ソードアート・ログ・ホライズン   作:亜白

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前日譚 GGO編Ⅵ

「す、すごいね!どうやってあの数を……」

「えと、私それなりに強いんですよ、GGOならキリトさんにも負けませんから」

 

私が起されながらそういうとサクヤちゃんは少し恥ずかしそうに「えへへ」と笑って胸を張って答えてくれる。

何か曖昧な答えに誤魔化された気もしたけど、かわいいからどうでもいいや。

 

その後も、サクヤちゃんは驚異的な戦闘力で何度も私を助けてくれた。

スナイパーライフルなのに狙撃というよりも、アサルトライフルみたいに乱射していたり、しかも全弾ヘッドショット命中という魅せプレイにも程があるものを平然としていたり。

サクヤちゃんが気配撃ちって呼んでいる、ハンドガンの背面射撃も当たり前の表情でしていて、ダンジョンをクリアする頃には自分との差に愕然と肩が落としていた。

 

その後は、サクヤちゃんに銃の特徴や射撃のコツを事細かく教えてもらったり、街に戻って店を回ったり、サクヤちゃんの部屋に上がらせてもらい雑談に花を咲かせたりして、随分と仲良しになった。

一区切りついてお互いにログアウトして、現実に帰ってきた私は、露骨に深くため息をついた。

 

ゲームの中と違って本当の私はというと、幼いころの事故により首から下を動かすことができない。菊岡さんの研究の手伝いをする代わりに、メディキュボイドを着けてくれたのだ。

ログアウトしたことを感知する機械の知らせを受けて入ってきた菊岡さんは「どうだった?」と感想を聞いてきた。

 

「楽しかったですよ、ALOとは正反対みたいな世界観ですけど、それが新鮮でサクヤちゃんていう子とも仲良くなりました!とても銃のことに詳しくて、戦闘も凄かったです!」

「サクヤ?あぁ、神無月のお嬢さんか、君は意外とラッキー体質だね」

 

私はあったことを思い出しながら興奮気味に感想を言うと、片方の眉を少しあげ、サクヤちゃんにことを教えてくれる。

なんでも知る人ぞ知る名家らしくて、菊岡さんの研究にも出資してくれているらしい。サクヤちゃんと双子の弟さんはその家の養子だとか。お嬢様じゃん。

 

「というか、個人情報を私なんかに勝手に教えちゃっていいんですか?知りませんよ?」

「まあ有名人はプライベートなんてあってないようなものだし……ね」

 

ね、って……。

 

「それよりも、疲れていないかい?もしも大丈夫そうならリハビリをするか、アレをやるか……」

 

少し逡巡してリハビリをすることにした。菊岡さんが研究員さんを数名呼んで私を看るように指示を出して部屋を出ていくと「初めてください」という研究員さんの声が響いた。

小さく深呼吸をしてゲームの感覚を思いだす。

落ち着いて、まずは指。右手の人差し指に意識を集中させる。

 

(大丈夫、大丈夫、ゲームの中では簡単だった、やればできる)

 

何度も自分を励まして力を籠めるがピクリとも動かない。息を整えてもう一度。意識を集中させて、力を込めて……、大丈夫、落ち着いて、ゆっくり。

頭の中で自分を励まし続ける。疲れたら息を整えて、もう一度力を籠める。また疲れたら深呼吸してもう一度。

 

……体感1時間くらい頑張った気がする。微かに動いているようないないような感覚があったところで限界が来る。

私が限界を感じたのとほぼ同時に研究員さんから「やめてください」という声がかかった。

込めていた力を抜いて一息ついたところで、自分の体に変化を感じた。もちろん悪い方向への変化だ。

 

あ、熱でた……ちょっと頑張りすぎちゃったかな。

ゲーム内で久しぶりに友達ができたことに舞い上がって現実(こっち)でも張り切りすぎてしまったかもしれない。

 

こうなったら点滴をうたれて素直に寝るしかなくなる。点滴は痛いから嫌なんだけど、仕方がない。

はやくまたサクヤちゃんと遊びたいし、今日は大人しく寝るとしよう。

 

「ゆっくりお休みください」

「ありがとうございます、おやすみなさい」

 

点滴を用意してくれたお姉さん研究員の人にお礼をいって、私を今日の終わりを迎えた。

 

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