すみません
「R、俺に合わせろ!」
「うん…行くよ?」「スイッチ/スイッチ‼」
チカゲの光剣が振り上げられエネミーの攻撃を弾いた瞬間に、私が前に出て弱点の頭にHGのクイックショットお見舞いする…この一連の作業をキリトさん達と練習していて、最後にチカゲと合わせていたのだ。
ずっと一緒にやってきたチカゲが一番合わせやすいのは当たり前だが、キリトさんやアスナさんやクラインさん…あとはユウキさんが凄い馴染みやすい気がする。
クラインさんは意外だったけどそこは流石に風林火山のリーダーといったところ…なのだろう、でも正直クラインさんとはあまり組みたくないかも、何故だか身の危険を感じる。
「うん思ったよりいい感じだな、ALO経験者なだけあって動きなれてる感じだな、俺達との連携も中々だし…」
大人組や忙しい人は先にログアウトして、今まだ残っているメンバーのキリトさんとユウキさんとシノンさんのうち、キリトさんが組んでいた腕を解きながら言う。
ちなみにこの作業を提案したのは私。理由は簡単…まだ暫くはこのアバターになりそうだから、いつ誰と居ても最善を尽くせるようにしたいからなのと、そのついでにレベリングをしたかったからだ。
おかげで随分思い通りに動けるようになってきた。
でも…
「ただやっぱり、咄嗟の回避なんかはぎこちないかもな…」
「ですよね」
そう、不意を突かれると視線の高さと視野の広さが仇となってどこに回避したらいいか分からないんだ。
「ねえロア?ずっと思ってけど武器が合わないんじゃないかしら?見た感じスタイル的にHGじゃなくてARみたいな中距離から撃てる武器の方があってる気がするのよ」
「なるほどなシノンがそう感じたならそうなのかもな、じゃあちょっとグロッケンに戻ってショップ行こうか、ついでに…」
ん?キリトさん最後に何か言ったような、良く聞こえなかったけどなんとなく笑ってたような。まあでもそこまで気にすることじゃないのかな…。
「丁度良かったです、ボクもドロップ品整理したかったので…チカゲはどうするの?て、どうしたの二人でコソコソと…ねぇ」
いつもの様にチカゲの様子を伺おうとすると、何やらユウキさんコソコソ話しているみたいだった。話に夢中で私の声に耳を貸さないのがちょっと気分悪くて、さっきのキリトさんがやっていたように腕を組んで、話終わるのをじっと待つ。
「おいおい二人とも、俺達の話聞いてたか?」
待つこと十数秒、キリトさんが話に割り込んでくれたおかげで二人のコソコソ話は早々に幕を閉じた。話のないようはどうやら、あまり銃に詳しくない&行ってもすることない組のユウキさんとチカゲは近くのダンジョンで遊んでいたいとか…そんな感じだったわけだけど、それコソコソ話す必要ある?まあいいけど、チカゲのことだから深い意味なんてないし意味のある行動なんてしないのは分かってるし…。
こんなことで気分悪くなってる私も私…寝不足で疲れてるのかな?武器買ったら今日は失礼しようかな。
「いや、悪いけどチカゲは来てくれないか?ロアの特性を一番知ってるのはキミだろ?」
「あー言われてみればそうか、ユウキごめんな」
「いいよいいよ!ボクもいけなかったよ、仲間が装備を変えようかって時に自分だけ関係ないみたいな態度とってゴメンね…?」
いや別にそこまで怒ってないし、ユウキさんに頭を下げられるとなんだか罪悪感がっ。
「いやそんな大丈夫ですよ、チカゲも無理しなくていいよ?」
チカゲにも別に怒ってるわけじゃない…けど、最近ちょっと素っ気なくなったなぁ…て。
◇◇◇
着いたのはグロッケンのメインストリートの店、ではなく。
「キリトさん?本当にこのお店であってますか?」
町はずれの薄暗い路地裏を進んだ先にある、如何にもな人たちが屯している酒場のようなお店?だった。
冷たい汗がツゥーと頬を伝った感覚。シノンさんもキリトさんもユウキさんもチカゲも、いつもの光景だと言わんばかりに振舞ってるんですけど!?
「まあそのうち慣れるって、さっ行こうぜ」
「え?あ、待ってくださ…キリトさ…チカゲ…!」」
私の質問に対してあまりにも簡単に流れるようなコメントが帰ってきて、1拍反応が遅れたのがまずかった、みんなと距離が離れた!その間に何人もの人が入り込み、行きかい私の声はかき消されてしまう。
あっという間に迷子のニュービーの出来上がり…とっ、、誰の肩がぶつかった。この手のシチュエーションの場合謝ったところで難癖つけられるのはお約束だけど、かといって謝らないわけにもいかないよね。向き直って頭を下げる。
「すみません、大丈夫でしたか?」
て、あれ…、女…の子?しかもカッコイイお姉さんという訳でもなく。体格と顔立ちは中学生くらい?の少女という言葉がよく似合うかも。ゲームのアバターだから実際どんな人かは知らないけれど、予想と何もかもが違った光景に呆気にとられてしまう。
「こちらこそごめんなさい、始めたばかりの人ですよね?もしかして道に迷ってたらこの店に辿り着いたとかですか?」
「えっと、フレンドに案内されてきたんですけどこの人込みで逸れちゃったんです…」
口調的にも多分いい人だし中学生ぐらいなのは見た目通りなのかな…それにしてもこの娘どことなくアスナさんに似ている。あのアスナさんを中学生くらいまで幼くした感じ。それに見覚えがある様な無い様な…。
「それなら一緒にフレンドさんを探しましょうか?私の用事はもう済ませたので」
「え、早っ…あー…じゃあお願いします」
私がこの娘についての考査を脳内っで繰り広げている間に、目の前の女の子は手慣れた手つきでウィンドウを弄り用事を済ませていた。
更にフレンド申請まで送られてきていて、私としても断る理由が無く即決でこの申請を受け取る。
「ありがとうございます、女の子とは早めに仲良くなりたいので…」
「あぁ、やっぱりボクの言動って男には見えないですか?今のフレンド達にも即行にバレましたし…あ、でもまだ一人だけバレてないっぽいですけど」
昨日、シリカさん達にバレたことを思い出して苦笑交じりに話していると、この娘は何かを察したようにウィンドウを開いて誰かに連絡を取り始めた。
1分と掛からずに集まってきたメンバーに驚きを隠せず思わずにいると女の子が口を開く。
「やっぱり、キリトさんだったんですね…」