嬉しそうにしている。

 

「次、そこのジブアズカップル、設定されてる身体能力はどんなもんだ?」

 

「凄くツッコミたいけどまぁいいにゃ。

魔法が使えないって事はうちら自身の否定になるからにゃ。

だから、物理的限界数値に設定されてるにゃ」

 

「物理的肉体というのにまだ慣れませんね。

なんとも不便でございます」

 

「獣人種の身体性能は物理限界に迫ると言ったな。

今のお前らと互角か?」

 

「まぁ、そう考えて問題ないと思うにゃ」

 

「ですが、獣人種には『血壊』を使うものがございます。

それがゲームに反映されるのならば、私達を凌駕すると考えてよろしいかと」

 

『血壊』 物理限界に届く性能を有する獣人種、その中でも更に一部の者だけが使える、物理限界をすら瞬間的には突破しうるという力。

 

「まぁ、獣人種のゲームに反映されない訳がないにゃー」

 

「はぁ、お前らといい獣人種といい…この世界の連中デタラメすぎんだろ。

だが、まぁいい。

つまり敵は、仮想空間内で魔法を禁じ、自分達の得意分野である『身体性能にものを言わせた戦闘』を行い、圧倒的に有利に立っている、と思い込んでいるわけだな?

いいか、どんな複雑に見えるゲームでも、究極的に取れる行動は二つしかない」

 

「と、仰いますと?」

 

その問いに、意地悪い笑みを浮かべて空が応える。

 

「戦術的行動と、対処的行動。

つまりは、動かすか動かされるかでしかない」

 

即ち、主導権を握った方の勝ち。

 

「あいつらは気づいていない。

これこそが人類が古代から最も得意なゲームだ」

 

口を釣りあげて笑う。

 

「白、用意はいいな。

くれぐれも走るのは最低限にな」

 

「……了解…」

 

「それじゃーお前ら、そろそろ始めるか?」

 

そう言って、空はボムを手に持ち、投げられたボムは轟音を放ちゲームが動く。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

「っ!?」

 

空の投げたボムが、いづなのいるビルを揺らす。

 

(居場所が特定された、です!?

そんなわけねぇ、です!)

 

だが、いづなの聴覚が、ビルを上がってくる足音を捉える。

 

(この足音は、ジブリール……いや、アズリール、です)

 

一定のペースで、軽い音を鳴らしながら。

いづなが“危険“と判断したプレイヤー。

いくら魔法が使えないとはいえ、その身体性能はいづなと同じなのだ。

それが二人もいる時点で、開始と同時に仕掛けられるはずも無い。

が、一人ずつ来てくれるのであれば跳弾を使って倒すことは出来る。

だが、違和感を覚える、

このビル内にはNPCがひしめいてるのは、音で把握している。

その中を、全く乱れないペースで、トントンと走る足音…?

いづながバッと、和服を翻して、埃舞い立つ狭い部屋の扉に銃口を向ける。

いづなが身を潜める倉庫、その唯一の出入り口。

八階フロアまで近づく足音は、ふっ、と止まった。

 

(・・・?)

 

いづなが怪訝そうに耳を立て、様子を探る、直後。

足音が一気に速度を上げた。

しかも、外のフロアを徘徊するNPC達が。

銃撃音一発ごとに一体ずつ、それが二つ聞こえる事に、寒気が走る。

さらに一切の迷いなく、NPC達を蹴散らしながら真っ直ぐ。

 

(ここに来やがる、ですっ!?)

 

もはや疑う余地もない。

どうやって突き止めたかなど、どうでもいい。

獣人種の五感をフル稼働させ、倉庫の外、視界外のアズリールに向けて、引き金を引く。

銃口から発射された弾丸は、正確無比に、僅かに開け放たれた扉の隙間を縫って飛翔、壁にあたって跳弾。

そして、アズリールに当たる。

 

 

 

 

 

 

 

かと思われた。

既に白が放った弾丸が複数回跳弾し、その弾丸に当たり、更に白の弾丸は跳弾し扉の隙間を通りいづなに向かう。

 

(ありえねぇ、ですっ!?)

 

それを何とか避けてもう一度銃を向けようとしたが。

既に足音は扉の前までやって来る。

 

(逃げるしかねぇ、ですっ!)

 

逃げるスキを作るため、いづなが扉の隙間から『ボム』を投げる。

だが、それが外に飛び出すよりも速く、外から侵入してきた弾丸によって、炸裂する。

資材の後ろに隠れやり過ごすが、二人は扉を蹴って入ってくる。

呼吸音を探るが、聞こえず。

 

(弾幕を張るしかねぇ、です!)

 

資材の後ろに身を潜めたまま、大まかに狙いをつけて乱射する。

無数に放たれる弾丸。

それが跳弾し、部屋の中を結界のような弾幕を作り出す。

だが、一瞬。

 

 

 

 

 

 

 

 

アズリールのにゃは、と嗤う声と白のゆっくりと息を吐き出す音が聞こえて、背筋に悪寒が走る。

 

即座に飛んだ。

床が砕けるような力で蹴り、小さな窓を突き破って、ビルの外の宙空へ飛び出す。

振り返りざま、爆煙で視界を遮られている部屋の中、いづなが感じ取ったのは、全ての弾幕が撃墜された音。

そして更に、跳ね返った弾丸が、いづなが隠れていた場所へ収束する音。

 

(一体、何が起きた、ですっ!?)

 

だが、そんな思考も即座に放棄する。

アズリールが白を置いて、いづなの開けた穴から外へ飛び出しいづなに放つ。

放たれた弾丸をいづなは落としアズリールへ撃ち返す。

空中での銃撃戦が続く。

 

だが、いづなは突如異様な銃撃音が一つなった事に気がつく。

 

いづなが見据えるアズリールから放たれたものでは無い銃声。

 

では、いづなよりアズリールより上にいる白が放ったもの?

 

いや、違う。

聴覚で白も捉えていたが白からでは無い。

 

そして、アズリールの後ろからもう一人。

完全にアズリールと重なっていたジブリールが撃っていた事に気がついた時には、思考に意識が分散し避けることが出来ぬ程いづなに当たる寸前まで弾丸が迫っていた。

 

が、咄嗟に銃でガードし、何とか免れたが銃は既にいづなの手から離れていた。

今ので倒すつもりだった為少し焦ったが、素早くアズリールは撃つ。

更に白が撃ち、ジブリール、そしてアズリールの横を通り過ぎいづなが横に逃げれないように撃つ。

正面、横からの弾丸で逃げ場などなく、決まったかに思えた。

 

 

 

気炎を吐く。

いづなは剥き出しにして嗤った。

『血壊』だ。

いづなは空間を摑んで、身体を受け止め、蹴りによって跳ね上がる。

 

「にゃっ!?」

 

一瞬で二人の上を取り、そして見た時にはいづなは銃を取り戻し、二人に向けて撃っていた。

そして、ジブリールはアズリールを横に突き飛ばして、当たる。

白は既にそのビルから姿を消しアズリールは落下、体勢を立て直して、空に合流する為に戻る。

 

 

 




こういう細かい戦闘は苦手です…。
ほのぼのを書かせてクレメンス。
因みに活動報告でも言ったのですがまさかのインフルになって結構地獄を見ました。
何とか回復して平熱にはなりましたけど。
いやぁ、薬って偉大だなぁ。
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