ソードアート・ログ・ホライズン   作:亜白

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前日譚 GGO編Ⅶ

ーサクヤー

 

R(ロア)さんのリアルの知り合いだというチカゲさんから、彼女の体調不良の知らせを受けた日、いつものようにキリトさん達とパーティーを組んでダンジョンに潜っていた。

 

「サクヤ後方支援と司令塔、いつもみたいに頼むよ」

「はい、キリトさん達が全力を出せるように頑張りますね!」

 

私は狙撃の為にみんなの後ろから戦況を俯瞰して、小型のmobや討ち損じを排除していく。キリトさん達と組むときは毎回支援と司令塔としての役を請け負っているのだけど、スナイパーとしての役目は最近あまりない。

と言うのも、皆GGOに慣れてきて敵の攻撃パターンを熟知し始めたて来たから。

最近は専らボスの動きを見切って、回避や回復のタイミング、バフやデバフのタイミングなどの指示を出すことに終始している。

 

「クラインさん詰めすぎないで、キリトさんとスイッチしてください!キリトさんは一時的に回避盾をお願いします。……クラインさんは回復とキリトさんに防御バフを、アスナさんはキリトさんにリジェネレイトとボスに攻撃疎外と速度デバフ、他の皆は自分にバフのかけ直しです!」

 

このゲームにシステムとしてスイッチは無いのだけれど、そこはキリトさんひらめき力でシステム外スキルとして、フラッシュバンで敵の視覚を奪ってその間にポジションを交代するっていう、言ってしまえばよくある手。

もしもSAOやALOの敵mobだったらこんな簡単な方法は対策されていると思うけれど、GGOの敵mobはあまり高性能ではないらしい。海外のゲームは大雑把なのが多いと前にキリトさんに教えてもらった。

 

今やGGOプレイヤー全体に知れ渡り皆が使っている方法で、一応ソロプレイでも回復の時間稼ぎに使える方法だけれど、私がソロプレイの時はあまり使わない。と、いうよりも使えない。

基本的にラン&ガンのスタイルでAGI極振り、加えて武器はスナイパーライフルでサブウェポンは気分で都度変わる。とてもじゃないけど弾と必要最低限の回復ガジェットしか持てない。それ以上を求めたら許容重量オーバーにまっしぐら。

 

始めてこの方法を教えて貰ったときは、あまりにも簡単に一時的無力化で来てしまうので、戦闘スタイルの変更を考えていたことがあった。

結局、他のスタイルが合わないことは分かり切っていたから、スイッチの方を切り捨てたのだけど。

 

随時指示を出しながら、巨大なゴリラロボットのようなボスのHPが減っていく様を呆然と眺めて、過去を思い出しているだけで終わってしまった。

パーティーだから基本報酬は貰えるのだけれど、ボーナス報酬がない。

 

皆が反省会や改善点を話しているのを少し離れたところで聴いているだけなのが少し寂しい。

皆に会えることはうれしいし、パーティーを組むのも決して嫌じゃないけれど……自分だけ何もしていない、出来ないのだと思わずにはいられない。

実際には皆が全力で挑めるように司令塔としてサポートする役割をもらっているのだけれど…ね。

私はスッキリとした報酬画面を閉じる。

 

そして思い出す。先日のR(ロア)さんと組んだ時の充実感を。

小さく小さく誰にも気づかれないようにそっと溜息をつき、そしてさらに小さくつぶやくのだ。

 

「また……遊びたいな」

 

 

 

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