ジョジョとオルガの奇妙な冒険   作:すろー

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オルガが単独で向かっているのは日本、M県S市杜王町。

果たしてその理由とは…?


第四部 ダイヤモンドは砕けない
1 ようこそ、杜王町


休むために働くのか?働くために休むのか?

 

よく取り沙汰される二択であるが、俺は後者だと思っている。逆に考えればいい。俺の考える方は『休まなければ働けない』になるのに対し、一方は『働かなければ休めない』とかいうのになって…ん?別にそれでもいいのか?自論を自分で崩してしまった。

 

とにかくだ、そんなものはただの言葉の綾である。

別に考える必要もない。俺は働くことに関して世間のようにマイナスのイメージは持ち合わせていない、ということが前提にあるからだ。

 

裏を返せば、『休むことにプラスのイメージも持ってない』ということになる。

 

何が言いたいか?

俺は、オルガ・イツカは、この状況を嘆くべきなのかということである。

 

 

タクシーの窓の外は快晴。空港を出発したときは灰色に澱んでいた空も、持ち直したらしい。

正直タクシーなるものに一人で乗ったのは初めてである。運転席のエアコン口の緑色…匂い慣れない植物系の芳香剤が鼻孔を撫でる。まぁ、別に臭くはない。

 

タクシーの運転手とは最初の五分喋った後、それっきりである。

運転手は定期的にちらちらと見てくる。何か話そうとしているのか、それともさっきから落ち着きなく足を組んだり外したりしている俺が気になったのか。初めてのタクシーだ、許せ。

 

さて、話を戻そう。

日本国M県S市の空港から目的地、『杜王町』まで車で四〇分ほど。どうして俺がそんな日本の小さな町に行くことになったのか。簡単な話だが三日前に遡る。

 

 

三日前。

俺の地球での『仕事』がやっと終わった。今度の仕事もミカと共同であった。

最近この類の仕事しかしていない。

いや、正直仕事と呼んでいいのかさえ分からない。

 

具体的に言うと、俺(やミカ、あのバエル馬鹿とか)はこれまで『異世界に飛ばされてそこで生きる』ことを繰り返してきたのだ。

 

数年前…いや、年なんて数え方が有効かどうかは分からないがとにかく、数年前に俺は一度『死んだ』。悲しい話だ。未練ってやつも残った。

その未練の因果かどうか、神は俺にチャンスをくれた。もう一度生きるチャンスを。

(と、ここまで書いたがここからの俺の長い長いセカンドライフは既に常識の範疇にあると思うので割愛させてもらう。)

 

 

さて三日前、火星に帰ろうとした俺を呼び止めた(正確には部屋に呼ばれた)のはバエル馬鹿…マクギリス・ファリド。俺の死因の一人だ。末代先まで呪ってやる。

 

低いテーブルを挟むように置かれた二つのソファにそれぞれが座った。マクギリスのいつもの微笑がいつも以上に気味悪く見え、少し身構える。口を開いたこの金髪、何を言い出すのかと思えば『君には休みが必要だ』とかなんとか。拍子抜けだ。

なんでも流石に働き過ぎらしい。不死身の俺に過労とか正直ピンと来ませんねぇ、と返したのだが

 

「いや、休暇を提案したのは私ではない」

「君の身体を心配したのは君たちの組織、鉄華団の1人だった…タカキ・ウノ、とでも言ったかな。彼だよ」

 

そうか、タカキが。まぁ仕事も入ってないし、たまには一日二日休むのも悪くない…と思って俺は「わかった」と承諾したのだった。

マクギリスの提案したのは日本の小さな町…静かでいいじゃあねーか、とまで思った。

 

休暇が一年間以上無期限だったことがわかったのは今朝である。

 

 

かくして俺は、終わりの見えない休暇に放り出された。

だが俺は決めたぞ。もう悲観はしない。どうせならとことん休みつくしてやろうじゃあねーか。

 

 

ジジッ、ジジッという音がして、軽快なポップ音楽が、最初は途切れ途切れに、やがてはっきりと車内に響きはじめる。

「おっ…入った。ここの鉄塔を過ぎれば、いつもラジオ入るンスよー」と、運転手が俺に言ったのか独り言か。

せっかくだ。会話しやすくなったこの好機、無駄にはできん。

 

「っと、おっさん。今から行く『杜王町』って町、どんな町だ?」

 

突然話しかけられて戸惑ったのか。運転手はええと、と場繋ぎ音を鳴らして

「杜王町は、初めてですか。…味噌漬けが、美味いスよ」

そう答えた。

味噌は知っている。だが味噌漬けって言われると、こう、何を漬けているのかわからないじゃあねーか。

聞いておこう。

「何を漬けるんだ」

「牛タンッスよ」

 

ふーん。

「……」

「……」

 

あーあ。またこうなった。

 

耳をラジオへ。抑揚のある男声が聞こえてくる。

「…ということで、今週のヒットチャート。続いて第3位。Uruさんで、フリージア」

 

ん?

 

「♩テ~テレレレレ~レ~レ~」

 

ん?

んん?

 

「ちょ、あの、おっさん!ラジオ…」

「おぉ、スいませんね」

 

運転手は音量のしぼりを回す。

音がでかくなる。気を利かせてくれたらしい。

 

いや、利かせるな。

 

「♩キボーノハナー」

 

「だからよぉ、止まるんじゃあねぇぞ」

 

車内で謎ポーズをキメて気を失っていく俺に、運転手が

 

「あれ、酔っちゃったんスか?」

とだけ言ったことまでは覚えてる。




まだまだ全然ジョジョじゃあないぞ

意外と話進ませるの難しいのね
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